ほんの累積 平成24年9月

平成24年9月10日

「なぜヤギは、車好きなのか?」鳥取環境大学の動物行動学 小林朋道 朝日新聞出版 ISBN:978-4-02-250972-7 C0095

「眼を見なさい!」 ジョン・エルダー・ロビンソン 東京書籍 ISBN:978-4-487-80332-3 C0023

「メイプルソープ」 パトリシア・モリズロー 新潮社 ISBN:4-10-540501-2 C0072

「英雄の書」上 宮部みゆき 毎日新聞社 ISBN:978-4-620-10733-2 C0093

「英雄の書」下 宮部みゆき 毎日新聞社 ISBN:978-4-620-10734-9 C0093

小林先生の最新刊かな。朝日新聞に連載したのをまとめたというので、出版社はいつもの所とは違います。 で、ヤギさん関係に集中的な話なのですが。そうかあ。ヤギ子は死んでしまったのか。颱風で小屋が倒れたために母娘ヤギの娘が一頭これも死んでしまったそうです。ヤギ子さんは多分老衰なんでしょうが、そうと聞いてやっぱり悲しかった。

一昨年の豪雪の折りにはやはりヤギたちも受難だったそうで、さもあらん。うちの近所腰まであるような積雪のために電線切断数えきれない倒木、鉄塔の倒壊、スタックして結局起き去られた車続出。救急車も要請があっても走る事が出来ず。出雲の自衛隊さんに出動して除雪してもらうという騒ぎでした。 ヤギ子たちは決死の思いで様子を見に来てくれた小林先生の顔をみてほっとしたことでしょう。

「眼を見なさい」

40才を過ぎてアスペルガーとわかった著者が、小さい頃から誰にも理解してもらえなかったその経験を語ってみせるという話なのですが。そもそもこの両親自身がDV、アルコール依存症、躁鬱病あるいは精神的に問題があるという、ベースからして最低に近い家庭環境。 で、このひと「眼を見て相手と話せない」という理由で父親や教師からずっと「お前は犯罪者かろくな者にならない」と罵られつづける。

日本だったら、ここまで言わないような気がする。文化の違いかもしれない。

歳の離れた弟が作家になって自分の家族のことを書いて有名になった。で、この兄は弟から進められてこの本を書いた。多分自分のために。 「ハサミを持って突っ走る」というのが弟の本らしい。見かけたような気がするので今度借りて来ようとおもう。

「メイプルソープ」

写眞のコレクター兼パトロンだったワグスタッフと写真家メイプルソープの関係をテーマにしたドキュメンタリーを友達がみせてくれました。美男のコンビもさりながら、写眞の美しさに魅せられ評伝を借りてみた。もう一口ではいえないような凄い世界でありました。いろいろな意味合いで。

評伝として読んだ本のうちでも出色の出来かもしれない。なんとも、すべてが渾然一体になってこちらに迫ってくる。あやうい。 ドラッグが解禁されていない時代、国に住んでいてよかった、としみじみ思う。かれらの煩悩のつよさに圧倒されっぱなし。

「英雄の書」

なんだか三国志の世界と勘違いいたしまして避けていたのですが、そうではないらしい(たしかドラマになった?)と気付き読んでみた。

はい、これRPGの世界です。ずっとゲームにはまっていらっしゃると聞きますのでとうとうその分野に進出されたのか。 ジュブナイルにしてはちと用語が理解出来るかどうか不安だけど、面白ければそんなもの気になりませんし。 ま、いっか。新作3部作で始めたそうですね。楽しみです、というかそっちはかなり毒がありそうな気がしますがいかが。

平成24年9月4日

「臨場」 横山秀夫 光文社 ISBN:4-334-92429-8 C093

「ナンバーシックス No.6」#1 あさのあつこ 講談社 ISBN:4-06-212065-8 C8093

「ナンバーシックス No.6」#2 あさのあつこ 講談社 ISBN:4-06-212229-4 C8093

「ナンバーシックス No.6」#3 あさのあつこ 講談社 ISBN:4-06-212585-4 C8093

「ナンバーシックス No.6」#4 あさのあつこ 講談社 ISBN:4-06-269358-5 C8093

「ナンバーシックス No.6」#5 あさのあつこ 講談社 ISBN:4-06-269371-2 C8093

「ナンバーシックス No.6」#6 あさのあつこ 講談社 ISBN:4-06-269384-4 C8093

「ナンバーシックス No.6」#7 あさのあつこ 講談社 ISBN:978-4-06-269397-4 C8093

「ナンバーシックス No.6」#8 あさのあつこ 講談社 ISBN:978-4-06-269421-6 C0893

「ナンバーシックス No.6」#9 あさのあつこ 講談社 ISNBN:978-4-06-269443-8 C0893

「深い疵(きず)」 ネレ・ノイハウス 創元推理文庫 ISBN:978-4-488-27605-8

「伊上勝 評伝」昭和ヒーローを作った男 井上敏樹 竹中清 徳間書店 ISBN:978-4-19-863107-9 C0074

「解錠師」 ステイーヴ・ハミルトン 早川ポケットミステリ1854 ISBN:978-4-15-001854-2 C0297

「週末は家族」 桂望実 朝日新聞出版 ISBN:978-4-02-250925-3 C0093

「女騎手」 蓮見恭子 角川書店

「無名騎手」 蓮見恭子 角川書店 ISBN978-4-04-874228-3 C0093

テレビドラマを見ていないわりには、映画になった奴に食指が動いたりする。主役を演じた役者さんの眼力というべきか。予告編にちらと出ていた犯人訳らしき柄本サンの息子さん好い芝居してるかしらんとか思いつつ、ところで誰の原作でしたっけ?ああ「半落ち」の横山秀夫ですか。ってクライマーズ・ハイおそろしくて何だか手が出せずに居たのでこの機会にと「臨場」を。

上手い!描写といい筋運びといいするすると自然に流れて治まりも良し。さすが売れっ子さんだ、と感心した。

このシリーズ出会えたら読む事にしようと思います。検索しとかないと。

あさのあつこ「ナンバーシックス」

これだけの巻があると読み出す前に覚悟がいる。すなわち「如何に途切れなく手に入れるか」という心づもり。一旦とぎれたら先が読みたくて地獄の思いになりますので。しかも数字にめっぽう弱いので「何巻まで読んだか」というのが覚えていられない。間違えて一巻残して借りる羽目になったら之も地獄。要注意いたしまして目出度く読み終わりましてござる。あなめでたや、めでたや。基本はSFジャンルでいえばええと何だったっけ「理想郷」もの(おい!)主人公は乱暴な言い方するとマトリックスのネオみたいな立場でしょうか。めっぽう面白い青春小説でもある。この物語が終わり、そしてそこから始まるのがほんとうのSFというか本格SF作家の話になる。ハインラインや現代ではエンダー・シリーズなのかも。

「深い疵」

独逸小説だから、ではないよなあ。少々筋を追うのが辛かった。本当は刑事コンビシリーズの第三作なのだそうな。それゆえか同僚のキャラクターの説明描写が中途半端。視点が結構ころころ替わるのでそれに慣れるのに苦労。それなりの面白さはあるのですが。主題がナチズムの後遺症ですのでちと暗すぎるというか、自分的には今まで読んで来たノンフィクションが思い出され辛いものが。

ほかの作はどうなっているんざんしょ。いくつかこれから翻訳されるといいのですが。

「伊上勝」

テレビ創成期ヒーローものの脚本書きまくった人の評伝。最初にある息子(同じく脚本業)の話が面白い。が、こんな親父がいたらとんでもない。太宰治に毒されただけあって?とっても破天荒な一生を短く終えてしまった方であります。合掌。

「解錠師」

えらう評判がよいらしく、と覗いてみる。なんとこれは青春小説であった。ミステリーとスリルと青春小説という世にも珍しい?コラボレーション。

加えて絵を描くのが好きな人にはとってもよく分かる漫画場面つき。詳細は中をご覧下さい。 とっても楽しめるお話でありました。

「週末は家族」

桂望実が書いた、ガラスの仮面。ちなみに恩田陸が書くと「チョコレート・コスモス」。どっちも素敵だ!

「女騎手」「無名騎手」

横溝正史賞優秀賞だけあって、新人とは思えぬ力量なり。話の運び、視点の移動無理が無い。たしかに競馬界舞台はユニークではあるけれど、ずっとこれで行かれるのかしら?力量があるから大概のものは「料理」できるとは思うが。 これからまだまだ作品よませて頂きたいです。