ほんの累積 平成24年10月-12月

平成24年12月16日

「オフシーズン」「襲撃者の夜」「ウーマン」 ケッチャム

「閉店時間」ケッチャム中篇集

「盤上の夜」 宮内悠介 東京創元社 ISBN:978-4-488-01815-3 C0093

相当間が空きました。何をしていたのかすぐに忘れてしまうので言い訳も出来ませんが、

「Dr.ハウス」のDVDに入れこんでみたり、友達に借りた「ボーンズ」と「スーパーナチュラル」のDVD観たおしたり、 夫婦遠出で2泊という大事業?に挑んだ後、すぐ単身観劇の旅に出たりという2ヶ月余りでございました。 そのあいだは自称ケッチャム祭りとしてケッチャム探しを。

旅の空で「A Dance With Dragons」を眺めていましたが、気もそぞろで最初から読み直し。

とりあえずテイリオンが国から脱出し客と言う名の「捕囚」となっているところまで。つぎは竜の女王の話が始まる。要するに第二章にはいったところ。

テイリオンを迎える国の要人が気持ち悪いんだけどむちゃくちゃ美食家。わけ判んない料理が沢山出てくるのですが美味しそう。 内心涎をたらしながら電車の旅をしてました。こっちは饂飩なんだけどさっ!

年の瀬も近づきましたのでそうそう本は漁れないかも、と思っております。あしからず。 精神的にもつのだろうか。そっちがたいへんだ。

平成24年11月17日

「三つの秘文字」 S・J・ボルトン 創元推理文庫 ISBN:978-4-488-20703-8 C0197

「三つの秘文字」下 S・J・ボルトン 創元推理文庫 ISBN:978-4-488-20704-5 C0197

「豚たちの沈黙」 ジル・チャーチル 創元推理文庫 ISBN:4-488-27507-9 C0197

「エンドウと平和」 ジル・チャーチル 創元推理文庫 ISBN:4-488-27508-7 C0197

「目くらましの道」上 ヘニング・マンケル 創元推理文庫 ISBN:978-4-488-20906-3 C0197

「目くらましの道」下 ヘニング・マンケル 創元推理文庫 ISBN:978-4-488-20907-0 C0197

「無罪」 スコット・トゥロー 文藝春秋 ISBN:978-4-16-381670-8 C0097

ボルトンのいちばん初めに邦訳されて評価された作品とのこと。ウイリアム・アイリッシュ風のサスペンスにゴシックホラーが混じったような不思議な味わい。自分としては「毒の目覚め」の方が好み。こちらを先に読んだとしたら、それ以上手を出す気になれたかどうかわからない。

レベル的には高いので、完全に好みの問題です。すれたミステリファンだと、途中で先の展開がわかってしまいそうな気はするけれども、それだけでは済まないというところがこの作家が評価された由縁とおもわれる。ハラハラドキドキがちゃんと後半に待っていますのでお楽しみ。 この作家の作品また邦訳がでたら是非読みたい。

ジル・チャーチルはだんだん主人公と刑事コンビが様になってきた。子どもの成長とも重なって来ているので時系列的に読み進める。

「目くらましの道」

後半になってファイアーウォールで言及のあった事件のネタバレが脳内に蘇ってしまったので、謎解きとしての面白さがなくなり、少々残念だったが自業自得ともいう。国境を互いに接した国をまたがる犯罪が常態である警察機関の事情が、不謹慎ではあるが面白い。日本の刑事物はそうはいかない。日本も例外ではなくなって来ているのかもしれないが。

「無罪」

「推定無罪」は多分絶対読んだと思うのだがなにしろ二十年も昔のことなので、被害者が女で容疑者が不倫相手の主人公としか覚えていない。さっぱりである。これを機会に読み返してみるのもよいか。

読み始めて高橋和己の「悲の器」(かなしみの うつわ)がなぜか頭の中に浮かぶ。設定はたしかに似ているけれどあっちは文芸賞受賞?の純文学。何故?と考えたら、どうも陰々滅々の主人公の語り口から連想したのかもしれぬ。

こっちはミステリーでありますが、そう言うよりも文学寄りか。それなりの歳にならないとわからない感覚があるものだなあとしみじみ思わされる。余り詳しく語れば語る程墓穴を掘りかねないというテーマではあるが、結婚というものを考える意味で考えさせられる。

伯耆大山もしっかり山頂に雪をいただき、雪起こしの雷も鳴り響きました。やれやれ、もう少しすれば「年の暮れ」です。いったいこの一年何をやってきたのだか、と思う時季となりにけり。

平成24年11月5日

「リガの犬たち」 ヘニング・マンケル 創元推理文庫 ISBN:4-488-20903-3 C0197

「白い雌ライオン」 ヘニング・マンケル 創元推理文庫 ISBN:4-488-20904-1 C0197

「マッド・アップル」 クリスティーナ・メルドラム 創元推理文庫 ISBN978-4-488-22207-9 C0197

「回廊封鎖」 佐々木譲 集英社 ISBN:978-4-08-771467-8 C0093

「オフシーズン」 ジャック・ケッチャム 扶桑社ミステリー0767 ISBN:4-594-02979-5 C0197

「老人と犬」 ジャック・ケッチャム 扶桑社ミステリー0708 ISBN:4-594-02715-6 C0197

「忘れじの包丁」 ジル・チャーチル 創元推理文庫 ISBN:4-488-27505-2 C0197

「地上より賭場に」(ここより とばに) ジル・チャーチル 創元推理文庫 ISBN:4-488-27506-0 C0197

「リガの犬たち」「白い雌ライオン」

刑事物というよりダイハードに近い狂い様がすごい。スウェーデンというのは良い所なのかそれともそうでもないのか、 よくわからなくなるようなシリーズものであります。ちっちゃな街でこそこそ犯罪が起こるのではなくいきなり国際化してしまう。

島国で、いままであまり移民を受け入れていない日本に棲んでいるとこいいう感覚わからないと言いたいが、じつは主人公も かなり懊悩しているのであった。つぎにつづく、ってまだまだシリーズ既刊ものが並んでいます。ううむ。

「マッド・アップル」

話は悪う無いのだが、いまいち「MAD」度が足りない気がした。惜しいなあ。途中で話のネタ推量できちゃうし。雰囲気はいいのだが、 サラ・ウオルター並みのドロドロを期待していた分肩すかし。物足りなさがあった。

「回廊封鎖」

佐々木揺譲にしてはまとまりが少し欠けた。あとあじもいまいち。なにがいいたい、とわけのわからん事を言いたくなる作品。 エンターテイメントにそんなもの必須ではないのに。いっそ暴雪圏くらいにぶっ飛んだ悪役のほうがかえって面白いのかも。

「オフシーズン」「老人と犬」

ケッチャムまつりに便乗したはいいが、なんだか頭の中がまとまらない。この作家何が狙いなんだろう、としばし考えるがわからぬ。

ジル・チャーチルまつり続行中。ちゃんと順番に読まないとサイドストーリーがごっちゃになっちゃうんだわさ。

平成24年10月23日

「クラスの動物園」 ジル・チャーチル 創元推理文庫 ISBN:4-488-27504-4 C0197

「毒の目覚め」 S・J・ボルトン 創元推理文庫 ISBN:978-4-488-20705-2 C0197

「毒の目覚め」 S・J・ボルトン 創元推理文庫 ISBN:978-4-488-20706-9 C0197

かすていら」僕と親父の一番長い日 さだまさし 小学館 ISBN:978-4-09-386329-2 C0093

「濡れた魚」上 フォルカー・クッチャー 創元推理文庫 ISBN:978-4-488-25803-0 C0197

「濡れた魚」下 フォルカー・クッチャー 創元推理文庫 ISBN:978-4-488-25804-7 C0197

「犯罪」 フェルデイナント・フォン・シーラッハ 東京創元社 ISBN:978-4-488-01336-3 C0097

「閉店時間」ケッチャム中篇集 ジャック・ケッチャム 扶桑社ミステリー1143 ISBN:978-4594-05721-3 C0197

ジル・チャーチルは一冊か二冊ずつ借りて徐々に読み尽くす予定。

「毒の目覚め」

ゴシック・ホラーの手法を使ったみごとなミステリー。この調子でホラーをかかれると良い作品が書ける作家さん。 邦訳二冊めらしいのだが、さて一作目は読めるかしら。探しておきたい。キャラクターといい蛇という小道具といいうまい使い方をする。

「かすていら」

お母さん子だったのかしらなどと思っていたら、しっかり存在感のある親父さんだったのだなとこの本で確認。 子どもは親のすべてのことを理解出来るわけではないけれど、それなりにいい関係を築きあげてきたのではないだろうかこの親子。 まあ、別の見方をすればそうとう迷惑な親父さんだったといえなくもないけど。

「濡れた魚」

独逸ものの警官物語。そのうえ時代がナチス独逸が台頭しはじめた頃ともなるとあたまのなかがぐちゃぐちゃになる。 ずーっと時代に沿ってこのシリーズが展開してゆくらしい。もう、ミステリーというより大河小説として覚悟を決めた方が 読み易そうな気がした。我が身は独逸系の名前に慣れていないので苦しい。

「犯罪」

絶賛、というのをネットでみておりまして。おおお!これは、ポール・オースターの「トゥルー・ストーリー」(?)の独逸版だろう、傑作だと歓喜。 次作の「罪悪」もこれは必ず読まねばならぬ。特に理由はないが、最近「ドイツまつり」になっているよな読書傾向。不思議だ。

でさいごのケッチャムは、諸事情あって感想保留。

平成24年10月13日

「ベローナ・クラブの不愉快な事件」 ドロシー・L・セイヤーズ 創元推理文庫 ISBN:4-488-18305-0 C0197

「ルパン、最後の恋」 モーリス・ルブラン 早川書房 ISBN:978-4-15-001863-4 C0297

「バレエ誕生」 鈴木晶 新書館 ISBN:4-403-23094-6 C0073

「毛糸よさらば」 ジル・チャーチル 創元推理文庫 ISBN:4-488-275-2-8 C0197

「死の拙文」 ジル・チャーチル 創元推理文庫 ISBN:4-488-27503-6 C0197

「殺人者の顔」 ヘニング・マイケル 創元推理文庫 ISBN:4-488-20902-5 C0197

「ファイアーウオール」上 ヘニング・マイケル 創元推理文庫 ISBN:978-4-488-20914-8 C0197

「ファイアウォール」下 ヘニング・マイケル 創元推理文庫 ISBN:978-4-488-20915-5 C0197

最近、翻訳ミステリー大賞シンジケートのブログを見ていてそっちの方面から照会された本を選んでいる。

ドロシー・セイヤーズしかり、ジル・チャーチルしかり。アガサ・クリステイーは若い時にほとんど網羅しちゃったのでどれを読んでも再読になるが。

若い頃に読んだ本といえばルパンとホームズはそのうちにはいる。

今回最後のルパンということでわくわくして読み始めたのだが、「え?こんな感じのものだったっけ」と驚いてしまった。

すっかり話運びの癖というか方法を忘れてしまっているのである。覚えてるうちに読めたら嬉しかった作品かもしれない。

そういえば、ルパンの話運びって語り手はルパンではなくその都度違っていたのだっけ?

いったいあの頃私は何にひかれて読んでいたのだろうとそっちの方が謎に思えて来たのだった。きっと迷宮入りになるのだろう。

ちなみに一番好きだったのは奇岩城、だったはず。あれってルパンがでてくるのは最後だけだったような…

「バレエ誕生」

これは翻訳ではなく鈴木晶の著作。今まで仕入れたことのない知識分野だったので非常に面白かった。

もともとはレビュウーみたいな形態、オペラのなかの一部として成り立っていたらしい。しかも援助交際のための顔見世としての舞台。

なあるほど。デイアギレフの興行師的な面のイメージを理解するために役立つ。

翻訳もそうだったが、この方の文章のリズムがこちらにあっているらしく読み易い。

「毛糸よさらば」「死の拙文」

病み付きになりそう。困ったものである。上手いよなあとしみじみ。

「殺人者の顔」「ファイアーウオール」

シリーズ第一作の次に最新作(第7作?)にとんで読んでみた。罰があたった。

主人公が過去を回想してそれまでの事件を思い出しちゃうのである。ゆえに犯人だれかわかっちゃう。ネタバレどころじゃない。

まんま、である。よって、しばらく内容を忘れるまでこのシリーズ読まないかも。

こういうことはやめましょうね。自分みたいにひねくれた奴はそういないだろうけどさ。

平成24年10月1日

「PK」 伊坂幸太郎

「デイギアレフ」 鈴木晶訳

「清須会議」 三谷幸喜 幻冬舎 ISBN:978-4-344-02197-6 C0093

「ゴミと罰」 ジル・チャーチル 創元推理文庫 ISBN:4-488-27501-x C0197

ぼやぼやとしているうちに10月になってしまった。歳をとる毎に夏の暑さがどんどん身にこたえてくるようになって来た気がする。

ともあれ慌てて返却してしまったので書誌情報をメモすることを忘れてしまった。

伊坂幸太郎については売れっ子作家さんなのでみつけるのは問題ないはず。

PKというのはサッカーのペナルテイーキックのPK。なんで伊坂幸太郎ってこんな変な世界を書けるのか知らん。と、しみじみ思う。

「デイアギレフ」

もう一冊同名の伝記があって、これもこの方が訳しているそうだ。この本はロシア語に堪能なオランダ人が今まで読み解かれていなかった

手紙だの資料だのを蒐集調査して書いたほとんど決定版に近い本と解説している。

いままで単なる「興行師」としか考えていなかったのだが、この人物やっていたことはそうかもしれないがしかしある意味「別物」でもあると知る。

違う時代、違う国ではもう「人生の目的」とかありようが今現在の自分の世界とは全然違うものであることを知らされた。

眼からウロコ本、といえるかもしれない。時折挿入されているピカソやマチィスとかの人物素描が秀逸。

巨匠達が書いた鉛筆クロッキーの威力は底知れないくらいに人間性まで映し出している。

とまあ、バレエにも音楽にも全然素養のない自分がこれを読んでも馬の耳に念仏みたいなところはあるにせよ、有名音楽家なぞも

沢山あらわれ消える「絢爛豪華な絵巻」を見ているような風情があった。

「清須会議」

三谷幸喜にしては暗い。最近忙しすぎるんだよなきっと。

「ゴミと罰」

とうとうジル・チャーチルにてを出してしまったと感慨ひとしきり。おもしろいんだけど、主人公の喋りまくりがいつか神経に障りだすかもと思う私。