南極・昭和基地上空のエアロゾル

2004年9月から12月にかけて、南極・昭和基地上空で5200mまでの大気エアロゾル粒子を9回観測した。観測にはPC-6 ピラタス Turbo Porter を用い、直径 10 nm以上の凝結核(CN)濃度や0.3 μm以上の個数粒径分布、温・湿度を観測した。

春季の観測では、CN濃度も0.3 μm以上の個数濃度も不均一な鉛直分布が見られたが、夏季にはほぼ均一な鉛直分布を示した。4000m以上では、0.3 μm以上の個数濃度と0.3-1.0μmの体積濃度が常に低かった。これは海塩粒子のような粗大粒子が先に枯渇するために、高々度では微細粒子が主になるためと考えられる。

体積濃度とCN濃度の最大値は、10月7日(高度1000m付近)と11月29日(高度2000m付近)の観測プロファイルでそれぞれ得られた。後方流跡線解析によれば、体積濃度の高い空気層は風速の強い海域の海面付近からたらされた場合に相当し、CN濃度の高い空気層はクロロフィル濃度の高い海域の海面付近から輸送されてきた場合に相当していた。