ほんの累積 平成23年6月

平成23年6月25日

「虎の首」ツイスト博士シリーズ ポール・アルテ 早川ポケットミステリ1820 ISBN:978-4-15-001820-7 C0297

「七番目の仮説」ツイスト博士シリーズ ポール・アルテ 早川ポケットミステリ1815 ISBN:978-4-15-001815-3 C0297

「ヘッドライン」 今野敏 集英社 ISBN:978-4-08-771404-3 C0093

「ばらばら死体の夜」 桜庭一樹 集英社 ISBN:978-4-08-771402-9

「女性同士の争いはなぜ起こるのか」主婦論争の誕生と終焉 妙木忍 青土社 ISBN:978-4-7917-6503-4 C0030

「オッペンハイマー」上 カイ・バード マーテイン・シャーウイン PHP研究所 ISBN:978-4-569-69292-0 C0098

なぜフランス作家が英国を舞台にシリーズを展開するのか、かんがえると面白い。

王道本格英国ミステリとは少々趣を異にするとみえなくもなし。後書きを読んでみると、この作家「発想をどういう風なトリックで料理するか」というところに重点がいっているらしい。

英国風なら人物描写、心理描写に重点がいくのかも。さすがフランス料理、てなわけでトリックが珍妙一歩手前ゆえにか全然展開が読めないところに面白さありと見た。

こういうタッチも読み続けると癖になる。数がポケミスで揃い始めたので続けて読むと楽しいシリーズ。

「ヘッドライン」

今野敏の新シリーズ。あいかわらず達者な、というべき。

「ばらばら死体の夜」

何かと何かがミックスされている気配はあるのだけれど、圧倒的にこっちの読書経験値が低いためか見当付かないでいる。

どこへいくの〜?と作者に言いたくは有るのだが、ついてゆくのが精一杯だったりして不利。ガルシア・マルケスにのめりこむ質ではないので余計なのだろう。といいつつ後を追いかけてみたくなる面白い作家。

「女同士の争いはなぜ起こるか」

修士論文というのはこういうものなのですね。以前ナントカの復権とかいう新書を読んでなんじゃこりゃと思った覚えがあるが、この林某の主張も含めて主婦論争?の流れを追った実に意味のある本だった。

こんなまともな本が世の中に溢れていてくれたら「無駄な読書遍歴をせずに済むし楽なのに」と考えてしまう。

アグネス論争を追った本の中で上野千鶴子の文章読んでひっくりかえって、次の瞬間「これ明らかに釣りだ」と笑ってしまった覚えがある。やはり「計算」があってのものだったのだ。

「オッペンハイマー」

読み応えのある伝記。「理論的な科学者を束ねその研究の応用実用化に対応する技術者との意思疎通、不具合のフィードバックのための介在者」としてマンハッタン計画の主導者を演じたオッペンハイマーという人間の役割がよくわかる。

上巻は原爆実験がアリゾナ沙漠で成功した時点で終わる。

これからオッペンハイマーの苦悩とアカ狩りの渦に飲み込まれてゆく姿が描かれるらしい。

それにしても、どちらの側に付いても何らかの「疎外」「迫害」を受ける運命に生きていたユダヤという存在の立場を考えると重い。

梅雨も開けぬに夏日の連続。

いちにち室内でパソコン画面相手にしていると気分がささくれだってくるので、どこか気分転換したし。

青空を背景にしていた筈の山の向こうから、雲というか霧というか瘴気のような霞が越えてくるのが見える。

梅雨だねえ。湿気ばんばん来そうな週末である。

窓を開けるか閉めるか非常に迷うところ。日向に出れば紫外線びんびん。浜遊びは夕方がおすすめ。

平成23年6月4日

「完全なる証明」100万ドルを拒否した天才数学者 マーシャ・ガッセン 文芸春秋 ISBN:978-4-16-371950-4 C0098

「本の雑誌」炎の営業日誌 杉江由次(すぎえ よしつぐ) 無明舎出版 ISBN:978-4-89544-488-0 C0095

「マドンナ・ヴェルデ」 海堂尊 新潮社 ISBN:978-4-10-306572-2 C0093

「赤い指」 東野圭吾 講談社 ISBN:4-06-213526-4 C0093

「ウイグルの母 ラビア・カーデイル自伝」中国に一番憎まれている女性 アレクサンドラ・カヴェーリウス ランダムハウス ISBN:978-4-270-00541-5 C0023

社会主義体制のなかで本来の意味での「学問」は成立しうるか。基本的には無理、というのが答えになるのだろう。宗教を基盤とした体制でも無理ではあるのだろうが。でもイスラムの世界では事情が違ったのだっけ。

ともあれ、アスペルガー症候群もろと言った感じのこの数学者君、がソ連という社会主義体制の国の中、数学者としての活躍をしたということについてはちょっと奇跡的みたいなところがある。彼にとっては「数学」というものは世界の秩序そのものを現していて、しかし激しく現実はそんな秩序などなく混沌としたものであって、ゆえにそれを受け入れる気のない彼は完璧な隠遁生活に入る。 百万ドル貰うことなく。ある意味潔いと言っても良いのだが、ほとんどこれヴァルカン星人論法。自分の間尺に適合しないものは完璧に無視。

ソ連において学問や教育がどのように扱われていたかという実証的な本なので、数学者個人に興味を持つもよし、教育とは社会にとって何かということを考えるもよし。非常に面白い本でした。

とはいえ、自分は学生時代ポアンカレ予想どころか、三角関数さえ理解出来なかった人間なので数学的にどうかというのはいえません。

「炎の営業日誌」

何に燃えているんだ、と聞いて驚くな。サッカーなのである。

出版社の営業職というのが理解できるかも。で、結局何をしていらっしゃる?ぶつぶつとつぶやく日常が面白い。奥さん鬼、ではないですよね?

「マドンナ・ヴェルデ」

海堂尊ものでは一通り読んだ後にこれを読まれることをお勧め。他の本のネタバレになってしまう故に。なかなか面白い視点なのである。がやたらとひっかかったのが、みそ汁の作り方。

鰹節を何で最後あたりで入れるの?出汁とりではないの?大根は水から煮なさいと土井勝?に教わったんだが(記憶不確か)何故沸騰した湯に入れる?なんだか順番が違っている気がして非常に居心地悪し。

「赤い指」

加賀シリーズ。まいった。東野圭吾は絶品を書いてくれる。人情話からめるのが上手い!

「ラビア・カーデイル自伝」

中国怖い。つうかこんなに平和ボケしていても暮らしてゆける日本人は生き残れるだろうか。すごく不安

梅雨。暑いんだか寒いんだかよくわからない。

Under The Dome 三分の一にちょっと足らないくらいまで進む。ミサイルが降って来るか?