サンゴ礁の魚たちは、サンゴや岩の凹凸など、海底の立体構造を隠れ家やねぐらにしています。

 

スズメダイ類やテンジクダイ類のように、体サイズの小さい魚は、昼間の観察により、隠れ家にしている立体構造がわかります。一方で、ブダイ類やチョウチョウウオ類のように、体が大きく、昼間に泳ぎ回る種類は、昼間は物陰に隠れる行動を示さないため、立体構造との関係が見えにくいです。

 

しかし、体が大きい魚は、夜間に立体構造に寄り添って休息します。そこで「どの種類が、どの場所を“ねぐら”にしているのか?」調べてみました。

 

この研究では、ブダイ類(9種)•ニザダイ類(2種)•ハタ類(2種)•チョウチョウウオ類(4種)について、“ねぐら”を調べました(図1)。

                  図1 “ねぐら” を調べた魚たち。写真はすべて夜間に撮影したもの

サンゴ礁の立体構造は、7タイプに分けました(図2)。

      図2 7タイプの立体構造。ライトグリーンは「魚のねぐらとして機能し得る部位」を示す

調べた結果、好みのねぐらのタイプがわかりました(図3)。

         図3 魚の種類別に、“ねぐら”として好む立体構造を示したもの。6種について示す。

“ねぐら”の視点にたって、魚とサンゴの関係を探る研究は、これから発展性があるテーマと思います。「魚を守り育てる」ためのサンゴを選ぶときに、昼間と夜間の観察結果を組み合わせる必要性があるでしょう。また、サンゴだけでなく、サンゴが長い年月をかけてつくりだした「礁」(立体構造)も大切であることがわかりました。