本稿では、XMEGA Xprotolabというオシロスコープ・AWG・ロジックアナライザモジュールを組み込んだミニオシロスコープの基板を作成し、その筐体をLaQで組み立てた様子を報告する。
この製品の詳細は、下記サイトを参照していただきたい。
http://www.gabotronics.com/development-boards/xmega-xprotolab.htm
Xprotolabは、普通のクレジットカードやキャッシュカードの半分以下のサイズの基板に、0.96インチの有機ELディスプレイ(解像度は128x64 pixels)を装備した、オシロスコープ・任意波形発振器(AWG)・ロジックアナライザ・モジュールである。
このモジュールは、ブレッドボードに挿し、電源端子とGND端子間に5Vの電圧を供給するだけで動作する。CH1, CH2,といった端子に信号を入力してやれば波形を見ることができる。操作はモジュール上のタクトスイッチで行う。
非常に安価で簡単なモジュールであり、プローブからの電線の取り回しがまずいとノイズも大きくなるので、精密な測定には向いていない。しかし、自分で設計・試作した回路が期待通りに動作しないとき、「ホントに信号が出ているのか?」と確かめるような用途なら、この小さな画面でも十分役に立つ。
画面の小ささが気になる場合は、マイクロUSB端子を使ってパソコン(PC, Mac)に接続し、コンピュータの画面で波形を観測したり、マウスを使ってAWGを制御するとよい。
モジュール上のマイクロUSB端子からパソコンのUSB端子に接続すると、電源はUSBから供給されるため、別の電源は不要となる。
OS X, Linux, Windows環境では、Xscopeというソフトを使って、波形観測や任意波形発生装置のコントロールができる。Xscopeを使う前に、Windows環境では、デバイスドライバをインストールする必要がある。上記ソフトウェア類のダウンロードは下記のサイトを利用した。
http://www.gabotronics.com/product-info/xprotolab-pc-interface.htm
下図のような回路図に基づき製作した。
オシロスコープ/任意波形発振器 (AWG) のプローブを接続する端子を備えている他、AWGで発生している信号を音声として聴くことができるように、低周波増幅器とスピーカも接続した。
ロジックアナライザは、今回はプローブを作っていない。ブレッドボードで試作した回路を測定するときは、ジャンパケーブルでロジックアナライザの端子(ボックスヘッダを取り付けてある)と測定点を接続するとよいだろう。
Xprotolabの他に、次の部品を用意した。
オシロスコープ用プローブ 2本。(60MHz用で十分)
ピンソケット(1列×16以上で切り離しができるもの)
ユニバーサル基板 (ブレッドボード配線パターンタイプ(秋月電子通商AZ0526)が便利。)
電源用バッテリ(スマートフォン充電用のモバイルバッテリを使用)
トグルスイッチ(基板取付型。バッテリー電源入/切。)
充電専用マイクロUSBケーブル(マイクロUSBとUSBコネクタのついたもの。100円均一ショップなどで売っているものでよろしい)
RCAジャック(RJ−2290N/Y)
オーディオやビデオ用の同軸ケーブル (途中で切断して、ICクリップをつける。外側の導体がGND側、内側の導体が信号線となる。)
ICクリップ (黄、黒の2個。色はお好みで)
熱収縮チューブ(φ1.5, φ3.0の2種類。外側導体が露出する部分はφ1.5でカバーし、根元をφ3.0でカバーする。)
オーディオパワーアンプIC HOLTEK HT82V739
ICソケット8ピン用
積層セラミックコンデンサ 1μF×2個、47μF
小型スピーカ 8Ω 0.5W
炭素皮膜抵抗器 47kΩ
可変抵抗器 10kΩ Bカーブ
可変抵抗器用つまみ
RCAジャックと可変抵抗器は、LaQの中心に穴を開けて(LaQを小型のバイスで挟み、ドリルで5.5mmの穴をあけ、シャーシリーマでネジの大きさに広げた)固定した。
なお、RCAジャックは、LaQに固定してからハンダ付けをすること。
基板の厚さは、LaQ No.6(直角継手)のLaQをはめ込む溝にちょうどあっているので、固定に利用した。
電池の充電時には、背面のLaQを外してから、電池を取り外すことになる。
オシロスコープは、本体の他にプローブ類があり、まとめて収納するにはそれなりの大きさのケースが必要だ。
今回は、近所のホームセンターで購入した割り箸入れを使用した。棚のちょっとした隙間に収納できるので便利だ。
Xprotolabの画面を省略したモジュールがXprotolab plainである。
電源が不要なので、薄く小さなケースに収めることも可能だ。この作品では、100円均一ショップで入手した薬ケースを使ってみた。
小型化を追求するため、プローブは、シールドケーブルに3.5φステレオミニプラグとICクリップを使ったものを自作した。AWG用のプローブは前述のものと同じである。