Engine rebuild Ⅱ
エンジンを直してから1年。2010年夏に横浜小型ハーレー軍団と山間部のハイペースツーリングに行って調子よく走っていたのですが、最後の椿ライン上りでパワーダウン。あとコーナー3つでパーキングというところでエンジンストップ・・・・終わりました。プラグを外して覗くとまたしてもピストンにぽっかり穴が空いているのが見えます。この日は箱根新道の下までエンジンレスで下ってピックアップしてもらいました。
さあて、再びエンジン修理の開始です。
スペアのエンジンブロック等は有りますが、350のピストンは使い切ってしまいました。ホンダに頼んでもオーバーサイズのピストンはでないでしょうし、代替ピストンを探さねば。。。。等と悩んでいる時、横浜小型にお邪魔すると2バルブのφ66のピストンが転がっています。ざっと採寸すると、ピン径は同じ,ピンハイトもほぼ同じです。何のピストンか尋ねるとカワサキZEPHYR750のピストンとの事。そういえば、CB72ミーティングでもそんな話を聞いた気がします。
てなわけで、早速お取り寄せして採寸。CBのピストンの間の捕まった宇宙人の様にぶら下がっているピストンがZEPHYR750用1mmO/Sピストンです。計測するとピストンハイトは1mmCBより高く、コンプレッションハイトが若干低いですねぇ。
重量も穴のあいた350ピストンより軽いですし、さらにピストンントップはコーティングが施して有ります。よしっ、これで新しいエンジン作成の作戦を練ります。
ピストンハイトの差はノーマルベースパッキン0.5mmの代わりに0.8mmで2つ作り、これを重ねることで0.6mmとし、ノーマルヘッドガスケット1mmを0.8mmの銅板で作り、幸いなことにコンプレッションハイトも低いのでヘッドを1mm面研する事にします。
(0.8×2-0.5)+(0.8-1.0)+(0-1.0)=-0.1
これならカムとクランクが0.1mm近くなる程度ですのでカムのタイミングも問題ないでしょう。
ゴソゴソとドナーブロックを引っ張り出しどれを使うか検討しましたが、ヘッドもどうせ面研するし、今回は250ベースで作ることに決定!!
さて、長年放置したエンジンは油汚れとサビでひどいことに成っています。ブラストに持ってゆくにも余りにも状態が悪いので、内蔵を取り出して穴にゴム栓をして洗車場の高圧水で洗浄を試みますが・・・・・・全く戦いに成りません。洗車場のオヤジにもこりゃ無理だよ諦めなと言われる始末。。。。
この状態じゃブラスト屋に断られそうなので、レンタルピットのブラストで自分でやることにしました。でもってキャビネに入れて扱いやすい大きさにばらしてマスキング。ところが、レンタルピットのブラストしているとブラストガンが壊れて腰上のみと成ってしまいました。腰下は次回ということに。。。
シリンダーはスリーブ交換となりますが、家にはN360Eのノーマルスリーブがゴロゴロしています。ボーリング屋でのスリーブ作成費用削減のため、このスリーブに交換してボーリングとヘッド面研を依頼。しかし電話が・・・・このスリーブじゃ肉厚が足らないとの事。しまった、欲張らないでO/Sピストンにしなきゃ良かったぁ。仕方がないので2009年に壊したエンジンの350シリンダーを持ち込んで、これを加工してもらう事にしました。
ボーリングが完成する間には小物作成です。0.8mmのパッキンからベースガスケット2枚、0.8mm銅板からヘッドガスケット作成。250のノーマルガスケットと重ねるとこんなにボアが広がります。内臓の掃除もしておきますが、クランクにある遠心オイルフィルタ?の溝もステンの針金でこそぎ落とします。
ボーリングが上がったヘッドはお決まりのポート研磨。ゴリゴリゴシゴシスリスリ。良い感じに成りました。
エキゾースト側が工具が入りにくくてどうも削りにくいなぁと思っていたら、エキパイフランジ側が350と比べて細いです。350と同等の径にけがき線を入れてゴリゴリゴシゴシスリスリ。
ヘッドの作業はバルブ研磨も忘れずに。ボール盤にて軽くポリッシュ。
ケースのブラストが完了しました。しかし、250のケースに350のスリーブは入らないので、ケース加工もしなくては成りません。ボール盤にリューターの刃を加えてガリゴリ。右側が加工済みです。左も同様に加工。
ケースの加工はバッフルプレートのカシメを外してタップ立ても行います。
さて、ケースの切削加工が終わったので、スラッジ,切子やブラストメディアで汚いケースの洗浄です。これも手間が掛かります。アルカリ洗浄剤で大まかに落として、ワイヤブラシやボンスターで擦らないと落ちません。やった成果がこれです。
これでやっと組立に入れます。腰下を組む前に250と350にクランク重量比較。あれ?重さってほとんど変わらないんですね。軽量クランクを期待してたんですが・・・・
250のクランクより350のクランクのローラーベアリング数は多かったはずです。でも350のクランクは洗浄が終わってないので、今回は250クランクを組みます。
腰下完成・・・・と思ったら買っておいたFZRカムチェーンを組むのを忘れていました。仕方がないのでノーマルカムチェーンを切って、FZR用を針金で結んでクランクに組んで、最後にリンクを組んで完成。FZR用がリンク式でよかったぁ。
さて、腰上作業ですが、ベースパッキンを入れてシリンダー、ピストンを仮組みしてみます。ピストンハイトがシリンダーの高さと同じになり計算通りなのを確認。
次にヘッドガスケットを仮組みしてピストンヘッドに粘土を置いて、ヘッドとカムも仮組みしてクランク2周。ありゃ、バルブはクリアランス十分ですが、ヘッドとピストンのクリアランスが少ないですね。これはヘッド側を削って対応。(写真撮り忘れました)
なんだかんだ有りましたが、エンジン完成。
よっこらさっと、壊れたエンジンを下ろして、新しいエンジン搭載。
汚いマフラーを組むのも忍びないので、ペーパーかけて耐熱塗料で塗装します。うーん前衛芸術のオブジェだすな。
でもって完成って事でエンジン始動。一発始動です。
暖気後、近所を一周・・・・と思ったらあれ?タイヤがズルズル。止まって見るとエンジンオイルダダ漏れです。帰ってどこから漏れてるか確認すると、クラッチのプッシュロッドのオイルシールが抜けてます。仕方がないので脱脂して再挿入、シリコン塗ったくり、抜け止めストッパー作成し使っていないニュートラルスイッチのネジ穴を使って装着。これでどうにか対応完了!!