7種のキンチャクダイが好むサンゴと住み場所

 Nanami A (2023) Broad-scale spatial distribution and microhabitat-scale substrate association of seven angelfish species (family Pomacanthidae) in an Okinawan coral reef. Environmental Biology of Fishes (online available)


 キンチャクダイの仲間(〇〇ヤッコとよばれる魚たち)は、色鮮やかで美しく、ダイビングや観賞魚として人気が高い魚です。とても人気がある魚にもかかわらず、彼らが好むサンゴの種類や、どのような場所に好んで生息するのか?といった知見はほとんどありませんでした。

 この研究では、八重山諸島の石西礁湖に生息する7種のキンチャクダイを対象に、好みのサンゴの種類や海域を詳しく調べました。

 サンゴのうち、「ミドリイシ」とよばれる仲間は、地球温暖化によって死滅するリスクの高いグループです。このミドリイシの仲間を好む3種のキンチャクダイ(チリメンヤッコ、ソメワケヤッコ、ヘラルドコガネヤッコ)は、地球温暖化に伴って生息数が減るリスクが高いと考えられます。

 一方で、岩のごつごつを好む種類もいることから、キンチャクダイの仲間すべてが地球温暖化による大きなマイナスの影響をうけることはないかもしれません。しかし、岩を好む種類であっても、一定数はサンゴに生息していることから、今後の生息数の動向には注意する必要があります。

 いずれにせよ、キンチャクダイとサンゴの関係を明らかにできたことから、魚とサンゴの関係に関する知見がまた一つ増えたといえます。