2018年街歩きセミナー

2018年6月18日 街歩きセミナーで観測した大気データの結果です。

図1  2018年6月16日の観測結果

観測に使用した機器

エアロゾル粒子数濃度:TSI-3007 (直径10nm以上の粒子数濃度(CN濃度と呼びます)を測定)

温度・湿度:チノー MR-6662

天気:午前中は快晴で、きれいな青空でしたが、昼からは雲が出てきていました。湿度が低くて、ほどほどに風(北西から南よりへ変化)があり、日陰なら過ごしやすい一日でした。

エアロゾル濃度(CN濃度)としては、午前の納屋橋の頃が高目で、昼に向かって減少し、午後はほぼ同じくらいの濃度でした。たまに読み上げるだけではわかりませんでしたが、午前中の車の多い交差点や新御園橋界隈などは、時折高目になっていました。

気温・湿度の測定は、遮光・通風していないために高めの表示になりがちです。しかも、測定者の体温の影響も受けています。三の丸から市役所の交差点に向かう歩道が暑かったのは、日が当たって道路もセンサーも暖まっていたからでしょう。通風して代表性のある気温としては、下記のwebサイトで名古屋地方気象台(本山の近く)での値を見てください。

また、本町橋~三の丸界隈の温湿度が、その前後と違うのは、木々による遮光効果と、植物からの蒸散があるためでしょう。

このへんは例年通りです。

テレビ塔を含む名古屋市によるPM2.5濃度の測定結果は、以下のようになっていました。

図2  テレビ塔などにおけるPM2.5濃度


行政の環境部署がモニターしているPM2.5の質量濃度のほとんどは、直径0.1~2.5µmくらいの粒子が占めています。

そのため、街歩き中に測ったCN濃度(0.01 µm以上の個数濃度)の時間変化と、PM2.5濃度とは、様子がかなり違って見えます。CN濃度は、ディーゼルエンジンなどから排出されたばかりの小さな粒子を知る際に有用です。

ただ、今日の場合には、朝方は既存のエアロゾル濃度が低かった(PM2.5濃度も朝は非常に低かった)ので、新粒子生成イベントが起きていたのかもしれません。新粒子生成イベントとは、硫酸アンモニウムや有機物など、揮発性の低い超微小粒子(数nmサイズ)が生成される状態のことで、既存粒子濃度が低い時に起きやすいとされています。どんな成分が粒子化したのか、何が原因なのかはわかりませんが、この時期としては珍しいイベントにあたったようです。


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