ここで紹介するのは、2015年現在の性感染症の情勢で、日本性感染症学会「性感染症 診断・治療 ガイドライン 2016年版」を元にしています。耐性を持つ淋菌に感染した場合は、治療が長期にわたる可能性があります。
感受性が高いほど【薬が良く効く】と言うことです。
耐性が高いほど、【薬が効かない】と言うことです。
緑の帯は”感受性”、つまり、薬の効き目を表しています。
赤の帯は”耐性”、つまり、薬に対しての菌の抵抗力を表しています。
緑(感受性)の帯の数値が高いほど、『よく効く薬』ということになります。
セフトリアキソンは注射薬なので、病院に行かないと使えません。
病院に行かなくても買える抗生物質の中で、最も淋病が治る確率が高いのは、
『アジスロマイシン』ということになります。
経口摂取(口から飲む薬)による淋病の治療薬
日本性感染症学会が推奨している、淋菌感染症(淋病)の治療薬としては、セフトリアキソン( ロセフィン)の筋肉注射が、第一選択薬剤です。
その他の、治療効果が期待できる抗菌薬としては、スペクチノマイシン( トロビシン)、アジスロマイシン(ジスロマック)、ミノサイクリン(ミノマイシン)等があります。
☆かっこの中は先発医薬品名です
淋菌の多くの株が耐性を生じたため、ペニシリン、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、オフロキサシンなどの抗生物質は、今ではあまり使われていません。
淋菌感染症にかかっている人は同時にクラミジアにも感染していることが多いので、通常、
クラミジアに効く抗生物質も投与します。
クラミジアの治療薬として最もよく使われるのは、アジスロマイシンです。
淋菌感染症とクラミジア感染症に重複感染している場合、アジスロマイシンの服薬量を増やすことで、
両方を治癒させることができますが、必要な量を服薬すると、胃の不調が起こることが良くあります。
クラミジアの治療には、1000mg(1グラム)を1回だけ飲めば良いのですが、淋菌感染症の治療には、2000mg(2グラム)が必要とされています。
淋菌感染症が、血流を通して広がった場合は、通常は入院した上で、セフトリアキソンの静脈注射で治療します。
治療をしても症状がぶり返したり、長引く場合は、サンプルを採取して培養し、患者が治ったか確認したり、使っている抗生物質に対し、
淋菌が耐性を持っていないかを調べるための検査を行うことがあります。
淋菌の抗生薬に対する耐性化は、著しく、かつては、有効だった経口薬は次々に役に立たなくなっています。
しかも、淋菌の場合、その薬が有効かどうかは、使ってみないと判りません。
その人が持っている淋菌によって、
アジスロマイシンが効く場合もあれば、ミノマイシンが効く場合もあるし、どちらも効かない場合もある訳です。
結局のところ、経口薬で淋病(淋菌感染症)を治す必要があるのは
人に言えない事情があって、どうしても病院には行くことが出来ない人だけです。
もしも、飲み薬で淋病を治そうとするなら、薬を飲んで2~3週間したら、必ず、検査をしてくださいね。
症状が治まったことと、治ったこととは同じではありませんからね。
淋病を【治し損なう】と、淋菌がその薬に対して、『耐性』をもってしまうので、その薬は使えなくなり、大変なことになりますよ~。
どうしても、病院に行けない人は、これで確かめてください。
淋病(淋菌感染症)の検査キット徹底比較:男性用 & 淋病(淋菌感染症)の検査キット徹底比較:女性用
日本性感染症学会のガイドラインでは、こんなことを言っています。
有効な薬剤であった第三世代経口セファロスポリン系薬の耐性株が増加傾向を示し、その頻度は30~ 50%程度に達している。
経口セファロスポリン系薬の中で、淋菌に対して、最も強い抗菌力を有するセフィキシム(CFIX:セフスパン)の1回200mg、1日2回、3日間投与は、ある程度の効果が認められるが、無効例も多数報告されている。
またこれまでセフォジジム(CDZM:ケニセフ)も有効な薬剤とされていたが、2016年3月末をもって発売中止となっている。
したがって、保険適用を有し、確実に有効な薬剤は、セフトリアキソン(CTRX:ロセフィン)とスぺクチノマイシン(SPCM:トロビシン)の2剤のみである。
淋菌性尿道炎や子宮頸管炎には、これらの2剤は単回投与で有効であるが、咽頭感染に対してはスぺクチノマイシン(SPCM:トロビシン)の単回投与の有効性が低く、セフトリアキソンの単回投与のみが勧められる。
しかし、セフトリアキソン耐性菌が世界で初めて我が国で報告されており、今後の動向が注目されている。
注射による淋病の治療薬
セフトリアキソン【Ceftriaxone=CTRX】の静脈注射
セフォジジム【Cefodizime =CDZM】の静脈注射⇒発売中止
スペクチノマイシン【spectinomycin=SPCM】の筋肉注射
淋菌に対する抗生物質の有効性(感受性)~治癒の確率
アジスロマイシン(ジスロマック):テトラサイクリン系=約80%
セフィキシム( セフスパン):第三世代経口セフェム系=30~50%
セフィキシムは、経口セフェム系薬の中では、最も強い抗菌力を持っていて、
200mgを1日2回で3日間服用すると、効果が見られる場合もありますが、無効例もたくさん報告されています。
ミノサイクリン(ミノマイシン):テトラサイクリン系=約20%
ベンジルペニシリン(ペニシリンG):ペニシリン系=約10%
ドキシサイクリン(ビブラマイシン):テトラサイクリン系=約20%
レボフロキサシン(クラビット):ニューキノロン系=約20%
確実に淋病を治療したいなら、やはり、性病科で注射を打ってもらうことです。
日本性感染症学会が公式に発表している、推奨ランクです。
淋病(淋菌感染症)の治療に適した抗生物質のランキングを紹介しますね。
日本性感染症学会は、性感染症に関する諸問題の研究促進、予防対策の啓発と普及、会員相互の交流を図ることを目的として設立され、
性感染症の適切な診断法や治療指針、予防法等について積極的な情報提供を行うと同時に、
性感染症診療の専門家や性感染症の予防啓発に関する教育の専門家などを養成する学会です。
健康保険が使えて、しかも、確実に有効な薬剤は、セフトリアキソン(CTRX :ロセフィン)とスペクチノマイシン(SPCM:トロビシン)の2剤のみとなってしまっています。
どちらも注射薬なので、病院に行かなくては、使えません。
経口薬(内服薬)としては、シロップ用アジスロマイシン水和物(ジスロマックSR成人用ドライシロップ2g)が、淋菌性尿道炎、淋菌性子宮頸管炎に適応症を持ち、さらに点滴静注用アジスロマシン水和物が、淋菌性骨盤内炎症性疾患に対して適応症を取得しています。
ジスロマック:ドライシロップタイプ(Zithromax)細粒200mg/5ml
前版ではジスロマックSR成人用ドライシロップ2gは薬剤感受性と臨床効果の関係が不明であり、また、ブレークポイントが設定されていなかったことなどのエビデンスがないことを理由に推奨されていませんでした。
その後いくつかの臨床研究がなされ、現時点では90%以上の有効率であることが報告されています。
しかし、薬剤感受性と臨床効果の関係を検討した報告では、MIC 0.5 mg/Lで治療失敗例が出現し1mg/Lでは約40%で治療失敗したとしています。
我が国でのサーベイランスでMIC 0.5 mg/L以上の株が約5%存在していること、地域のサーベイランスデータでは薬剤感受性が低下しているという報告が多く、また、MIC 1mg/L以上が約15%という報告があること、さらに海外では高度耐性株が増加しているとの報告が相次いでいることより、本ガイドラインでは第一選択薬として推奨しない。
ただし、他の推奨薬に対するアレルギーがある場合には使用を考慮してもよい。
点滴静注用アジスロマシン水和物も耐性菌の存在が問題となるが、アレルギー等により上記の第一選択薬が使用できない症例で選択肢となる。
その他の薬剤で、強い抗菌力を有するものとして、 ピペラシリン(PIPC:ペントシリン)やメロペネム(MEP M:メロペン)があるが、いずれも保険適用を有していない。
薬剤耐性淋菌に対する多剤併用療法に関しては現時点では明確なエビデンスが無いこと、我が国のセフトリアキソンの用量が諸外国と比べ1gと高用量であり治療失敗例がほとんど無いことより本ガイドラインでは推奨しない。
淋菌の薬剤に対する耐性化は顕著で、多剤耐性化が進んでいます。
また、薬の効き方も、淋菌に感染している部位によって違いがあります。
特に性器と咽頭の同時感染例では、性器の淋菌が消失しても、咽頭の淋菌は残存するという症例も少なくありません。
近年は抗生物質の乱用から、薬剤に対して高い耐性を持つ「淋菌」が増えていて、治療薬が限られています。
以前は効果があったペニシリンGや、経口第三世代セファロスポリン剤(セフィキシム)では淋菌感染症の治療効果が期待できなくなってきています。
しかも、現在は有効な抗生物質に対しても、耐性を持つ淋菌も出現しつつあります。
ペニシリン
かつて使用されていたPenicillin Gの耐性菌であるペニシリナーゼ産生株(PPNG)は、日本では数%以下ですが、β繰ラクタム薬の標的酵素であるペニシリン結合蛋白(PBP)の変異株が90%以上を占めており、ペニシリン系抗菌薬は使用することができない薬剤です。
また、ペニシリナーゼ産生菌がほとんど存在しないことより、βラクタマーゼ阻害薬配合抗菌薬も有効性が期待できません。
テトラサイクリン
テトラサイクリンおよびニューキノロン耐性株も70~ 80%を超えています。
経口セファロスポリン系薬
有効な薬剤であった第三世代経口セファロスポリン系薬の耐性株が増加傾向を示し、その頻度は30~ 50%程度に達しています。
経口セファロスポリン系薬の中で、淋菌に対して、最も強い抗菌力を有するセフィキシム(CFIX:セフスパン)の1回200mg、1日2回、3日間投与は、ある程度の効果が認められるが、無効例も多数報告されています。
セフォジジム(CDZM:ケニセフ)
セフォジジム(CDZM:ケニセフ)も、これまでは有効な薬剤とされていましたが、2016年3月末をもって発売中止となっています。