クラカケベラは寝床をつくる

Nanami A. & Nishihira M.(1999)

Nest construction by the labrid fish Choerodon jordani (Snyder 1908).

Coral Reefs 18: 292

ベラ科魚類のクラカケベラChoerodon jordadani は,亜熱帯域の砂礫底に棲息する小型の魚類です。一般にベラ科魚類は,砂にもぐったり岩陰に隠れてたりして,夜間に休息することが知られていますが,本種クラカケベラは,自分で寝床をつくることで,休息場所を確保していることがわかりました。

この行動はベラ科魚類においては世界で初めての報告例です。

クラカケベラの寝床つくりは以下の手順ですすめられます。平坦なサンゴ破片の下側に潜り込み,砂をかきだして寝床となる空間をつくります。その後,周辺に散在するサンゴの破片を口で加え,寝床周辺に積み上げます。昼間は餌を捕るために砂礫底を泳ぎ回りますが,頻繁に自分の寝床を訪れ,寝床が良好な状態に保たれているか確認します。

クラカケベラ クラカケベラの寝床