薬の作用(効き目)は、血中濃度(血液の中の薬の濃度)によって左右されます。
でも、「血液中の薬物濃度が高い=薬の効き目も強い」とは、限りません。
特に、抗生物質等の抗菌薬では、それぞれの特長によって、時間依存性と濃度依存性の二種類に分けられます。
時間依存性:時間依存型の抗生物質(抗菌薬)
ペニシリン系、セフェム系、カルバペネム系、ペネム系等の【β-ラクタム系】や、マクロライド系の抗生物質が、
時間依存タイプです。
アジスロマイシンによる、クラミジア感染症の治療は、このタイプです。
時間依存型の抗生物質は、血液中の薬物濃度が、ある一定以上を超えると、その作用が頭打ちとなります。
植木鉢の花に水をやっても、必要以上の水は、底から流れ出てしまいますよね。
つまり、このタイプの抗生物質は、ある水準に達すると、それ以上の血液濃度になっても、効き目は増えません。
一度にたくさん飲めば、早く治るということには、ならないのです。
ですので、治療に必要な、ベストの濃度を継続させることが、最高の殺菌力を持つことになります。
長期決戦型の治療方法です。
時間依存性タイプの抗生物質は、
一定以上に濃度を上げても、殺菌作用が変わらない。
定期的に服薬することで、血液中の濃度を一定に保つことが、重要になる。
薬剤の効果は、細菌との接触時間に依存するため分服投与が、基本になる。(時間依存性=分服投与)
濃度依存性:濃度依存型の抗生物質(抗菌薬)
ニューキノロン系やアミノグリコシド系の抗生物質が、濃度依存タイプです。
セフェム系の注射薬による、淋病(淋菌感染症)の治療は、このタイプです。
濃度依存型の抗生物質は、血液中の薬の濃度が高くなるほど、殺菌効果が上がります。
一斉に爆弾を投下することで、性病の原因菌を壊滅状態にします。
治療は、短期決戦型になります。
濃度依存タイプの抗生物質は、
短時間に濃度を上げることで、殺菌作用が高まる。
副作用が出ない範囲で、一回の投与量を最大にして、投与回数を減らすことが、重要になる。
薬剤の効果は、、細菌との接触濃度に依存するため、1回投与(単回服薬)が、基本になる。