令和6年度 課題発見講座 E-DOT(2年5組での取り組み) 第5回 番外
令和6年度 課題発見講座 E-DOT(2年5組での取り組み) 第5回 番外
台湾の高校との交流会を終えて
~振り返り、国際交流の視点から~
幸運にも台湾の高校が来校しました。今回の交流会についてどういう視点で交流会を運営したか、また国際交流に積極的な台湾の高校から得た知見や交流会全体を通じて得た気づきを述べます。交流会の模様については、本校HP 学校生活 日楽而楽日 4、5号を参照してください。
1 生徒同士の交流
本校の目的は、生徒同士の交流、外国人とコミュニケーションを取るということ、台湾側は、日本語の実戦練習です。どちら側も生徒同士の交流を望んでいました。外国からの来客を迎えるのによくないパターンは、「お客さん」にしてしまうことです。観客席に座って頂きひたすらホスト側の想いだけで色々な演目を見てもらうものです。生徒を動かさないといけません。今回は、台湾の高校生の人数が13人でした。台湾の高校生1人に本校生徒2人付けて1班としました。本校生徒には、「日本語で良いから、とにかく話しましょう。ここから先は、2人で案内しましょう。お世話をしましょう。」としました。校門で両校生徒を呼び、班編成を行いました。
各班、良くもてなしをしていました。
2 日本的なもの
外国から来日する高校生に限らず多くの人々は、日本的なものを見て、食し、体験することを目的に来日します。今回の高校生は、日本語学科の生徒であり日本を体験し、日頃学習した日本語を実践しに来日しました。そうした生徒なので歓迎するにあたり終始一貫日本的なものを強調しました。私自身一日和服を着ました。和琴、阿字和紙うちわ、千羽鶴もそうです。
3 言語によらないコミュニケーション
本校生徒は、台湾語を全く話せません。台湾の生徒は、日本語を学習しています。日本語検定2級を持っている生徒もいます。しかし、十分にはまだ話せません。私も生徒も備後弁を使わないようにしましたが、台湾の生徒が授業で習っている綺麗な標準語とは程遠いものです。そこで言語によらないコミュニケーションを取ることにし、次の活動を行いました。
①戸手高校:和琴演奏
日本の伝統楽器です。本校筝曲部の生徒が、演奏しましたが、台湾の生徒には体験してもらえずただ聞くだけになったことがもったいなかったです。
②台湾 :歌、カホン演奏
一人がカホンを演奏して一人が歌いました。本校生徒は、歌を知らなくても手拍子したり声を掛けたりして盛り上がりました。若者共通の楽曲、現代音楽は、国境を越
えます。楽器の演奏が付けば 、さらに盛り上がります。楽器も簡便なものが受け入れ易いです。これは、参考になりました。
③戸手高校:阿字和紙うちわ
府中市の名産阿字和紙を使用しました。台湾の高校は、日本文化の学習の一環で浴衣を着ます。その際にうちわは役に立ちます。両校生徒が、共同作業で文字を書いたり絵を描いたりしました。一生懸命コミュニケーションを取りながら色々調べて書いていました。最後に班ごとに発表しました。台湾の高校生が話し、本校生徒がしっかり話す応援をしていました。阿字和紙うちわは、お土産として進呈しました。
③台湾 :台湾独楽
紐を掛けて回します。和独楽と同じ原理です。しかしベイブレード世代の日本の高校生は、和独楽を回した経験がありません。台湾の高校生に習っていました。台湾の高校生は、身振り手振りで教え本校生徒も身振り手振りで答えていました。これも参考になりました。日本であれば、和独楽を使えば良いです。
4 記念品=世界で一つだけの物
記念品交換を行いました、両校で世界に一つだけの物を作れば良いと考えます。市販品でもそれなりの理由があれば良いです。今回の千羽鶴も阿字和紙うちわも、3月のオンライン交流で阿字和紙を紹介した際に台湾の高校生が興味を持った結果です。本当は、千羽鶴も両校生徒で作りたかったのですが、時間がありませんでした。
共同で作業すれば一体感も出ます。達成感も出ます。お土産とすれば、一生残ります。
5 青天白日満地紅旗、national flag
日本国政府は、中華人民共和国を正式な中国と認め中華民国と断交して以来、中華民国=台湾と正式な国交はありません。そこに配慮して台湾国旗という言葉は使いませんでした。終始、青天白日満地紅旗と呼びました。国内外色々な考え方立場があります。言葉の使い方にも気を使います。しかし台湾では、青天白日満地紅旗が随所に掲げられ中華民国と名乗っています。やはりそこは尊重すべきと考えます。次掲左端の写真は、台湾の先生が撮影されたものです。掲揚用旗二枚は、尾道市から借用しました。近隣の府中市、福山市、県立学校はどこも所有されておらず、台湾と交流のある尾道市にお願いしたところ快く貸してくださいました。卓上旗も尾道市から借用しました。手旗は、どこも所有されておらず、製作しました。東アジアでは、儒教的伝統が通用します。その分交流がスムーズです。旗についても「古来、左を尊しとする。」が通用します。立場はそれぞれありますが、国際儀礼上相手国のnational flagを掲げるのは最低限の礼儀です。それなりの数も必要です。会場前に青天白日満地紅旗と日章旗を別々に掲示しているのは、本校2枚目の日章旗が青天白日満地紅旗より大きかったからです。相手国の旗より自国旗が大きいのは失礼ですから。一番上段に手旗を交差し横断幕の下に青天白日満地紅旗を掲示し日章旗をテーブルに配置したわけです。本来は、横断幕の左側に青天白日満地紅旗、右側に日章旗となります。
6 おわりに
グローバル化が進む現代、自国のみでやっていけない、特にエネルギー資源、食料の多くを海外に頼る日本において国際交流、国際教育、国際理解教育は、ますます重要になっていきます。また情報化社会の進展は、イコール国際化です。誰でも海外へ情報発信ができる現代、スマホで簡単に海外と繋がることができる現代、海外に行かなくともオンラインで海外の人と会うことができる現代です。多くの小中学校でも熱心に海外交流をされています。高校では義務教育とは違った国際交流の在り方があります。そういう国際交流に取り組んでみたいものです。