砂浜海岸に現れる魚の子供たち

Nanami A & Endo T (2007)

   Seasonal dynamics of fish assemblage structures in a surfzone on an exposed sandy beach in Japan.

Ichthyological Reseach 54: 277-286

砂浜海岸は魚の子供たちが育つ重要な場所であることが世界各地から報告されています。

本研究では,鹿島灘において砕波帯ネットによる採集調査を行ないました。この砂浜では波の高さが2.5mに達することもあります。

2003年8月から2005年7月まで毎月採集を行った結果、32種類の魚類を採集しました。その中で、イシカワシラウオ,カタクチイワシ,アユ,ボラの4種がもっとも優占して採集されました(4種を合わせると採集個体数の90%以上を占めました)。

イシカワシラウオは4月に仔魚が出現し、その後成長していました。アユは主に10月~2月に出現し、明らかな体長増加がみられました。 このことは、イシカワシラウオとアユが砕波帯を成育場として利用していることを意味します。

また、魚の出現パターンに明確な法則性があることがわかりました。

①出現する魚の種類は水温と風の影響を有意にうける

②水温と風は独立に作用する

お世話になった方々へ:本調査は砕波帯という波あたりの強い場所で行ったため、波浪に逆らってネットを曳く必要がありました。砕波帯ネットによる採集にご理解をいただき、採集を快く手伝っていただいた方々へ、この場を借りて厚くお礼申しあげます。

   調査を行なった鹿島灘(波崎海岸)          カタクチイワシの稚魚        コトヒキの稚魚