平成25年1月−2月

平成25年2月16日

「ケルベロスの肖像」 海堂尊 宝島社 ISBN:978-4-7966-9858-0 C0093

「真夏の方程式」 東野圭吾 文藝春秋 ISBN:978-4-16-380580-1 C0093

「頼むから、ほっといてくれ」 桂望実 幻冬舎 ISBN:978-4-344-02226-3 C0093

「湿地」 アーナルデュル・インドリダソン 東京創元社 ISBN:978-4-488-01343-1 C0097

「アイ・コレクター」 セバスチャン・フィツェック 早川書房 ISBN:978-4-15-001858-0 C0297

「夜の静寂(しじま)に」 ジル・チャーチル 創元推理文庫 ISBN:4-488-27510-9 C0197

「闇を見つめて」 ジル・チャーチル 創元推理文庫 ISBN:4-488-27511-7 C0197

海堂先生ひょっとしてバチスタシリーズはこれで完結ですか?自分は高階ゴン院長が好みなのですがこれでお目にかかるのは最後? なんだかちょっと拍子抜けの幕切れにも思えますが、変にリアルにAi関係が絡まっていたので仕方ないかという感じもあり。

ともあれこんなに漢字の字面が多いコメデイ?もないんじゃないか。(ん?ミステリーか)

「真夏の方程式」は、ガリレオ君のシリーズであった。また映画ができるんでしたっけ。

北村一輝を初めて見たのがこのTV番組で、無茶苦茶迫力あるジャニーズ系容貌というのが理解し難く。刑事役には若すぎると思いきや、 齢40を越えた二十歳過ぎの息子がいるというのに最近驚愕。

なんとかいう女刑事の形容に使われる「無駄に美貌」というフレーズが頭に思い浮かぶ、というよりこの美貌卓越した演技力を見せるに障碍になっている気がする。ともあれ、また映画の大画面で北村一輝を眺め愉悦に浸る誘惑には拒否し難いものがあるかも。(って全然内容と関係ない)

「頼むから、ほっといてくれ」は、トランポリン競技にまつわる選手とその家族他他の人間群像。

今回の柔道の体罰関連の話題で、TVにさらし者にされたオリンピック候補選手のひとびとのはなしがあったけど、そういったところを先取りしちゃったような本です。

「湿地」最近の秀作のトップ5に必ず挙げられていたアイスランドのミステリー。北欧関係のミステリーが最近元気な様子だがそのうちの一冊でもある。

正直いってそこまでのものだろうかという気もしたが、この方の本シリーズ物として?かなりでているらしくこれから邦訳期待という部分も加わっての評価もあるのか。主人公の警部も、離婚、娘は麻薬中毒、息子は犯罪者という設定の割にはジメジメねちねちもなし、後味悪くない。

アイスランドかあ。続いて翻訳されると面白そうだなあ。

「アイ・コレクター」この作家の作品、心臓によろしくない。といいつつ読むわけで。読んであ〜あとまた思う。

読んでいると強制的に逆上がりをさせられているような感覚に見舞われる。でもって、自分は逆上がりどころか前廻りさえも出来ない子供だったのだ。 天地逆転されると頭の中がグルグルになるのだ。やだやだ。といいつつ読むのが業というもの。

あとの2冊はジル・チャーチル。お楽しみなのであります。

平成25年2月9日

「とぶのがフライ」 「眺めのいいヘマ」 ジル・チャーチル

「風の向くまま」 ジル・チャーチル 創元推理文庫 ISBN:4-488-27509-5 C0197

「五番目の女」上 ヘニング・マンケル 創元推理文庫 ISBN:978-4-488-20911-7 C0197

「五番目の女」下 ヘニング・マンケル 創元推理文庫 ISBN:978-4-488-20910-0 C0197

「逆回りのお散歩」 三崎亜記 集英社 ISBN:978-4-08-771481-4

「マルドウック・スクランブル」改訂新版 冲方丁(うぶかた とう) 早川書房 ISBN:978-4-15-209153-6 C0093

「マスカレード・ホテル」 東野圭吾 集英社 ISBN:978-4-08-771414-2

「バーニング・ワイヤー」 ジェフリー・デイーヴァー 文藝春秋 ISBN:978-4-16-381710-1 C0097

なんだか月一回の更新になってしまいそうなこのごろ。困ったもんだ。

もうひとつのシリーズもの兄妹が主人公のを試しに読んでみた。いいなあ、これも。楽しめそうである。

「五番目の女」

このヘニング・マンケル、主人公の警部のヘタレぶりがはんぱでなく。これさえなければファンになるのに、と思いつつ読んでいる。 話運びはうまいしそれさえなければ言うことなしなのだけど。 昔の勤務先の上司が思い出されるのだが、ヘタレなうえに仕事をシナイヒトで「仕事したくない」と言って本当に泣き出すバカで苦労したのがそこはかとなく思い出される。あああ、いやだいやだ。思い出したくもないのに。

とまあ関係のないことはいいとして、話運びがうまい!

「逆回りのお散歩」

そこはかとなく三崎亜記の「覚悟」がほの見える作品、なんていったら勘違いか。もういちど「となり町戦争」を読んでみないといけないかも。 それにしても不穏な世界を描いているのだが、このごろ現実がこの世界に近づいてきているような気がするのが怖い。

「マルドウック・スクランブル」

「天地明察」を読んでこの作家さん上手いなあとは思いつつも、他の著書が今まであまり手を出していないジャンルらしかったので未読だった。 今回「改訂版」というのが単行本で並んでいたのでつい手に取ってみた。 おおお。なんとはなしに「ねじまき少女」を思い出したのだが、こっちの方が断然好みである。整理されているしパチカルビみたいに「とっちらかっていない」。読み易いし判り易いし感情移入が出来る。 元々ねじまき世界の前に書かれている筈だから、これは作家さんの力量というものだろう。押尾守のイノセンス的な雰囲気もあるのだけれど頽廃というよりサイバーパンク?とかいう雰囲気か。 てなわけで、お勧めです。カジノとかカードとか全然わけわからないけどさ、自分。

「マスカレードホテル」

たまたま行った医院の本棚に並んでいて読みかけてずっと懸案になっていた本。滅多に行かない検診で本など読み始めるもんじゃないという教訓が身にしみた。東野圭吾の作品ならもうブランドですから面白くないわけが無い。 読み終えてホットいたしましてござる。

「バーニングワイヤー」

ペーパーバックで読んでいてずっと「邦題はどうするんや」と考えていたが、原題そのまま。まあね、そんなものか。 一度読み終えてしまうと半分かた筋を健忘してしまうので何度も楽しめるのですが、今回は感電死する群衆の描写が怖いというのを覚えていて一度忌避してラストへとんでしまった。困ったものである。

若手ルーキーがひどい眼に遭わされて可哀相である。が、コーンウェルみたいにスタッフのひとりを犯人にして殺しちゃったりするわけでないからまだマシか。スカーペッタ、そのうちスタッフいなくなるかも(笑)。そういえば新作文庫本出ていなかったっけ?

デイーヴァーの「XO」を読み始める事にした。今年邦訳出版予定というからぼんやりしていられないな。

平成25年1月27日

「問う者、答える者 上」混沌の叫び2 パトリック・ネス 東京創元社 ISBN:978-4-488-01349-3 C0097

「問う者、答える者 下」混沌の叫び2 パトリック・ネス 東京創元社 ISBN:978-4-488-01350-9 C0097

「タンゴ・ステップ」上 ヘニング・マンケル 創元推理文庫 ISBN:978-4-488-20908-7 C0197

「タンゴ・ステップ」下 ヘニング・マンケル 創元推理文庫 ISBN:978-4-488-20909-4 C0197

「THE CHALK GIRL」 Carol O'Connell ISBN:9780425250303

「飲めば都」 北村薫 新潮社 ISBN:978-4-10-406607-0

何の事は無い「ゲーム三昧」というより「中毒」状態で年越し正月を迎えた今年。運動どころか炬燵の守で身体にまずいものが。

以降ゲームに魂を吸い取られたごとく更新もとだえておりましたが、とりあえず。

パトリック・ネスは年の瀬に読んだもの。「心のナイフ」の第二部。地球から植民した辺境の惑星が舞台。

原生の住人?を駆逐して農業を中心とした町や村を広げて行った人類の間に「男性に限ってテレパスになるという病」が蔓延。

互いの頭の中が遮断できない、つまり「常時脳内ラジオ解放状態つつぬけ」の男性と反対に女性の考えは全く「読み取れない」という差から 男性は女性に対して猜疑心にさいなまれ集団隔離、あるいは極端な暴力衝動へとのめりこんでゆく。

設定はファンタジーともSFともつかぬわけですが状況はとても深刻な物語です。ジュブナイルのジャンルに入れてあるのかもしれませんが そのなかで語られる暴力や描写は諸手をあげてお勧めというわけには行かないくらいの激しさ。 第三部はどうなるのか。移民船が出現したところで終わっていますけれども。

ハードなジュブナイル、そんな言い方があれば正にそう。初めてお読みになるなら第一部から。第三部の邦訳が待たれます。

「タンゴ・ステップ」

シリーズものの一冊かと思って読んだら違っていた。主人公は37才の舌ガン宣告されたオトコの刑事。

頭の中が数ヶ月後に始めるガン治療のことで狂いそうになっている。たまたまもと同僚が殺された記事をみつけ、 目の前のことからの逃避衝動に駆られて所管の違う事件にあたまを突っ込む。

全然不自然さがない。傑作という呼び名に納得。なかなかこんな良い作品出会いません。

「The Chalk Girl」

オコンネルの疾走感はんぱなし。話の始まりから全力疾走なので下手に初めから粗筋書いたらあとで殴られそう。 てなわけで粗筋なし、ていうことになると何を言うかって言う話ですが。

マロリー・シリーズです。今回は赤毛と笑顔が印象的で「妖精」とまがうような少女が出て来ます。 てなところでしょうか。当然「面白い」。邦訳待っています。ってその前に「Find Me」の邦訳してよという話ではありますが。 時系列的にはその後の話となると思いますが、直接的にはつながっていない。

マロリーが予告も無く報告も無く数ヶ月職場放棄して行方不明になっていた結果、懲罰配置として現場復帰が許可されず 一日中書類仕事をさせられているというところが唯一の言及か。

彼女とライカー、チャールズの家の契約掃除婦であるオルテガが妖精みたいな不思議な少女と出会い、 捜索と保護を要請したことからマロリーの現場復帰と物語がはじまる。

やはり、切ない物語ではありました。先日おきた体罰による高校生の自殺事件のことも思いやられ。 周囲の人間の悪意と事なかれ主義により孤立してゆく子供の物語でもあり。

「飲めば都」

北村薫による、出版社の編集者である女の子?の物語。久し振りにほっこりとした物語を。

でもゆめゆめこれを現実と思う勿れ。なんですかそりゃあ、というお酒の武勇伝が群れ成して。 ある意味酒乱の物語でもあり。ううん、これくらい酒に強かったら良かったのにと思い返すもあり。 二日酔いで折角の休日を台無しにするには勿体なくなったことでもありますが。

いやいや、他人の酒の失敗は楽しい。自分に後始末が来なければ、のはなしですけど。