Nanami A (2024) Spawning aggregation of blacktail snapper (Lutjanus fulvus) in an Okinawan coral reef: lunar-phase periodicity of aggregation formation, seasonal consistency in fish spatial distribution, and fish size and age frequency in the aggregation site. Environmental Biology of Fishes 107:1277-1289
沖縄のサンゴ礁でみられるオキフエダイの産卵集群
産卵集群とは、産卵のときだけに形成される魚の群れで、世界各地で報告例があります。
オキフエダイは、サンゴ礁に生息する水産有用種で、産卵集群はパラオで発見されています。しかし、他の海域では報告例はありませんでした。
私は、沖縄で、オキフエダイの産卵集群をみつけることができました。パラオに続く、世界２例目の報告となります。
「ふだん群れをつくらない種類が群れをつくっていた」がわかっただけでは、その群れが「産卵集群」とはいえません。そこで、この2種の群れが産卵集群であることを証明するために、以下の４つを明らかにしました。
①群れは、いつも同じ海域にできる。
②群れができる日は月の満ち欠けと関係しており、決まったパターンを示す。
③群れの中の魚の密度は、ふだんの住み場所の４倍以上。
④群れの中のメスは、産卵間近の卵巣を抱えている。
これらのことから、「オキフエダイの群れは、産卵集群である」ことを証明できました。
この調査では、潜水調査に加え、水中カメラを使いました（この調査では、１時間に１枚撮影できるように設定）。潜水調査は、魚の数を調べるためには優れた方法です。しかし、観察日数が限られ、特に悪天候では調査できません。一方、カメラ撮影は、天候に関係なく、毎日の撮影が可能です。おかげで、月の満ち欠けと群れの形成の関係が非常に明確になりました。
カメラの防水加工については、漁業者の方のお知恵を拝借しました。また、台風直撃による高波でも紛失しない工夫も、ご教示いただきました。どうも、ありがとうございました！