先に投稿しました「議会と執行部(長)との関係について」では、議会と執行部(長)との役割分担についてご説明しました。
執行部が条例や施策を提案して、議会が審議するというかたちです。
では、議会、議員は、それ以外に町政に対して能動的、主体的な働きかけはできない、のでしょうか。
出来ます!
それが「議員提案条例」です。
但し、この議員提案条例は、かなりハードルが高いものであります。
ここで、議員提案条例について、
ちょっと専門的になりますが、ご説明したいと思います。
条例は、基本的には、執行部が提案してそれを議会が審議し、議決により可否を決めて、可決されれば成立し、否決されれば廃案になります。
一方、議員も提案することができますが、議員定数の12分の1以上の者の賛成を要します。(地方自治法112条2項)
大口町議会は、15人の定数なので、
15÷12=1.25人
になりますので、2人以上の賛同者を得られれば「議員提案条例」を上程することができます。
従来は8分の1以上でありましたが、2000年施行の地方分権一括法による地方自治法改正により緩和されました。
また、2006年施行の改正地方自治法により、常任委員会等においてもその部門に属する自治体の事務に関する条例を提案できるようになりました。(同法109条6項)。(議員NAVI 茨城県の議会改革度ランキングと議員提案条例の取組みより引用)
議員提案条例の特徴としては、平成20年代前半までは「地酒で乾杯する条例」や「福祉のまち推進条例」などの理念的な条例が主流であったようですが、最近は、行政執行上の許可・届出等の根拠となる政策実施条例のようなものが多くなっているようです。
議員提案条例の意義や効果として、「縦割り組織である行政執行部では横断的な観点からの条例が出にくいので、俯瞰的な立場の議員による提案は意義がある。」、「住民の代表として住民ニーズを取り入れやすい条例提案ができる。」、「議員の存在意義を発揮する。」等が挙げらます。
一方で、
「議員は現実の施策運営に携わらないから、発案も含めて執行部に委ね、議会は本来の役割である審議に注力すべきである。」
「議員が行政の根拠となる条例を提案することも権能としてはもちろんあるが、議会は執行部の行政運営を監視したり、執行部の提案を評価・議論することが本来の役割であり、条例制定の必要があれば、議員の質問等により執行部に政策提案ないし政策立案を要求し、条例を制定することを求めるようにすべきである」
と言った意見もあります。
(これらの意見について、私は9ケ月の議員経験しかありませんが、非常に良くわかる意見であります。)
冒頭に、「議員提案条例は、かなりハードルが高いもの」と述べましたが、特に予算が必要とされる条例について、ハードルが高いです。
何故ならば、議員、議会には、「予算編成権」が無いからです。
予算をともなう条例は、首長の判断により、それが通るか、通らないか、が決まります。
そもそも首長が必要だと思えば、執行部提案でいけるわけです。
なかなか、厳しいですねぇ。
だからと言って、その権利を放棄することはありません。
常日頃、執行部(長)との信頼関係を築き、議員提案条例の趣旨が執行部側に「なるほど。」と思わせるような良いものにすることで、議員提案条例を通すことは出来るのです。
まだまだ勉強不足の私が偉そうに言う事ではありませんが・・・。(笑)
私は、1年生議員であり、議員提案条例に関わった経験もありませんので、軽々に意見は言えませんが、私自身の今後の議員活動における選択肢の一つとして「議員提案条例」の勉強はしていきたいと思っています。
※ この投稿は、「議員NAVI 茨城県の議会改革度ランキングと議員提案条例の取組み」を参考に作成させて頂きました。