サンゴ礁にくらすアイゴ類4種の共存のしくみ

Nanami A (2018)

Spatial distributions, feeding ecologies, and behavioral interactions of four rabbitfish species (Siganus unimaculatus, S. virgatus, S. corallinus, and S. puellus).

PeerJ 6:e6145

サンゴ礁には色とりどりの魚たちがくらしています。アイゴ類の中には美しい色や模様をもつ種類がいます。このような特徴をもつアイゴ類には、ペアをつくってくらしている種がおり、ダイビングでとても人気があります。

この研究では、サンゴ礁にくらすアイゴ類について「なぜ共存できているのか?」という謎にせまってみました。対象としたのは、マジリアイゴ・ヒメアイゴ・サンゴアイゴ・ヒフキアイゴの4種です。

(1)「住み分け」はみられない

63地点を調べた結果、4種で住み分けていることは確認できませんでした。

(2)食べているエサは3種で明確に違う。

(3)エサを食べる場所は2種で明確に違う。

(4)同じ種同士は攻撃行動を頻繁に行う。異なる種同士は攻撃行動をほとんどとらない。

以上のことをまとめますと、4種のアイゴ類は「エサの食い分け」・「エサをとる場所の分割」・「同種同士の高い攻撃性」の3つがあいまって、同じ場所で共存できていると考えられます。

4種のアイゴ類が同じ場所で見られるということは、その場所で種の多様性が高く保たれていることを意味します。この高い種の多様性は、アイゴ類の特殊な暮らしぶりによって支えられていることがわかります。