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部品入手

N600のセルの部品を人伝でアメリカから購入しました。梱包の新聞が英字新聞です。(当たり前だわな)

カバー類とリビルドセル、フライホイールのセットです。

まずは重量を測定して見ましょう。フライホイールは5.5kg、セルダイのローターは5.0kg。500gの差ですが、フライホイールの方が直径が大きいため回転質量はもっと多いはずです。

せっかくクランクが軽量化してあるので、対策したいところです。ローターの肉厚は十分有り、削れそうですね。また、歯数が同じEAのリングギアは歯が薄いので交換したら効果があるかもしれません。ちなみに下がEA。

早速、昨年使ったレース用エンジンに仮止めしようとエンジンを引っ張り出して見ると虫の蛹がセルダイに付いていました。エンジンと一緒に越冬したんですね。

セルダイを外してケースとセルを仮組みしてみます。オイルクーラーのフィッティングが当たるかも知れないと心配だったのが、やはり仮組みして見ると干渉する事が判明しました。フィティングを換えて、引きまわしを変えれば対処できそうです。

あと干渉が心配なのがセルとエキパイです。同じような角度から写真を撮ってみたり、寸法を測って見たりしてみましたが、組んでみないと判らないのが結論です。エンジンルームの配線が煩雑ですねえ。これも綺麗に直さなくては・・・・・・

部品加工

まずレース用にN600のスターターが使用できるフライホイールを作ることにしました。クランクシャフトとの結合部分は死んでしまったセルダイのシャフトを用いてリングギアはEAの物を使い、N600純正発電機付きローターは温存します。

セルダイのローターに圧入されているシャフトを抜きます。これまたいつもお世話になっている堀口内燃機さんにお願いしました。

このシャフトを仮組みして、寸法を採寸します。

さらにEAのフライホイールのリングギアをバーナーで炙って取り外します。

セルダイのシャフトとEAのリングギアを並べて見ました。重量は合わせて1kg位ですから、アルミでフライホイールを作るとだいぶ軽くなりそうです。

採寸したところで、図面を作成しました。これで堀口内燃機さんに製作を依頼する予定です。

フライホイールが堀口内燃機工業さんから出来あがってきました。もう少し肉厚が薄くても良かったかもしれません。

重量は約2kgと半分以下になりました。

バランスも取ってもらい、0.16gに修正してもらいました。ドリルでさらってある部分です。

検査証明付!!

N600のシャフトよりN360セルダイのシャフトが細いため、28×47×7のオイルシールを武蔵オイルシール工業さんから分けていただきました。

出来あがったフライホイールを組み込みます。

カバーにこのオイルシールを入れて、後セルを組みこむと完成です。

バッテリをジャンプコードで接続し、回して見ましょう。

コンプレッションの高いエンジンがキュルキュルと良く回ります。インテークポートを手で塞いでも元気良く回ります。これで安心ですね。

発電系が無いので、小さな発電機を余っているプリーで回すのも良いかもしれません。

おまけ。1972年オートテクニック誌7月臨時増刊号TUEING UP MANUALのホンダZ/Nレース用フライホイールの写真です。やはりもっと薄く、さらに軽め穴が開いているのが判ります。いつか追加工して同じようにしますか。

エキパイ干渉対策

その後、エキパイとセルが干渉することが発覚。この干渉の対策を行います。

フライホイールハウジングの取り付け位置を若干右に回転させてセルの位置をずらすことで干渉を回避することにします。フライホイールハウジングに穴を開けますが、その周辺のアルミ補修剤で肉盛りを行います。

穴あけ加工後、裏側をフライスの歯でざぐっておきます。

仮止めしてみるとこんな感じです。右が位置変更後。これで干渉が防げるはず・・・多分

しかし、この対策品を組み込んで再確認しようとサブフレームに組んだ状態で吊ってエキパイを組んでみると・・・・

真横から見るとセルの取り付け穴がエキパイと重なっています。やはり取り付けようとすると干渉しています。この作戦ではオフセットが足らないという結果でした。

エキパイ干渉対策2

セルアダプタを用いてEAのセルと取り付けると、EAのセル自体が細いために干渉しないのではないかと言う話を伺いました。K&Kに参加されていたS部さんより、こんどセルアダプタを作るのでいかがですか、とタイミングのいい話も有りましたので譲っていただきました。早速取り付けてみると、セル自体の細さがぜんぜん違うのが解ります。(下はN600用セル)

これで大丈夫か確認するため以前撮影したエキパイの写真と合成すると、まだ干渉しそうです。そこでセルアダプタを設計してみました。クランクセンターからの距離を同じにして上方にオフセットし、セル取り付け穴を共通にした図面です。薄い線が従来品の穴位置です。

この図面を元に作ります。従来のセルアダプタの厚さは14mm、秋葉原のアルミ材屋さんで入手できたアルミ板(と言うかブロック)は15mmでした。ギヤの食い込みが浅くなりますが、まあ良しとします。(ちなみに¥2,180-)で、これを切り出すわけですが、セルの入る穴は内周にドリルで穴を開け、さらにタガネで穴間を切り飛ばしました。これをベルトサンダーで仕上げるという大技です。

外形は金鋸で切り出します。さすがに15mm厚のアルミを切るのはしんどいです。案の定、翌日は筋肉痛!!

完成した物がこれです。

しかし、検討した合成写真でセルの裏蓋を固定しているネジがまだ干渉しそうだったので。裏蓋を回転して取り付けられるようセルアダプタに雌ネジを切ってみました。セルの本体もこのネジが干渉しないよう削っておきました。ネジも長い物を新調します。

さあ、これで干渉しないと思います。載せ換えるときが楽しみですね。

フライホイールはセルダイの芯の部分を加工してアルミを圧入していましたが、慣性で圧入部分がずれてしまうのではないかと不安になり、φ4のピンを二本装着しておきました。クラッチとは違い動力を伝達するわけではないので、大丈夫かなと思っています。

オルタネータ追加

フライホイールから発電機を外してしまったのですが、普段の発電が必要です。N600の発電機を復活させる手も有りますが、故障したら後々の部品入手にまた手間取りそうですので他の方法を検討していました。一時期はGPZ1000の背面ジェネレータを入手し検討もしました。(エキパイ干渉対策2でクランクケースに乗っているのがそれです)

そんな訳でVベルトドライブのオルタネータ、それもICレギュレータ付きでコンパクトな物を探すとミラ・クオーレ(デンソー品番:100211-1610)の物が良さそうだったので、リビルド品を入手。これは40A品なのでノーマルより高出力に成ります。

とりあえず位置出し用の仮のステーでベルトの寸法を計測し、25inch長のVベルトを入手してステーの詳細寸法を検討します。位置出しの検討点はシリンダーとの干渉、オイルレベルゲージとの干渉です。

採寸の結果から6mm厚のアルミの廃材から金鋸でざっと切り出します。

作ったステーで仮留めして各部の干渉を再確認。

オルタネータの取り付けに5mm程のワッシャーを入れるとベルトラインが出ます。さらにオイルレベルゲージも5速なら大丈夫そうです。(検討は4速エンジンだったのでディープソケットをガムテで固定して検討)

ステーを仕上げてこれは完成

ターンバックルはピロボール製にしたいのですが、すぐに入手できないためホームセンターで入手した建材でなんちゃってターンバックル作成。両方とも正ネジなので、調整時には外してネジのピッチの半分単位でしか調整できません。

セル,オルタネーターのユニットを外すとずっしり重たいです。セルダイと重量比較してみるとセル,オルタネーターのユニットが約11kg、一方セルダイは約10kgと思ったより重量差はありませんでした。

最後にブラシ用の穴をアルミ板で塞ぎました。車載準備完了です。

部品の準備も出来たので車体へ組み込んでみます。セルの干渉対策後の組み込みもしていないので、これも確認の必要があります。

組んでみると・・・・・セルがエキパイに干渉します。写真の状態でエキパイがエキゾーストポートに入っていません。さらにオルタネーターが電動ファンのステーに干渉しています。

電動ファンの干渉はある程度想定していましたが、いまだにエキパイとセルが干渉するとは思っても見ませんでした。さーて、対策を施します。

まずは悪あがきですが、セルを小さく出来ないかとセル直径が同じCBX125のセルをばらして比較してみましたが、シャフトの形状が異なり没。当然ですな。

さて、どうしたものかと考え、エキパイ干渉対策で施した作業をさらに進める方向でフライホイールハウジングの取り付け位置をさらに右に回転させます。前回と同様アルミ補修材で肉盛りして穴を4箇所追加。穴あけ時にハウジングより補修材が柔かいため、センターがずれたのをヤスリで修正して若干長穴に成っています。

さらにシリンダーのシュラウド取り付けネジとRクランクケースカバーとの干渉部分を削ります。

また、新設したフライホイールハウジング取り付け穴の一つは、フライホイールと干渉しない様に、秋葉原で見つけた六角穴付ボルト用フライス付きドリルで埋め込み処理して取り付けます。

また、ハウジングが回転したためオルタネーター用ステーの穴位置変更、なんちゃってターンバックル切り詰め、電動ファンのステー切り欠き加工も行います。

これらの加工でやっと取り付け完了。今度はエキパイとの干渉もありませんし、他の干渉もぎりぎり大丈夫です。

セルの配線を施し、エンジンを駆けてみました。セルダイの心もとない音ではなく、勢い良く普通のスターターモーターの音になりました。

YouYube動画

次に発電系の配線を行いますが、IG端子に12Vを供給しても出力に電圧が出てきません。色々悩んでいたところ、オジサン修理工さんのアドバイスで解決しました。L端子はチャージランプ用出力と認識していましたが、初期励磁にも用いていることが判明。 ここの回路図を見るとL端子は出力だけでなく制御回路に入っていて、ここから初期励磁電流として供給しているようです。

やっとノーマルのレギュレータも外せ、すっきりしてきました。

発注していたピロのターンバックルが到着しましたので取り付けますが、ハウジングを回転させる前の最初のなんちゃってターンバックルの寸法で発注していました。当然長さが長いのですが、もったいないのでエンジン(セル)側にカラーを設け、ベルトを1inch長く26inchとして取り付けました。オルタネーターステーがベルトのテンションでたわんでいましたが、ターンバックルを斜めに着ける事でこれも解消しました。さらにターンバックルとオイルレベルゲージの干渉も同時に解決。一石二鳥効果です。

N600セルを入手したのが2002年春でしたから足掛け7年で完成・・・・・・・我ながらこの長さには呆れます。

今後の課題:エンジンとオルタネータのプーリー径がほぼ同径です。高回転エンジンなので駆動ロスも考えるとオルタネータのプーリー径を大きくしたいです。

ステー見直し

ある日、途中でチャージランプ点灯・・・ベルトが外れたのかなぁとボンネットを開けると・・・・軽め穴部からポッキリ。。

もっと全日本穴あけ狂団の教義を学ばねば・・・・

厚いステーを作ればよいのかも知れませんが、金鋸で切り出すのも大変なので溶接修理に補強プレートも作って併せて出しました。

試走後にオルタネータステーをチェックしたところ、再度クラックが入っていましたどこかに共振点が有る様です。

で、さらに裏に補強板を作って溶接に出しました。もう軽め穴は塞がれました・・・・さらに取り付け時にはシリンダーヘッドからのステーも追加。

しかし、サーキット走行ではボルトが緩み対策としてワイヤリングしましたが、最終的にはステーに再びクラックが。そこで4mmのアルミ板×3枚、合計12mm厚のステーを作成。


この仕様ではオルタネータ取り付けボルトの欠損が起こりました。そこでこの形状では対策をしても根本的な解決は出来ないと判断。セルアダプターを伸ばしてオルタネータステーを兼用させるものを検討開始。まずは現物を採寸し、材料の15mm厚アルミ板入手。


それをグリグリ、ゴリゴリして完成です。


新しいステーでフィッティングついでにSAのウオーターポンププーリーを付けてみますが、干渉しまくりで没。でもエンジンが高回転なので減速したいのですが、次のステップで検討しましょう。また、ターンバックルの取り付け部をエンジンヘッドに変更しました。またターンバックルの長さを測って再発注かと思いましたが、ふとオートバイ用ミラーの逆ネジアダプターとメスのピロボールを使えば出来るのでは・・・・と思いつき購入してみた所、なんとぴったりです。安価に構成できました。


プーリー見直し

ヤフオクで入手した良さそうなプーリーを発見し、購入しました。

従来はクランクプーリーφ73に対してオルタプーリーがφ63と、エンジンより回転数が高かったので、φ79のプーリーを入手しました。

何用のプーリーか不明で、安かったのでギャンブルで購入しましたが、取り付け内径が2mmほど大きいです。どこかにお願いしてカラーを削り出す事も考えましたが、ワッシャーを使い古したソケットレンチの駒で挟んでハンマーで叩き、内径にバリを作ってセンター出し成功。早速取り付けましたが、24インチのベルトでは短く、25インチのベルトでは長いので24.5インチのベルトを採用。