C003:エルガーを知ろう
【SJPOジュニアオーケストラ講座】 エルガーを知ろう
【サー・エドワード・ウィリアム・エルガー Sir Edward William Elgar】
◆エルガーは、イングランドの作曲家であり指揮者で、もとは音楽教師でありヴァイオリニストでもありました。
行進曲集「威風堂々」や「エニグマ変奏曲」など楽曲の多くは母国イギリスのみならず、世界中の演奏会で取り上げられ、
イギリスを代表する作曲家として広く知られています。
【エルガー年表】
1857年:イングランド(イギリス)のウスター近郊のロウアー・ブロードキースにて、
調律師で楽器商の家に生まれる。
1872年:学校卒業後、事務員として働くが、すぐに辞めて音楽活動を始める。
1879年:養護施設付属楽団の指揮者に就任して、作曲活動も始める。
1889年:アリスと結婚。婚約の贈り物として「愛の挨拶」を作曲して捧げる。
1890年:一人娘のキャリス・アイリーンが生まれる
1899年:「エニグマ変奏曲」作曲・初演。
1901年:「威風堂々第一番」を作曲・初演。
1902年:エドワード7世の戴冠式で「戴冠式頌歌」が演奏される。
1904年:イングランドの作曲家として初めて9ロイヤル・オペラ・ハウス音楽祭で
作品がとりあげられる。
バッキンガム宮殿にてナイトに叙される。
1908年:「交響曲第一番」を作曲・初演。
1910年:「ヴァイオリン協奏曲」を作曲・初演
1911年:メリット勲章を受章。
1924年:国王ジョージ5世の音楽師範に任用される。
1931年:初代准男爵に叙される。
1934年:大腸がんで亡くなる。(76歳)
【1857年(安政4年)頃のできごと】
◇第13代将軍:徳川家定/第121代天皇:孝明天皇
◇1853年:ペリー来航(黒船来航)
◇1857年:インド大反乱(セポイの乱)勃発
◇1858年:日米通商修好条約調印・安政の大獄
【音楽を始めたきっかけ】
◇楽器商を営み、プロ並みのヴァイオリンの腕前を持つ父の影響で、ピアノとヴァイオリンを習い始めました。
◇エルガーは、作曲家で指揮者でもあり、ピアノ、ヴァイオリン、ファゴットの演奏もできました。
【英国におけるナイト(knight)と准男爵(Baronet)】
◇叙勲制度の称号です。ナイトは一代限りで、その上の准男爵は世襲制で、どちらも貴族でなく平民です。
フルネームの前に「サー(Sir)」をつけて呼びます。
【エルガーの主な作品】
◇独創主題による変奏曲(エニグマ変奏曲)
◇交響曲第1番 変イ長調 作品55
◇交響曲第2番 変ホ長調 作品63
◇行進曲集「威風堂々」第1番~第6番作品39-1~6
◇ヴァイオリン協奏曲ロ短調 作品61
◇チェロ協奏曲ホ短調 作品85
◇『戴冠式頌歌』(Coronation Ode) 作品44
◇「愛の挨拶」作品12
◇弦楽四重奏曲 ホ短調 作品83
◇ピアノ五重奏曲 イ短調 作品84
◇組曲『子供の魔法の杖』("The Wand of Youth")第1、2番 作品1A,1B
◇弦楽四重奏曲 ホ短調 作品83
◇弦楽セレナード ホ短調 作品20
◇序曲『コケイン(首都ロンドンにて)』"Cockaigne""In London Town"作品40
◇劇音楽『星明かりの急使』("The Starlight Express") 作品78
◇オラトリオ『ゲロンティアスの夢』("The Dream of Gerontius") 作品38
◇オラトリオ『使徒たち』("The Apostles") 作品49
◇組曲『インドの王冠』(Suite "The Crown of India") 作品66
◇3つのバイエルン舞曲(Three Bavarian Dances) 作品27
◇『黒騎士』("The Black Knight") 作品25
【エルガーの時代の大英帝国 】
◇エルガーの生まれた1850年代からイギリス帝国は急激に成長を遂げて「世界の工場」と呼ばれるようになりました。
◇特に1800年代に音楽家が育たなかったイギリス国民にとって、エルガーはイギリス出身の世界的に有名な作曲家として
誇らしい存在となり、多くのイギリスの作曲家がエルガーの影響を受けて成長していきました。
【イギリスの正式名称】
◇「イギリス」と呼ぶのは実は日本だけで正式な国名は「グレートブリテン及び
北アイルランド連合王国」です。
◇英語名も「イングランド」ではなく[United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland] と、
呪文のように長い国名で、一般的に「UK」と略します。
◇イギリスは[イングランド] [ウェールズ] [スコットランド][北アイルランド]の4つの国の連合王国で、
1つの主権国家で1チームのみのオリンピックは「UK」としての合同参加ですが、W杯などは4つの国家が別々に参加しています。
◇エルガーは、イングランドの出身で、ウスターソースで知られているウスターで生まれ、
時期によってロンドンやウスターに住んでいました。
【イギリスの国旗(ユニオン・フラッグ)】
①初代イギリス国旗(ユニオン・フラッグ)は,イングランドの国旗(聖ジョージ旗)とスコットランド(聖アンドリュー旗)の
旗を組み合わせて1608年に作られました。
②アイルランド王国との合同でUKが成立した1801年に、アイルランドの旗(聖パトリック旗)を組み合わせて、
今のユニオン・フラッグが作られました。
※ユニオン・フラッグはユニオン・ジャックとも呼ばれ、2つの斜め十字の模様を若干ずらしてあり、
上下左右が対称でなく表裏の区別があります。
【主なイギリス人作曲家とその代表作】
◇H.パーセル [1659年-1695年][ディドとエネアス ]
◇G.F.ヘンデル [1685年-1759年][水上の音楽 ]
※ヘンデル(英語名ハンデル)はドイツからイギリスに帰化しました。
◇E.エルガー [1758年-1834年][行進曲集「威風堂々」 ]
◇R.V.ウィリアムズ[1872年-1958年][グリーン・スリーブス ]
◇G.ホルスト [1874年-1934年][組曲「惑星」 ]
◇W.ウォルトン [1902年-1983年][戴冠式行進曲「王冠」 ]
◇B.ブリテン [1913年-1976年][戦争レクイエム ]
【なぜイギリス人の作曲家が少ないのか?】
◇イギリスではバロック時代のパーセルの後、エルガーが活躍する19世紀まで有名が作曲家がいません。
◇その大きな理由として、1638年のピューリタン革命(清教徒革命)で、議会派を率いたクロムウェルが音楽などの
民衆の娯楽を禁止して、教区教会のオルガンは破壊され、礼拝堂合唱団も解散させられて、イギリスの作曲家達は
国外へ逃亡したため、とも言われています。