プロフィール

弘前大学では探検部でした。その活動の一環で、鍾乳洞の水質調査を担当し、「なんか調べるのっておもしろい」と思い、この業界を志しました。


卒論:閉塞湖(明神沼)湖底堆積物から推定した湖沼の歴史変遷(弘前大学理学部地球科学科)

津軽藩の古文書と、探検部のボートを借りて採取した湖底コアの化学分析とを関連づけて、過去の津波や堆積環境について考察しました(まだ手書きの時代)。

当時、地球化学を担当していた中谷先生から南極のスライドを見せていただいて、「君、南極に行きたいなら大学院へ行きなさい」と言われ、乗りやすい性格なのかその気になってしまい、名大・水研へ。

幸運なことに、修士課程へ入ってすぐに第27次南極地域観測隊に混ぜてもらうことができて、それが修士論文に。


修士論文:南極における地吹雪に伴う物質輸送(名古屋大学理学研究科大気水圏科学専攻)

みずほ基地やその近所を旅行中に採取した地吹雪に含まれるイオン成分の濃度を測り、みずほ基地の氷床+大気を考えたときに、南北方向に年間どれだけの物質が輸送されるかを推定し、地吹雪として輸送される量が意外に多いことを明らかにしました(PCでワープロをやっとこ使った時代)。

南極に行くと2年くらい休学することになるので、修士課程を4年かかって卒業し、博士課程進学と同時にまた休学して、庄子先生(北見工業大学名誉教授)の紹介によりニューヨーク州立大学・バッファロウ校のIce Core Laboratoryへ混ぜてもらいました。グリーンランドや南極のアイスコアについて化学解析し、それをまとめたのが博士論文です。


博士論文:Water soluble constituents in polar ice cores: temporal and spatial distribution of sulfate in polar ice

(名古屋大学理学研究科素粒子宇宙物理学専攻)

グリーンランドと南極氷床のアイスコアを使って、産業革命以前(人為的な大気汚染の影響が小さい時代)の硫酸イオン濃度について、時間的・地理的な変動要因を考察しました。

卒論からD論まで、私の中では一応、「大気エアロゾルが落ち着く先」として繋がっていたのですが、落ちてしまった後の堆積物だけを見ていてもラチがあかない気分でした。そこで、名大・太陽研の岩坂研究室(当時)に職を得てからは、「大気エアロゾルができてから落ちるまで」に研究対象をシフトしています。

1回目に南極へ行ったのが27次隊(1985年)で、当時は設営一般として雑用係+雪氷の研究でした。2回目に行ったのが45次隊(2004年)で、気水圏のエアロゾル観測小屋を建てに行きました。

このようなバックグラウンドの人物です。

名古屋大学理学部地球惑星科学科の「地球環境科学と私」第二十八回「研究テーマの移り変わり:洞窟から地吹雪経由、アンモニア」が掲載されていますので、そちらもご覧ください。

百聞は一見にしかず。いっぺん遊びにおいでください。

かれこれだいぶ前の写真

昭和基地で履いていたスリッパ