2025年6月28日(土)に実施した環境学フィールドセミナー「街歩き現地調査」の結果です。今年は日中の暑さを深刻に捉えて午後の予定を変更しましたが、出発時刻や市制資料館までのコースは例年と同じ(納屋橋を9時半開始~12時半に市制資料館でお昼)です。この観測は、ディーゼル車からの排出ガスなど、燃焼に伴って排出・生成されたばかりの小さなエアロゾル粒子(>10 nm)が、交差点の近傍で局所的に高濃度となる様子を捉える狙いがあります。
【使用した機器】
エアロゾル粒子数濃度(TSI:3007、直径10nm以上の粒子数濃度を測定): ディーゼル排気ガスや線香の煙など、燃焼により排出・生成されて間もない小さなエアロゾル粒子の濃度を測定しました。1秒毎に計測し、1分間の平均値として記録しています。
温度・湿度(チノー、MR-6662): 気温・湿度は、センサーが観測者に体に近いため、体温の影響や日射の影響を受けています。逆に言えば、通風管理された気象台での観測値にくらべて、その場所で人が感じる温度・湿度に近いということになります。
【当日の気象状況と結果概要】
天気概況:朝からずっと良い天気(晴れ~薄曇り)でした。、気象台のアメダスではお昼頃を境に、北系から南系の風へと風向が変わっていたようです。歩きながら体感できたように、本町交差点から三の丸のあたりでは気温が低めで相対湿度が高めの様子が数値にも表れています。三の丸から大津通に出た途端に暑く感じ、市役所前では日陰がないので特に暑く感じました。三の丸界隈の涼しさは、木立があるため地表が日陰になるのと、植物からの蒸散の影響でしょう。このクールアイランドは、天気が良い条件では過去にもほぼ毎年観測されています。
エアロゾル粒子数濃度:開始直後の納屋橋では、例年のなかでは比較的高めの濃度でした。堀川沿いを北上した時間帯は、上流から下流方向への風に感じられ、その時は1.5万~2万ヶ/cc程度の濃度でした。円頓寺を過ぎて外堀通りを東進していたときは、車の影響により3万ヶ/cc前後と高い時間帯がありました。お昼ご飯の前後も含め、その他は概ね1.5k~2万ヶ/cc程度で推移していました。ウナギの臭いがした瞬間に濃度が上がっていたように、車に限らず、燃焼により生成された微小粒子を観測しています。
・PM2.5 濃度やオキシダント濃度など、大気汚染常時監視データは名古屋市のHPで見ることやダウンロードができます。
名古屋市が行っている大気汚染常時監視局のうち、歩いたコースに近いのは、「若宮大通公園」の常時監視局(自排局)です
・「そらまめくん」という全国の様子を知ることのできるサイトもあります。過去データはここでダウンロード可能です。
・名古屋気象台での気象データは「過去の気象データ検索」で見ることができます。ここで地点や日付等を選択してダウンロード可能です。