新渡戸稲造(にとべ・いなぞう;1862-1933)のBUSHIDO The Soul of Japan (『武士道』)は、1899年にアメリカで出版されました。それから数年のうちにドイツ語、ポーランド語、フランス語、ノルウェー語、…などの各国語訳が刊行されて、世界的なベストセラーになります。BUSHIDOは新渡戸が妻のMaryに武士道を理解してもらうために語って聞かせたことがもとになっており、日本人によって書かれた日本論として注目を浴びました。本書には、詩が多く引かれています。
新渡戸は、英語俳句(俳句の英訳)の先駆者でもあります。毛越寺(岩手県、平泉)の広場の一角にある碑には、以下の松尾芭蕉の<夏草や兵どもが夢のあと>の新渡戸による英訳が刻まれています。
The summer grass
`Tis all that`s left
Of ancient warriors` dreams.
Inazo Nitobe
さらにいえば、若いころから俳句に興味を持っていたようです。15歳で北海道(札幌農学校に入学のため)へ立つ際、養父・太田時敏(実父・新渡戸十次郎の弟)に宛てた手紙(1877年8月17日付)に、以下の俳句を記しています。
北国もいとわづ開らく稲之花