9月29日に以下の内容で第6回 地域院生研究フォーラムを開催いたしました。
次回は11月6日開催の予定です。
第6回 地域院生研究フォーラム
テーマ:古典と伝承
日時:2014年9月29日(月) 14時より17時まで(終了後に懇親会あり)
場所:18号館2階院生作業室
発表者・発表題目:
1. 渡邉真代(地域文化研究専攻 地中海科 修士課程)
「「大きさ」を「数」で捉えたアラビア数学—ギリシャの古典、エウクレイデス『原論』の受容を経て」
2. 倉澤正樹(地域文化研究専攻 アジア科 修士課程)
「李卓吾の『論語』探求を通じた思想形成」
3. パクユンジョン(地域文化研究専攻 アジア科 博士課程)
「近世中期日本における「古典」の変化と日本認識」
コメンテーター:浜田華練(地域文化研究専攻 ロシア科 博士課程)
司会:相田豊(地域文化研究専攻 ラテンアメリカ科 修士課程)
<報告>
今回は西洋・イスラム・中国・日本など様々な文化間の思想上の交流について、3人の発表者が報告をおこなった。専門性の高い報告ばかりだったが、補足プリント等を用いた丁寧な説明によって専門外の参加者にもわかりやすく報告がすすめられた。また野心的な研究テーマがそろったことで、各報告とも充実した議論が交わされた。
総合ディスカッションの際には、研究手法と翻訳の扱いにとりわけ関心が集まった。今回の報告はどれも、テクストの精緻な読解から古典の受容過程を明らかにするものであった。他方ディスカッションの際には、古典を受容する側の社会・歴史・政治的背景について複数の質問があがり、受容する側がどのような意図にもとづいてテクストを「古典」として受容したのか、どのようにしてある書物が「古典」となるのか、といった論点で大いに議論がなされた。作家論から異文化交流史まで研究対象のスケールに関わりなく、テクストの内在的読解と外的要素への配慮をバランス良く備えた視座を持つこと、その重要性を確認することができた。(報告者:渡辺惟央 フランス科M2)