第2章 リサーチダイビングに使う道具

2-1 ダイビング器材

通常のダイビング器材を使用することがほとんどです。器材のセッティングの詳細はここでは記しません。必ず守りたいのは、とにかく安全第一であること。特に、オクトパスとダイビングナイフは、必ず装備•携帯することです。リサーチダイビングでは、中性浮力により海底に対して体を水平にしてデータをとることがあります。この時にオクトパスが下に垂れ下がるため、やや観察がしにくい場合があります。しかし、万が一のために必ず装備しておきましょう。

リサーチダイビングでは、海底に留まってデータをとる場合があります。体を動かさず海底に留まっていると、夏場でも寒気を感じることがあります。保温対策も忘れずに。

2-2 潜水していることを示すブイ

潜水中に他の船が水面を航行すると危険です。また、陸上•船上からの監視員に対して、自分の現在位置を示すことは、万が一の救助の時に有効でしょう。そのために、潜水している場所を示すブイを携帯すると良いでしょう。

このブイは安価で自作できます(第13章 器材のつくり方 を参照)。ブイを引っ張るために、私は市販の巻き尺を使っています。グリップをしっかりつかむことができ、伸縮が簡単です。巻き尺は防水加工で丈夫なものを選びましょう。

2-3 携帯式GPS

特定の場所の緯度経度を記録したい場合や、自分が潜水した軌跡を記録したい場合に大変役に立ちます。海水から守るために市販の防水パックに入れて使用します。防水パックに入れると、機種によってはボタン操作がやりにくいものがあります。事前に様々な機種を試してから選ぶのが良いでしょう。

防水パックに入れた携帯式GPSをブイに取り付けて潜水することで、潜水した経路の軌跡が記録できます。軌跡を記録できる設定にしておき、ある場所を通過する時刻を水中で記録しておけば、その場所の位置情報を後から知ることができます(水面に浮上して位置情報の記録をとるボタン操作をしなくて良い)。

この他にも、満潮•干潮の時刻なども表示できる機種であれば、一層便利です。自分の調査にあったものを選びましょう。

2-4 記録板

ここでは、私が使用している記録板をご紹介します(※3)。安価で自作できます(第13章 器材のつくり方 を参照)。この記録板の特徴は、時刻•方位•水深•無減圧潜水時間などが一目で確認できることです。ただし、記録板ごと紛失すると大変ですので、紛失しない工夫をしましょう。

記録板にカメラを取り付けることで、生き物のデータをとりながら海底の様子を同時に記録することができます。調べている生き物と海底の関係を調べたい時に役にたちます。

記録板は市販のものでも代用できます。大きいものは、水中で使うと意外に水の抵抗を感じます。目的に応じて大きさを決めると良いでしょう。

(※3)この記録板は、沖縄県水産海洋技術センターの太田格さんが考案したものです。

2-5 記録シート•文房具一式

耐水性のシートが市販されています。シートにマス目などを印刷しておけば、記録が簡単です。記録しやすいものを考えてみましょう。記録板に貼付ける場合、私はワニ玉クリップとダブルクリップを併用して使っています。

データ記録には、ロケット鉛筆が便利です。先が丸くなったら、芯を取り替えることができるからです。シャープペンシルは、芯を出し入れするしかけの部分がさび付くことがあるようです(私は使っていませんが、使用できるかも知れません)。消しゴムも使えます。

この他にも、様々な道具がありますが、調査の目的によります。以下の章で随時ご紹介していきます。


自作したブイと市販の巻尺 自作した記録板(表) カメラをつけた記録板(裏)

使っている携帯式GPS 記録シートをとりつけた記録板

記録板の上にとりつけた時計・コンパス・ダイブコンピューター

記録シートをめくってクリップでとめると、カメラのモニタが見える。

(そのために、記録板は透明のアクリル板を使っています)

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