2. walking
ブーツに関する定理
運動生理学の論文を調べると、以下の定理が成立する。
酸素消費量で換算すると、4-5Km/hrで歩く時、靴100グラムの重量はバックパックの荷物の200グラムに相当し、10-12Km/hrで歩くと、500グラムに相当する。
疲労の少ない経済速度はおよそ4-5Km/hrで、この速度では靴の重量の影響は小さいので、神経質になることはない。
足首を固定しても歩行エネルギーは変わらない。
運動生理学の論文で確認できないが、以下の定理も成立するだろう。
不整地では足首を固定した方が、エネルギー消費が小さくなる。
キックを大きくする(ふくらはぎの筋肉を使う)と、エネルギー消費が大きくなる。
シューズは軽い。軽いと楽なはずだが、なかなか簡単ではない。シューズだとキックを使いがちで、これはエネルギー消費を大きくする。足首が固定されていないので、不整地だとふくらはぎなど、重心を安定させるエネルギーが必要になる。シューズが有利なのは、良く整備された遊歩道で、荷物が軽い状態に限られる。
ブーツは重い。重いと疲れるはずだ。しかも足首が固定されて歩きにくい。なんでこんな物を履いて山に行くのか。これが人間心理の落とし穴。実は、少々の重さの違いはエネルギー消費は誤差の範囲であるし、ブーツに慣れるとキックを使わない省エネの歩き方になる。足首が固定されているので不整地では、重心が安定するし、荷物が多い時は、有利に働く。シューズだと足のトラブルに見舞われる。
ブーツでの歩き方
固いブーツでの歩き方のコツをメモしておく。
下腹部深部の筋肉、大腿部、および、臀部の筋肉を使い、脚を振り子のように動かす。大きな筋肉は力も強いので疲労しにくい。このためには、股関節に軽く注意を集中するとよい。長距離走での心構えも同じ。股関節に注意を集中しておけば、その他の脚の部分に余計な力が入らない。
ふくらはぎの力を使わず、ブーツの弾力を利用して歩く。短距離走ではふくらはぎのキックを最大限利用するが、長距離走ではキックを控えめにして足裏全体で着地する。足裏全体で着地するのは、大腿部や臀部の大きな筋肉を使うためである。
着地等のショックはブーツとインソールに吸収させる。着地の衝撃を膝の動きでカバーすると、その分、エネルギーを消耗する。固いソールには柔らかめのインソール、柔らかいソールには固いインソールを組み合わせるとよい。
歩く速度は経済速度、4-5Km/hrに設定し、加速、減速を緩やかに行う。
3時間程度は休憩せずに歩く。山の本には1時間に10分休憩するとよいと書いてあるが、それはオーバーペースの証拠である。