Nobue Kuramochi
倉持 伸江  

大学生の時に、はじめて「おとなの学び」に出会い、衝撃を受けました。それまで私にとって「学ぶこと」は「勉強すること」で、「社会に出るために必要な、やらなくてはならないこと」だったのですが、授業を担当していた教授に誘われて参加した生涯学習施設で行われていた講座に参加したとき、おじさん、おばさんたちが楽しそうに、時にケンカをしているのかと思うぐらい熱心に話し合いをしている様子を見て、「これも学びなんだ」とびっくりしました。

 何歳になっても学ぶことができること、学びとは知識を得ることだけではないこと、学び合いによって自分自身や地域や社会に変化を起こすことができることなど、を知り、もっと学びたい、おとなの学びを支えたい、と思いこの世界に足を踏み入れました。

What's up?
いま研究していること

 これまで主に研究してきたことは、おとなの学びについて、学習支援者の役割や力量形成について、地域や職場の学び合うコミュニティ形成についてなどです。

 例えば、子どもたちの豊かな成長のためには、学校の中での学びと同じくらい、学校以外の学びも大切だと考えています。地域の中で遊びを通した世代を超えた関わり合い、学校でも家でもない居場所、人とのつながり。こうした場をつくり、支えるおとなや支援者もまた、学び合い、成長し、つながりあっています。

 環境、人権、防災、福祉…さまざまな答えのない課題が山積する現代社会にとって、「学び」は、一人ひとりが主体的に生きる力を培い、人とつながり合い、社会を持続可能なものとしていくために、不可欠なものではないでしょうか。変化の激しい社会において、子どものときに学んだことがおとなになっても役に立つとは限りません。おとなが学ぶことで、社会のいろいろな課題の解決につながるのではないか。私はそう、信じています。


Favorite Books!
おすすめの本と理由

ジョン・デューイ『経験と教育』

 デューイは著名なアメリカの教育哲学者で、現在の学校教育にも大きな影響を及ぼした人物ですが、その思想は成人教育論に与えた影響もきわめて大きいと言われています。本書も、学校や子どもの学習について書かれたものですが、「学び」のあり方そのものについて重要な考え方が多く含まれています。

 例えば、学習は受け身ではなく主体的であるべきで支援者は自主的を引き出すことが重要であること、学習は経験に基づくものであり生涯にわたるプロセスであること、経験をふりかえることによって学ぶこと、など。

 少々読み応えのある本かもしれませんが、教育に関心のある方にぜひ読んでいたたきたい一冊です。

To Students Taking Exams!
受験生へのメッセージ

 「学び」を通して、人の役に立ちたいと思っている人、つながりづくりのお手伝いをしたい人、地域を活性化したいと考える人にぜひ来ていただきたいです。「生涯学習」や「社会教育」はなじみの少ない言葉かもしれませんが、実は多くの人がこれまでの生活の中で触れたり関わったりしているはずです。大学では実際の現場に多く触れながら、実践力を伴う専門性を磨きます。

よろしければ以下も参照してください!

せんせいのーと「社会を変えるのは学び。倉持伸江先生インタビュー」

東進TV「東京学芸大学」

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