令和6年度 I-DOT「備後絣・阿字和紙 伝統の技術を未来につなぐ」 第15号
備後絣行燈(日本的点燈、Japanese lamp with a paper shade and bingo kasuri ) 試作品
令和6年度 I-DOT「備後絣・阿字和紙 伝統の技術を未来につなぐ」 第15号
備後絣行燈(日本的点燈、Japanese lamp with a paper shade and bingo kasuri ) 試作品
ここまで備後絣について学習してきました。生徒は、思い思いに何を作るか考えています。しかし備後絣=着物、衣類という思考からなかなか離れられません。そこで備後絣を着物、衣類とは違った視点を生徒に示すことを目的に備後絣行燈(日本的点燈、Japanese lamp with a paper shade and bingo kasuri) を試作しました。
<行燈試作>
備後絣、阿字和紙の特徴の一つにその色があります。備後絣の深い青、藍、阿字和紙の白があります。これを生かすために「光」に注目しました。そこで今回、行燈を制作しました。
光源は、LEDを使用しました。LEDは、日本が世界に誇る発明であり技術です。備後絣、阿字和紙も工業製品です。しかし職人さんが丹精を込めて作ることにより生命が付与されていると考えます。備後絣、阿字和紙は、生き物と考えています。人工的工業製品であるLEDの光を生物的工業製品である備後絣と阿字和紙を組み合わせることによって新たな「光」を生み出すべく試作しました。ただ阿字和紙は、温度が高くなると樹皮繊維が固まりません。この時期は、生産されていません。今回は、半紙で代用しました。
サイズを決めます。試作品の為、小さめに作ります。
基礎台です。柱を立てる位置を決めます。
柱を所定のサイズにカットします。
内郭の柱を立て光源のLEDを固定します。
柱間に半紙を貼ります。今回は、柱間に合わせてカットしましたが巻いても良いです。
これで行燈部分は出来ました。
外郭の柱をカットします。
この枠を四個作ります。
作り足していきます。
外郭の柱間に備後絣を貼ります。【注1】
貼り足していきます。
外郭ができました。
【注1】備後絣は、もともと実用品として制作されました。非常にしっかりと織られています。この柄は、プリントではありません。糸を染める際に織りの位置を計算して染め残したものです。 染めもしっかりしています。糸の芯まで染めてあります。もう少し色と生地を薄くしようと思い石で擦りました。ストーンウォッシュの技法を応用しようと思いましたがデニム生地と違い色も落ちず生地も薄くなりませんでした。備後絣の良さを再確認しました。
内郭の行燈部分に外郭の備後絣を重ねます。
点燈すると、こうなります。
課題研究の一つのポイントとして、「視点を変える」があります。備後絣を着物、衣類という視点から「光」という視点に変ることにより、この試作品を製作しました。実際は、もう少し大きくなります。基礎台も檜か杉を使用したいです。生徒が若い感性で何を生み出すことができるか楽しみです。