研究成果の紹介

2016~2019

論文紹介(2016~2019

Hara, K., K. Sudo, T. Ohnishi, K. Osada, M. Yabuki, M. Shiobara, and T. Yamanouchi, Seasonal features and origins of carbonaceous aerosols at Syowa Station, coastal Antarctica,

Atmos. Chem. Phys., 19, 7817-7837, 2019.

南極・昭和基地で2005年から2016年にかけて観測したブラックカーボン濃度の変化について、化学輸送モデルと流跡線解析を駆使し、起源域や主な輸送経路を明らかにした論文です。

Osada, K., Saito, S., Tsurumaru, H., Hoshi, J., Vehicular exhaust contributions to high NH3 and PM2.5 concentrations during winter in Tokyo, Japan,

Atmos. Environ., 206, 218-224, 2019.

東京都環境科学研究所で2017年12月に測定したNHx濃度の時別変化を解析した論文です。冬季の弱風下では自動車排出ガス由来のNH3が大気濃度を押し上げていることがわかり、自動車からのNH3排出係数も推定しました。

長田和雄,山神真紀子,久恒邦裕,池盛文数,茶谷聡, 名古屋の湾岸部における光学的黒色炭素の起源-海風時の解析-

大気環境学会誌, 54巻(2号), 55-61, 2019年

名古屋の南と北に30 km離れた2地点で、夏の海陸風が吹く期間に一時間ごとのPM2.5中光学的黒色炭素 (OBC) 濃度を測定しました。NO濃度やV、Ni濃度の日内変化、化学輸送モデルCMAQによる発生源解析の結果と合わせて解析したところ、名古屋におけるOBC濃度の日内変化は朝に自動車由来、日中に船舶等による重油燃焼由来の影響で高濃度となることがわかりました。

M. Yamagami, F. Ikemori, H. Nakashima, K. Hisatsune, K. Osada, Decreasing trend of elemental carbon concentration with changes in major sources at Mega city Nagoya, Central Japan

Atmos. Environ., 199, 155–163, (2019)

名古屋市環境科学調査センターで2003年~2016年にかけて観測したPM2.5中の元素状炭素(EC)濃度の経年変化に関する論文です。観測したEC濃度の減少量は、自動車排出ガスの規制から想定される減少量と良い対応関係にあることがわかりました。また、ローカルな排出が減ったので、季節によっては越境汚染の影響が目立つようになりました。

岩本洋子, 関根広貴, 齊藤伸治, 三浦和彦, 西川雅高, 永野勝裕,長田 和雄, 光散乱式粒子計数器を用いたPM2.5吸湿特性の連続計測, -2016年12月の高濃度事例を交えて

エアロゾル研究, 33 巻 4 号 p. 238-247、2018.

南関東の内陸部と沿岸部において、光散乱式粒径別粒子計測器を用いてPM2.5の吸湿特性を測定した結果と、日毎の化学組成から推測した吸湿パラメーターとを比較検討した論文です。

Hara, K., Osada, K., Yabuki, M., Takashima, H., Theys, N. & Yamanouchi, T., Important contributions of sea-salt aerosols to atmospheric bromine cycle in the Antarctic coasts

Sci. Rep., 8, Article number: 13852 (2018)

南極・昭和基地におけるエアロゾルと地上O3濃度の観測結果の論文です。南大洋での強風により発生した大量の海塩粒子が昭和基地まで運ばれてくる途中に変質し、Br化学種が大気に放出されます。それが極夜開けのBrOxサイクルならびに地上オゾンの急減へと影響を及ぼすことを明らかにしました。

Ueda, S., K. Osada, K. Hara, M. Yabuki, F. Hashihama, and J. Kanda, Morphological features and mixing states of soot-containing particles in the marine boundary layer over the Indian and Southern oceans

Atmos. Chem. Phys., 18, 9207-9224, 2018

東京海洋大学の海鷹丸27次航海に乗船し、インドネシア~南アフリカ~南極海~オーストラリアへの海域で海洋大気中のすす含有粒子を調査しました。南極海では大気汚染源から遠く離れているにも関わらず、僅からながら「すす含有粒子」が見つかりました。

長田和雄,山神真紀子,池盛文数,久恒邦裕,中島寛則, 三輪篤,藪谷翔輝, 大気中アンモニア濃度の急増イベント-雨滴や露の蒸発との関係-

大気環境学会誌, 53 巻 4 号, 130-135, 2018.

名古屋大学構内でガス状NH3濃度を測定しました。NH3濃度が急増したイベントのメカニズムについて検討しました。

長田和雄,上口友輔,桑原昇平,Pan Xiaole,原由香里,鵜野伊津志,山本重一, 九州大学筑紫キャンパスにおけるアンモニア態窒素と無機硝酸態窒素のガス・粒径別エアロゾル濃度の季節変化

エアロゾル研究, 33巻,31-39, 2018.

九大・鵜野研でNH3やHNO3、粗大・微小粒子中のイオン成分濃度を観測し、濃度変動要因について検討した論文です。

Uno, I., Osada, K., Yumimoto, K., Wang, Z., Itahashi, S., Pan, X., Hara, Y., Kanaya, Y., Yamamoto, S. and Fiarlie, T.D., Seasonal variation of fine- and coarse-mode nitrates and related aerosols over East Asia: Synergetic observations and chemical transport model analysis

Atmos. Phys. Chem., 17, 14181-14197, 2017.

九大・鵜野研のACSAと共に、粗大・微小粒子中化学成分の季節変化を観測しました。硝酸塩に着目して、化学輸送モデルGEOS-Chemにより輸送途中での変質を議論した論文です。

Itahashi, S., I. Uno, K. Osada, Y. Kamiguchi, S. Yamamoto, K. Tamura, Z. Wang, Y. Kurosaki, Y. Kanaya, Nitrate transboundary heavy pollution over East Asia in winter

Atmos. Chem. Phys.,17, 3823–3843, 2017.

九大・鵜野研のACSAと共に、アンモニア、HNO3、粗大・微小粒子中のイオン成分濃度を観測しました。2015年1月の2つのイベントに着目し、化学輸送モデルCMAQを用いた解析から、輸送途中の硝酸アンモニウムの粒子化・ガス化を議論した論文です。


長田和雄, 清水厚,飯田肇,木戸瑞佳, 立山における粗大粒子体積濃度から見た黄砂飛来頻度の季節変化

エアロゾル研究, 32巻, 44-51, 2017年

立山・室堂平でのOPCによる長期連続観測から、粗大粒子のデータを解析し、黄砂飛来頻度の季節変化を論じた論文です。

長田 和雄,上口 友輔,山本 重一,桑原昇平,Pan Xiaole,原 由香里,鵜野 伊津志, 大気エアロゾル化学成分連続自動分析装置(ACSA-12)とデニューダー・フィルター法による大気エアロゾル粒子の粒径別イオン成分濃度の比較

エアロゾル研究, 31, 203-209, 2016.

デニューダー・多段フィルター法による観測から、自動分析装置ACSAで得られる結果の評価を行いました。