バラシクロビル~バルトレックスとジェネリック医薬品
バラシクロビル(Valaciclovir)~ヘルペス治療に最適な薬:バルトレックス
バラシクロビルは、2000年10月に発売された、抗ヘルペスウイルス薬で、ヘルペスウィルスのDNAの複製を阻害することによって、ウイルスの増殖を抑えます。
先発医薬品名は、”バルトレックス”です。
性器ヘルペスや口唇ヘルペスをはじめとする単純庖疹と、帯状疱疹において、優れた適応性を示すことが認められています。
性器ヘルペスの発症時や、再発抑制に使用することで、セックスパートナーへの感染を抑制することが認められています。
バラシクロビルは、アシクロビルでは効果のないヘルペスにも有効です。
バラシクロビル(バルトレックス)をインターネットで買う~アシクロビルとの比較
バラシクロビルの効能効果
単純疱疹(たんじゅんほうしん)
造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症抑制
帯状疱疹(たいじょうほうしん)
水痘(すいとう:みずぼうそう)
性器ヘルペスの再発抑制(2006年9月13日に適応追加された)
性器ヘルペスの再発抑制に対する本剤の投与により、セックスパートナーへの感染を抑制することが認められています。
ただし、バラシクロビルの投与中でも、セックスパートナーへの感染リスクがあるので、コンドームの使用等が推奨されます。
バラシクロビルの医療情報
バラシクロビルによる性器ヘルペスの再発抑制療法
バラシクロビルによる性器ヘルペスの再発抑制療法は、既に世界54カ国で承認され、標準療法となっています。
また、バラシクロビルの継続的な服用により、性行為時のパートナーへの感染も予防できることが、明らかになっています。
免疫正常患者を対象とした海外の臨床試験では、バラシクロビルの継続投与(500mg1日1回)により、1年後に1度も再発しなかった患者の割合が5.4%(プラセボ群)から40%に増加(再発リスクが71%低下)したことが報告されています。
ヘルペスは再発との戦いです
残念なことに、ひとたび人の体に入り込んだヘルペスウィルスを、完全に抹殺してくれる薬は、まだ作られていません。
潜伏したウイルスが、宿主の免疫力の低下などで再活性化するのが「再発」です。
身体の免疫力が強い時には静かに潜んでいるのですが、心身の疲労や月経などの刺激によって、年に1~2回から、多い人だと、月に2~3回の再発を見ることも珍しくありません。
性器ヘルペスは、根治が難しい上、無症状時にも外陰部などにウイルスが排泄されている場合があるため、感染の予防が難しいのです。
性器ヘルペスの再発抑制~投薬の仕方
「性器ヘルペスの再発抑制」の具体的な投薬方法は、再発頻度が年6回以上を目安(免疫正常者の場合)に、1回500mgを1日1回を投与することとなっています。
バラシクロビルの投与期間には制限はなく、1年間投与後に、投与継続の必要性について検討することが推奨されています。
つまり、それぐらい、ヘルペスの除去は難しいということですね。
ちなみに、上記の治療方法は、通常のヘルペスの治療の仕方である
「単純疱疹では1回500mgを1日2回
5日間を目安に」「帯状疱疹では1回1000mgを1日3回
7日間を目安に」「初発型性器ヘルペスでは10日間まで使用可能」
といった規定とは異なるので注意してください。
再発抑制療法の問題点
性器ヘルペスの再発抑制のためにバラシクロビルを使用する場合には、1日投与量は少ないが、長期間使用し続けることが前提であり、腎排泄型の薬剤であることから、特に腎機能低下のある患者や高齢者などにおいては、腎機能を継続的に観察する必要があります。
海外の臨床試験では、1日500mgの投与量でも、投与患者の30%近くに、臨床検査値異常を含む副作用が認められています。
多く見られるのは、頭痛、嘔気、下痢、腹痛などです。
性器ヘルペスの再発の仕組み
性器ヘルペスは、主に性行為により感染します。
感染すると、数日から十数日間の潜伏期を経て、刺すような痛みとともに、小さな水ぶくれが陰部に出現します。
そして、増殖したヘルペスウイルスは、知覚神経を上行して神経節へ入り潜伏します。
再発時の症状は、初めて発症した時に比べると弱いことが多いものの、「パートナーに移してしまうかもしれない」「いつ再発するかわからない」といった患者の精神的な苦痛も問題とされています。
性器ヘルペスの再発抑制の適応に関して
単純疱疹には、性器ヘルペス以外に、主に1型ウイルスによる「口唇ヘルペス」があるのですが、適応が認められたのは、主に単純ヘルペスウイルス2型を原因とする性器ヘルペスの「再発抑制」です。
単純ヘルペスウイルス1型=口唇ヘルペス
単純ヘルペスウイルス2型=性器ヘルペス
薬理効果
バラシクロビルは、ウイルスのチミジンキナーゼ(TK)の作用により、薬が活性化される、アシクロビルのプロドラッグです。
バラシクロビルは、抗ヘルペス薬であるアシクロビルの経口吸収性を改善したプロドラッグです。
経口投与後、速やかに消化管より吸収された後、活性代謝物であるアシクロビルに変換され、ヘルペス群ウイルスに対して強力な、抗ウイルス作用を示します。
吸収効率がよく、1日1~3回の服用で済みます(アシクロビルは1日5回)。
アシクロビルの経口吸収率は約20% ですが、バラシクロビルの経口吸収率は約80%です。
難しいですか?
簡単にいえば、アシクロビルよりも、無駄なく効果的に薬が効く、ということです。
バラシクロビルは、ウイルスチミジンキナーゼを介さずに活性化するので、アシクロビル(ACV)に耐性を持ってしまったヘルぺスウィルスにも有効です。
バラシクロビル(バルトレックス)の服薬方法と用量
性器ヘルペスの発症時、または、単純疱疹(たんじゅんほうしん)の発症時
通常、成人には
バラシクロビル500mg =1日当り x 2回 x 5~10日間服用
性器ヘルペスの再発抑制治療時(予防として使用する場合)
通常、成人には
バラシクロビル500mg =1日当り x 1回 x 3~5日間服用
なお、HIV感染症の成人(CD4リンパ球数100/mm3以上)には
バラシクロビル500mg =1日当り x 2回 x 3~5日間服用
性器ヘルペスの再発抑制治療時(再発が認められた場合)
免疫正常患者において、性器ヘルペスの再発抑制として、本剤を使用している際に再発が認められた時には、
バラシクロビル500mg =1日当り x 1回 x 毎日の投与を、1日当り x 2回 x 毎日の投与に変更します。
そして、治癒した後は、1日当り x 1回に戻します。
また、再発抑制に対して本剤を投与しているにもかかわらず頻回に再発を繰り返すような患者に対しては、
バラシクロビル1000mg =1日当り x 1回 x 毎日に変更することを考慮してください。
帯状疱疹(たいじょうほうしん)の発症時
通常、成人には
バラシクロビル1000mg =1日当り x 3回 x 5~10日間服用します。
水痘(みずぼうそう)の発症時
通常、成人および体重40kg以上の小児には
バラシクロビル1000mg =1日当り x 3回 x 5~10日間服用します。
用法・用量に関連する使用上の注意
飲み忘れた場合は、気がついた時点ですぐに1回分を服用してください。
ただし、次に服用するまでの時間が近い場合は、服用しないで、その後の予定時間から服用してください。
2回分を、一度に飲んではいけません。
誤って多く飲んだ場合は医師または薬剤師に相談してください。
医師の指示なしに、自分の判断で飲むのを止めないでください。
腎障害のある患者又は腎機能の低下している患者、高齢者では、精神神経系の副作用があらわれやすいので、投与間隔を延長するなど注意してください。
腎機能障害のある方は、特に意識障害などがあらわれやすいので、医師から控えるように指示されている場合には危険を伴う機械の操作を避けてください。
血液透析を受けている患者に対しては、患者の腎機能、体重又は臨床症状に応じ、クレアチニンクリアランス10mL/min未満の目安より、さらに減量(250mgを24時間毎等)することを考慮してください。
血液透析日には、透析後に投与してください。
服薬中は普段より多めに水分をとってください。
ただし、水分制限を指導されている方は医師または薬剤師に相談してください。
自動車の運転や、危険を伴う機械の操作に従事する方は、眠気などの意識低下が起こることがあるので、十分注意してください。
副作用
主な副作用として、頭痛、眠気などの意識低下、傾眠、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、腹部不快感、蕁麻疹、発疹、かゆみなどが報告されています。
このような症状に気づいたら、担当の医師または薬剤師に相談してください。
まれに下記のような症状があらわれ、[ ]内に示した副作用の初期症状である可能性があります。
このような場合には、使用をやめて、すぐに医師の診療を受けてください。
呼吸困難、血管浮腫、動悸[アナフィラキシーショック、アナフィラキシー]
発熱、出血しやすい、全身けん怠感[汎血球減少、無顆粒球症などの血液障害]
尿量減少、むくみ、全身けん怠感[急性腎不全]
昏睡、幻覚、痙攣[精神神経症状]
結膜充血、中央に浮腫を伴った紅斑、口腔や陰部粘膜などのただれ[中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群]
保管方法その他
乳幼児、小児の手の届かないところで、直射日光、高温、湿気を避けて保管してください。
薬が残った場合、保管しないで廃棄してください。