サンゴ礁のハタ科魚類が好む環境と多種共存に関する考察
Nanami A (2025) Spatial distribution, microhabitat association, dependence to live corals, and habitat partitioning among five grouper species (family Epinephelidae) in an Okinawan coral reef. Marine Biology 72:170
Nanami A (2025) Spatial distribution, microhabitat association, dependence to live corals, and habitat partitioning among five grouper species (family Epinephelidae) in an Okinawan coral reef. Marine Biology 72:170
ハタ科の魚は大変美味しく、世界中の国々で食用魚として人気が高いです。熱帯•亜熱帯の地域•国々では、漁業者の方々の主要な収入源となっています。また、釣りを楽しむ人たちにとっても、ハタ科の魚を狙う釣りは人気が高く、多くの方々が、ウェブサイトや動画で、その魅力を情報発信しています。
このように、ハタ科の魚とヒトの関わりはとても大きいため、ハタ科の魚たちがいつまでも暮らしていける環境を残す必要があります。そのためには、ハタ科の魚たちが好む環境を詳しく知り、生息に適する環境を守ることが大切です。
一方で、ハタ科の魚は多種多様な種がいます。様々な種が暮らしていくためには、すみわけ•食い分けなど、様々な種が共存しているしくみを解明する必要があり、このことは生物多様性の保護の観点から重要です。
そこで、本研究では、①ハタ科の魚たちが好む環境を探った上で、②多種多様な種が共存できる仕組みを考察しました。
結果を簡潔にまとめると以下になります。
①ナミハタ•アカハタ•ユカタハタは、内湾の波が穏やかな海域を好みます。一方で、ニジハタ•アオノメハタは、波あたりが強い海域を好みます。
②5種が寄り添っていた場所を観察した結果、ナミハタとアカハタは、生きたサンゴを好み、小サイズと大サイズで好みのサンゴが異なっていました。一方で、ユカタハタ•ニジハタ•アオノメハタは、岩の凹凸など、サンゴではない場所を住み場所として選んでいました。
③波あたりの強弱•住み場所の選択が複雑に作用し、5種が共存していると考えられました。