ほんの累積 平成22年9月

平成22年9月29日

「ROADSIDE CROSSES」 JEFFERY DEAVER ISBN:978-1439163191 C0407

ようやく読了。この遅さは、ほとんど別の本に浮気しまくっていたせい。

さすがにこの著者の書く本は一気読みせざるをえないジェットコースター並みのノンストップストーリー。

長く楽しむならこういう風に原本眺めるのがよろしい。といいつつ、ハードカバーが出てペーパーバックが出てという時間差もあり、邦訳されるのに追いつかれるスレスレである。来月か邦訳が出版されるそうだから楽しみ。

Nativeでないから当然かなりの部分を抜いて読んでいる。これを補填してゆく楽しみがある。邦訳を読んでしまうと頭の中でごっちゃになるので自分にどれほどの英語の読解力があるかどうか検証にもならないけど。

つぎはキャロル・オコンネルの「BONE BY BONE」に入ることにする。これが読めたらマーテインの「DANCE WITH DORAGON」かS・KINGの「UNDER THE DOME」にゆきたいけど、ペーパーバック出ているだろうか。そこから検索しないといけない。

ミネット・ウオルターズの新作でもあればいいのだが。博多か広島あたりで漁れるといいけどなあと思っている。

10月には広島に丸善ジュンク堂提携の店舗が開店するという話である。以前行った博多の丸善は洋書で面白いのがあった筈だが、これは閉店したのだっけ?といろいろ書店を探すのが趣味になっている。

まあ、都会ならばこんな苦労はなさそうですが、あいにくと洋書を扱っている書店をさがすだけで地方は一苦労なのだ。

平成22年9月28日

「天然日和」 石田ゆり子 幻冬舎 ISBN:4-344-00212-1 C0095

最近「スジナシ」が放映されているのを見つけて見ている。先日は石田ゆり子の回。

鶴瓶が「ようわかるでしょ、この人天然なのが」といっているのを見て早速読んでみた。たしかにとても「幸福な天然」である。

猫4匹と犬1匹との同居生活。この「花」というレトリバー、なんだか「マーリー」タイプのように思える。

猫の毛玉がフワフワと漂う(よくないが)本で一杯、インテリア関係にも趣味のあるというこの方のお宅こっそり覗いてみたいような。

題名の勝利!という感じのご本でした。

秋雨じゃ、濡れると風邪をひくぞ。鉢植えの椿がたくさん蕾をつけています。金木犀はまだのようで。

平成22年9月27日

「夢の破片」(ゆめ の かけら) モーラ・ジョス 早川ポケットミステリー ISBN:978-4150017620 C0

「兄の殺人者」 D・M・デイヴァン 創元推理文庫 ISBN: 978-4-488-24006-6 C0197

「死ねばいいのに」 京極夏彦 講談社 ISBN:978-4-06-216172-5 C0093

みごとなノアール小説。なんと舞台は英国のマナーハウスときているから凝っている。

ひとにはそれぞれ人生を歩につれて残して来た「夢の破片」がある。ふとしたきっかけで寄り添うことになった三人の男女の人生が、主人が留守をしているマナーハウスに暮らすようになり疑似家族として暮らすことになるのだが…

淡々と語られるそれぞれの過去が織りなす哀愁が、美しいマナーハウスを背景に夢のように思い出される。

それでいて夢物語然としたというには厳しくリアルな人生が展開しているというノアール好きにはこたえられないお勧めの本。

「兄の殺人者」

殺されたとおぼしき被害者は主人公の兄。二転三転どころか4転5転する筋の運びは楽しい。なにしろインタビューする相手と主人公の自覚 というか認識がどこかずれていて、主人公あんたこそどういう奴なんだという問題の方が気になった。

手だれの推理小説読みでも満足できる面白さでした。

「死ねばいいのに」

読後思わずつぶやいた。「嫌な小説だなあ」。勿論褒め言葉だというところが京極夏彦の本たるところでありまして。

やはりネットで読まないでリアルに本で読む方がわたくしの好みですね。

それにしても、自分のことを言われているようで困ります。え、「何人目が自分に似ているんですか?」ですか。それは言わないことにしましょう。ネタばれになりそうですし。

空気が澄んでお月様が綺麗に見えるようになりました。気温も二十度ちょっと越えたくらいの肌寒い夜。鈴虫が盛んに、蟋蟀がほろほろと鳴いております。油断したら風邪をひきそう。おお、久しぶりに山口の「ういろう」が手に入ったぞ!!!るんるん

平成22年9月22日

「シューマンの指」 奥泉光 講談社 ISBN:978-4-06-216344-6 C0093

「冬の薔薇」 パトリシア・マキリップ 創元推理文庫 ISBN:978-4-488-52010-6 C0197

芥川賞作家が書いたミステリー風青春小説といったら怒られるだろうか。

とりあえず、読み始めたところでこの本がどういうジャンルにあたるかということを把握しておいた方がよろしいのではないかと老婆心ながら。

なにしろシューマンはおろか音楽関係に全く無知な自分のような人間が読み出すと、衒学趣味なのかなんなのか訳の分からない世界につれて行かれる心地して途方にくれたりする。はい、負けました。勘弁してください。

書評そのた非常に評判がよろしいこの本、それだけのことはあります。ミステリーとしてもなかなかなのではないか。

と、奥歯にものの挟まったような言い方をするのは、シューマンの楽曲に関する評論がつまびらかに語られるこの記述に何処へつれて行かれるのか不安のあまり途中すっぽかして最後のネタばれ読んじゃった為です。

青春時代の過剰な自意識をシューマンの楽曲に対する分析に絡めて語られる進行はちょっと自分にはきつすぎた感あり。

が、ここまでの濃密な世界を構築しているとういうことで、芥川賞文芸作家といえるのでしょうね。

おなじ「いやったらしい自意識過剰」といえばふと庄司薫を思い出すのですが、やっぱり一見分かり易く見せるという高度なテクニックで庄司薫の方が上手かもしれない。

自分には向かない本でしたが、ここまでやれれば快哉というものでしょう。

先日読んだ「音楽家と病気」の関係を探った本にはどう書いてあったんだっけ?シューマンという作曲家は。もう忘れている。

「冬の薔薇」

マキリップらしい作品なのだけど、なんだか不消化な感じの読後感。人物設定が凝りすぎたのか、配役が間違っていたのかよくわかりませんが。別に悪いわけでもないけれど、もっと良い作品に出来たのではないかと思ってしまった。

表紙の女性の顔をみていると気持ちがわるくなるのは、どこかバランスがおかしいからだろうか。

ダ・ビンチの肖像画に似た感じの女性像があったような気がする。否あれはラファエロ?

ともかくそれは気持ち悪くないから、多分こっちのデッサンが狂っているのでは?と要らぬ所が気になっていけない。

平成22年9月15日

「続巷説百物語」(ぞくこうせつひゃくものがたり) 京極夏彦 角川書店 ISBN:4-04-873300-1 C0093

「巷説百物語」(こうせつひゃくものがたり) 京極夏彦 角川書店 ISBN:4-04-873163-7 C0093

「続」とつくからは、時制的にはこちらの方が後になりまして、「前」ということは当然これらの「前」のお話となっており。

つまりは相変わらずひねくれた性格のためか物語を遡ってよんでいるという次第。

「前」の語り手というか主人公は「又市」で、彼がお札売りの格好をするようになったそのいきさつめいたところが語られる。

でなにもついていない「正伝?」の視点は不特定多数(どういう表現じゃ)。「続」で語る視点は「百介」(ももすけ)ということになります。

京極さんの書く「女性像」というのは少々類型化してはおりますまいか。ついでに登場するのは少数だし。

まあ、よんでいて面倒がなくていいか。色恋沙汰はややこしいので。

ううんと、それで近刊が「西」でしたっけ?癖になりますね、あいかわらず「声に出して読みたい作品」なのでした。

おもしろそうなのを借りて来たのでさあ読むぞ!と思ったら睡眠時間がなくなりまして気力の方がもたないかもという状態。

ヨガ教室に行って搾られて、そのせいか体全体ぐったり。眼はしょぼしょぼ。腹はぷっくり(これは関係ないか)

とりあえずいい加減Roadside Crossesを読み終えないと。涼しくなったことですし。

平成22年9月10日

「チェックメイト」前編ブラック・キャット5 新井素子 集英社 ISBN:4-08-600361-9 C0193

「チェックメイト」後編ブラック・キャット5 新井素子 集英社 ISBN:4-08-600362-7 C0193

「前巷説百物語」(さきのこうせつひゃくものがたり) 京極夏彦 角川書店 ISBN:978-4-04-873769-2 C0093

編集者佐藤さんに感謝!このシリーズ、発刊と同時リアルタイムで読んでいましたのでじつは設定ほか内容全部忘れておりました。

さすがに18年?の永きに渡って書かれた「コバルト文庫」というのはある意味珍しかろう。ってコバルト文庫そこまで長生きしているわけかと考えれば凄いものです。

で、刊行が2004年。このとおり「いやあいつか買わなくちゃ」と思っていたら本屋で見掛けなくなって読みそびれてこの2010年ようやくお仕舞いまで読み終えたわけで。お疲れさまでしたっ!

そうだねえ、新井素子さんはあのころこういう文体で書いていたのだなあと今更のように思い返すのだった。

以上内容に余り関係のないことを言っておりましたが、お話としてはちゃんと完結落としどころにかっきりはまっております。

図書館にそれまでのものがあるので読み返してもいいなあ。書庫入りものですが、ちゃんと読めるので図書館に感謝。

「前巷説百物語」

名前だけ見てもこのシリーズ4巻くらい似た名前出てているので撰ぶのに迷うのですが、これは平成19年に刊行のもの。このシリーズは自分は初におめもじいたします。

京極夏彦版の「仕置き人」みたいなおはなし。

最後にはほとんどメンバーが死んでしまうというこれまた哀しい結末ですが京極さんらしいお話満載、京極堂とはちがった意味で楽しめます。

啖呵の切り方、会話の絶妙さはほとんどうっとりいたします。

京極堂シリーズより読み易いかも。あちらは難解さで読者を煙に撒く所に味があるわけですが、こちらはもっと発想の面白さで読ませます。

また楽しめるシリーズめっけた!とにんまりしておる次第。

平成22年9月5日

「ブレイズメス1990」 海堂尊 講談社 ISBN:978-4-06-216313-2 C0093

「キケン!」 有川浩 新潮社 ISBN:978-4-10-301872-8 C0093

「王国は星空の下」北斗学園七不思議1 篠田真由美 理論社 ISBN:978-4-652-08603-2 C0093

わからん!このおはなしが海堂尊ワールドのどの部分のピースになるのかがよくわからんのだ。

花房婦長が新人の頃、猫田さんが手術室付きの看護婦だった頃となると結構な昔だったのよね。舞台は突然外国に飛んで、キャラクターは強力。

桜宮病院の顛末については多分ほかのお話で伏線が張られていると思うのであるが、そろそろ年代記が必要になってきた感有り。

なんだか囲碁を見ているような感じがしはじめている。枠をつくってその中にひとつひとつ布石して埋めて行くような。

「キケン!」

これも回想記ということになるか。とある大学の部活のハチャメチャな活躍回想。怖いだろう、こんなキャラの先輩。

人間「本気で遊ぶ」とこうなるという見本?漫画とのコラボレーション?が非常に楽しい読んでいて大変楽しめたお話でした。

「王国は星空の下」

北斗学園第一作。一作から三作までできれば順番通り一気に読むことおすすめ。

一冊目だけだと単なる不消化なミステリまがいの感じで終わりそうなので。

そういえば、アルセーヌ・ルパンものにそういう謎解きがあったっけと懐かしかった。

あいかわらずあつい、あつい、あつい。

なのに熱い紅茶を飲むのでもっと汗が出る。タイピングミスがむやみやたらとあらわれるのは、能力低下か単に脳みそが嫌がっているのか。