令和6年度 課題発見講座 E-DOT(2年5組での取り組み) 第6回 番外
令和6年度 課題発見講座 E-DOT(2年5組での取り組み) 第6回 番外
文化祭編 課題研究とクラス企画(2年5組の取組より)
6月14、15日(金曜日、土曜日)第24回蒼輪祭が行われました。今回は、本校と「幼・小・中高連携」をしている出原学園すばる幼稚園、福山市立戸手小学校、福山市立新市中央中学校の皆さんをご招待して行われました。2年5組は、課題研究の視点からクラス企画を立てました。本校は、総合学科として地域との協力を重視しています。そこで、今回は「子供たちが喜ぶ企画」、「地域、地元企業と連携できる」。この2点を課題として設定しました。
1 企画の立案過程
まず子供たちが、喜ぶ企画から議論しました。「可愛いもの」「綺麗なもの」「実際に触れてできるもの」などなど様々な意見が出ました。加えて担任から「実物を使う」「動きのあるもの」という課題も加えました。[注1]
その後計画を進めていると生徒から重大な提案がありました。「生き物が、苦手な子はどうするの。」というものでした。[注2]これを受けて「ヨーヨー釣り」が加えられました。「錦鯉の稚魚すくい」と同様の手順で議論が進みました。ただすでにプールの準備をしていたのでプールでできることが優先されました。
2 地元企業(大石養魚場)との連携
早速、大石養魚場さんに連絡をしました。そこで状況が変化しました。近年のコロナ禍で金魚すくい用金魚の取り扱いは、止めたとのことでした。クラス企画を一から練り直さなければいけないかと思っていたところ思わぬ提案がありました。「金魚は扱っていませんが、今の時期なら錦鯉の稚魚なら提供できます。4月に生まれた稚魚をこの時期に選別します。それなら金魚の代わりに提供できます。」とのことでした。生徒に相談すると「錦鯉の稚魚が、よくわかりません。」と返って来ました。金魚は、もともと鮒を改良したもので稚魚の段階ではほどんど変わりは無い[注3]ことを説明すると。
「稚魚を5組が買わないと稚魚は、どうなる?」
↓
「処分されます。」
↓
「購入して稚魚すくいをしよう」
↓
大石養魚場さんも金魚を仕入れる手間が省ける
稚魚を少しでも大切に育てて大きくできる
↓
稀有なクラス企画
「錦鯉の稚魚すくい」
何度か連絡をして事前指導をいただきました。
①前日から水を貯めておきカルキを抜くこと。
②稚魚は、当日取りに来ること。前日受け取り は、繊細な魚ですから遠慮してください。
③前日からエアーポンプを吹いておくことなどを教えていただきました。[注4]当日になり稚魚を受け取りに大石養魚場さんに行くと、またまた喜ぶべきハプニングと教えが待っていました。
錦鯉の稚魚に加えて金魚をサービスで入れてくださいました。写真と動画を見ていただければわかりますが、稚魚よりはるかに大きい金魚を下さいました。金魚すくい用ではなく鑑賞用の金魚です。何故か。見た目(見栄え)の問題です。小さな稚魚だけでは、見た目(見栄え)が弱いです。金魚がいることによって、見た目(見栄え)がはるかに良くなります。ただ普通にはポイではすくえません。またプールの大きさを聞かれ答えると塩を大さじニ杯分ほどくださいました。近年岡山理科大学が、海水でもない淡水でもない水で研究成果をあげられていることを思い出しました。海水ほどは濃くない塩水を作ります。驚きましたが、これが専門家の技です。ネット通販にはない配慮です。さらには養魚場を出るときご主人から「楽しんでください。」と温かい言葉をかけていただきました。
6 おわりに
グローバル化が進む現代、自国のみでやっていけない、特にエネルギー資源、食料の多くを海外に頼る日本において国際交流、国際教育、国際理解教育は、ますます重要になっていきます。また情報化社会の進展は、イコール国際化です。誰でも海外へ情報発信ができる現代、スマホで簡単に海外と繋がることができる現代、海外に行かなくともオンラインで海外の人と会うことができる現代です。多くの小中学校でも熱心に海外交流をされています。高校では義務教育とは違った国際交流の在り方があります。そういう国際交流に取り組んでみたいものです。
3 「錦鯉の稚魚すくい」の実践
魚をプールに話すと生徒から歓声があがりました。生徒も塩を入れることに驚いていました。開門時間になり子供たちが来ました。生徒が一生懸命子供たちへの対応をしていました。幼児がポイを持ってプールの前で困っていました。その時、生徒の一人が見事な対応をしました。課題研究、PDCAサイクルのスモールステップを行い幼児の困り事を解決しました。動画をご覧ください。[注5]生徒は、子供たちに対応するとき、どう すれば喜んでもらえるか考え実行していました。大きな金魚も見事に皆すくわれていきました。こうして大きな収穫を得ながらクラス企画が終了しました。
[注1]E-DOT、I-DOTどちらでも実物を使用しています。コロナで実体験が乏しい生徒に実物に触れてもらいたいという方針を持っています。更に言えば「生命」に触れてもらいたいという思いです。
[注2]これは、課題研究、PDCAサイクルにおいて重大な提案です。私は衝撃を受けました。詳しくは次号振り返りにて述べます。
[注3]金魚でもランチュウのようにヒレがヒラヒラしたものと鮒型のものがあります。鮒ですから髭がありません。鯉には髭があります。鮒と鯉を見分ける最も簡単なポイントです。錦鯉の稚魚とは言え錦鯉ですから、数年後には数十センチになります。金額も少し安くしてくださいました。
[注4]I-DOTでも多くの地元企業さんに協力いただいています。そのポイントは、如何にして信頼を得るかだと思っています。そして実際に会いに行くことです。地元とはいえ知らないもの同士ですかから顔と顔を合わせて話をすることが重要です。
[注5]クラス企画という大きなPDCAサイクルの一場面で小さなPDCAサイクルを行い課題を解決しました。詳しくは次号振り返りにて述べます。