松瀬靑々は、子規が「ホトトギス」誌上で「大坂に青々あり」と讃えたことで一躍俳人として名を馳せることになりました。「ホトトギス」とは次第に距離を置くようになりますが、子規忌(糸瓜忌、獺祭忌)を修することを忘れず、酬恩の気持ちを示し続けました。『松瀬靑々全句集 上・下』(邑書林、2006・2011年)が刊行されています。
糸瓜忌や芒十句に日のくるる
秋ことに古りゆくものは子規忌かな
夏菊を雨夜に堤て子規忌かな
子規忌にも今年は柿の青さかな
月過のよき薄取る子規忌かな
<日盛りに蝶のふれ合ふ音すなり>は、靑々の代表句としてよく取り上げられます。自然界の妙に触れることを重視した靑々は、自然を讃仰する作品を多く詠みました。