Lake Louise Acute Mountain Sickness

レイク・ルイーズ・急性高山病評価尺度2018年版


が改訂された。元論文はここ


1993年以降、レイク・ルイーズ・急性高山病評価尺度は、急性高山病の症状評価で世界的に研究で用いられてきた。日本でも日本登山医学会編集「登山の医学ハンドブック」(杏林書院,2009)に紹介されていたほか、筆者も「高山病をどう回避するか」(富山大学人間発達科学部紀要, 2017)に記載した。


長い間、議論になっていたのは、診断基準に睡眠障害を含めるか否かである。睡眠障害は頭痛・消化器症状・疲労・めまいなどの症状と異なったクラスターであった。複数の因子分析的研究の結果、このことが確認された。そこで睡眠障害を「低酸素症」として、これを評価尺度から切り離し、少し詳細化されている。内容を次に示す。


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頭痛

0 ... なし

1 … 弱い頭痛

2 ... かなりの頭痛

3 ... 頭痛が酷くて何もできない

消化器症状

0 ... 食欲に問題なし

1 … 食欲不振、もしくは、吐き気

2 ... かなりの食欲不振、もしくは、かなりの嘔吐

3 ... ひどい食欲不振、もしくは、ひどい嘔吐で、何もできない

疲労感/脱力感

0 ... 疲れていないし、弱ってもいない

1 … 少し疲れていて、弱っている

2 ... かなり疲れていて、弱ってもいる

3 ... ひどく疲れていて、弱り切って、何もできない

めまい感/もうろう感

0 ... めまい感やもうろう感はない

1 … 弱いめまい感、もしくは、もうろう感がある

2 ... かなりのめまい感、もしくは、かなりのもうろう感がある

3 ... めまい感やもうろう感がひどくて、何もできない

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急性高山病の診断は、高所へ移動してから6時間以内に症状が現れた場合に行い、症状に頭痛が含まれ、かつ、消化器症状、疲労感/脱力感、めまい感/もうろう感 のうち二つの症状が含まれるとする。そして、上記の評価尺度の合計点で、3 ~5点は軽症、6~9点は中等症、10~12点は重症と診断する。


この尺度は研究者向きのもので、臨床家、山岳ガイド、素人が急性高山病を診断するために設計されたものではない。臨床家は症状に頭痛がなくても、この尺度で合計点が3点以上なら急性高山病として取り扱っても構わない。


研究者が急性高山病の全体的な症状を評価するときは次の尺度を用いる。

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急性高山病臨床機能得点

急性高山病の症状があるとして、それはあなたの活動を全体としてどの程度妨害していますか。

0 ... ぜんぜん

1 … 症状はあるが、自分の活動や予定に影響はない

2 ... 症状のために、登山を止めざるをえず、自力で下山するほかない

3 ... 低地への緊急搬送が必要

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