研究テーマ

研究トピックについて紹介します

アンモニアとエアロゾル

大気中のガス態のアンモニアと粒子態のアンモニウムイオンを交互に測定できる装置を作りました。どんな時に粒子態アンモニウムが多くなるのか、名古屋や東京の都市大気や、中国からの越境汚染時など、ガス-粒子分配について研究しています。アンモニアだけでも十分おもしろいのですが、HNO3その他の成分も一緒に測れれば、一層おもしろさと研究の広がりが増します。例えば、アンモニアとエアロゾルを同時に測ることで、エアロゾルのpHの研究に繋がります。エアロゾル粒子のpHを調べる手法の開発も行っています。これらの知見は、PM2.5のモデルシミュレーションの精緻化にも繋がります。また、アンモニアには多様な起源があるので、高時間分解能で観測することにより、ある地域に支配的な起源を推定する、ということも興味の対象です。例えば、名古屋大学の構内では、夏にカラスのネグラができます。その時期は、カラスの糞からの反応性窒素が、植物を経由して朝方の気孔開放時に放出されていることがあります。なんとも不思議な巡り合わせですが・・・

立山の雪とエアロゾルから見た大気環境変化

1994年から継続しています。立山カルデラ砂防博物館の飯田さん・富山県環境科学センターの木戸さんと一緒に、冬~春の立山積雪の解析を続けています。近頃は3月でも融解水が浸みてしまう年が増え、沈着量の年々変化を観測しようとしても、なかなか難しい面もありますが、積雪中のダスト粒子という意味では、貴重な試料が得られています。さらに、粒径別のエアロゾル数濃度観測(OPC)を、1999年から2020年まで連続して観測していました。

南極大気エアロゾル

これも長いこと続けています。1回目の越冬でみずほ基地~内陸旅行での地吹雪の研究から入り(これが修士論文になりました)、2003-05にかけての2回目の越冬では昭和基地でのエアロゾル観測を行いました。そのほか、海鷹丸などの観測船でも南極海の観測していました。長期観測のデータが溜まりつつありますから、福岡大学や極地研究所等との共同研究として解析を進めていけたらと思っています。

海洋大気エアロゾル・越境大気汚染の観測

これはW-PASSプロジェクト(代表は海洋研の植松先生・特定領域研究)で関わりました。沖縄の辺戸岬や白鳳丸、海鷹丸での観測がこれにあたります。海洋への栄養塩の供給に関連して黄砂やアンモニアでつながっていますが、最近はちょっと遠ざかっています。近頃は、海に近い立地を活かして、鳥取大学・乾燥地研究センターで海洋大気と越境大気汚染の観測を行っています。

黄砂と黄砂の沈着過程

黄砂が少量の雨と一緒に降ってくると、車がすっごくきたなくなりますよね?雨と一緒にどれだけ黄砂が降り、雨のないときにどれだけ降るのか、全国6ヶ所で測定していました(代表者は気象研の三上先生・基盤A)。いったん観測を中断の後、H24度~H26年度にかけて再度観測をおこないました(西川-杉本推進費)。もともと、立山の積雪中に含まれる黄砂を研究していましたが、だんだん広がってきました。PM712というPM10とPM2.5濃度を自動観測する装置を用いて、粒径別エアロゾルをテープ濾紙に自動採取することができます。上記の鳥取大学・乾燥地研究センターでの試料採取は黄砂の採取も兼ねています。

エアロゾルの変質

海塩粒子や黄砂を酸性ガス(硝酸やSO2など)が中和していく様子、あるいは火山噴火の後に酸性の硫酸粒子がアンモニアで中和されていく様子、硝酸アンモニウムのような揮発しやすいエアロゾルの変化を捉えることなど、ガスと粒子の相互作用は奥が深いです。実際の大気でどんなことが起きているのか、観測的に確かめてみたいことがたくさんあります。

名古屋や東京における都市大気中のエアロゾル

名古屋や東京の都市大気は、10年前に比べると格段に綺麗になってきました。綺麗になってきたとは言え、人間活動の影響は随所に現れますし、天然の現象にも大きく左右されます。海陸風の影響、ガスと粒子の相互作用や、人間活動の影響がおもしろい!

エアロゾル・先駆ガスの測定方法開発

これまでにない、新しい測定方法の開発がどうしても必要です。新規手法の開発がなくては何事も進みません。低濃度でも測れる、ほったらかしでも測れる、高時間分解能でも測れる、などなど、新しい利点を売りにできる手法の開発を手がけつつ、上記のトピックに取り組んでいます。例えば、大気中のガス態のアンモニアと粒子態のアンモニウムイオンを交互に同じ装置で測れるようにしたこともその一環です。次の目標は硝酸ガス/粒子や有機酸も髙時間分解能で同時に測ることです。


と、大きなくくりではこんな研究トピックがあります。これ以外のネタも新規開発・導入していこうと思います。

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