ほんの累積 平成23年2月

平成23年2月24日

「砂の王国」上 荻原浩 講談社 ISBN:978-4-06-216644-7 C0093

「砂の王国」下 荻原浩 講談社 ISBN:978-4-06-216645-4 C0093

「マリリン・モンローの最後を知る男」 ミシェル・シュネデール 河出書房新社 ISBN:978-4-3-09-20506-9 C0097

お客様は神様です、と宗教団体も言いたいのではと言う気になる。

篠田節子の「仮想儀礼」と並べて読むべし。作家の着想と展開の微妙なずれをとくと味わうことができる。

ちょっとした「文学論」にもなりうるこの作品たち。ただ読むだけでも当世屈指のエンターテイナーの作品故十分に楽しめるけれども、

セットで読めばその何倍も楽しめること請け合いのものでした。

問題はどちらを先に読むか、ということだろうけど。これは、普段どちらの作家をより好んでいるかというところの選択でしょうか。

自分の場合は篠田節子の方でしょうか。(今回そちらの方が先に出版でしたので時勢にのりました)

マリリン・モンローの関しては映画関係で多少読んでいるけれど。今回のような精神分析医との関わりからというのは初めて。

面白いです。何がって、この頃はフロイトの精神分析手法で猫も杓子もカウセリングをしていた。まだ、ユングとか出て来ていない頃。

米国の暮らしには弁護士と精神分析医がつきものとは聞いておりますが、このころ一気に普及したらしい。

それこそ猫も杓子もとっかえひっかえカウセリングを受けている。映画界のスター、監督、すべてお世話になって報酬も莫大、

人間関係のつながりで売れっ子精神分析医はセレブのお仲間入り。

などという話は初めて読みまして。「フロイト流精神分析」はいかにして西欧世界の上流階級に敷衍して盛況となり「文化」として定着したか、などというちょっと学問風な言い方をしたくなるわけでした。

この本はフィクションでもありノンフィクションでもあるという不思議な立場にあるものですが(その理由は後書きにある)、

そういう意味でちょっと眼から鱗という感じで拾い読み。

だって、カットバック多すぎて完璧に混乱するんだもん。

ロミー・シュナイダーといい、俳優という職業は余程精神が安定していないと自重で潰れてしまうのかも。

遠方より友来る。亦愉しからずや。もう十年以上逢っていなかった。

平成23年2月18日

「コロヨシ!!」 三崎亜記 角川書店 ISDN:978-4-04-874014-2 C0093

「幽霊たち」 ポール・オースター 新潮社 ISBN:4-10-245101-3 C0197

「仕訳と図表でわかる法人税の実務ガイダンス」 森本好昭 税務研究会出版社 ISBN:978-4-7931-1848-7 C2033

「女の絶望」 伊藤比呂美 光文社 ISBN:978-4-334-97548-7 C0095

「字幕の花園」 戸田奈津子 集英社 ISBN:978-4-08-78519-2 C0074

「よくわかる手形小切手の実務」 佐々木光雄 日東書院 ISBN:4-528-01814-4 C1033

「矜持」(きょうじ) デイック・フランシス&フェリックス・フランシス 早川書房 ISBN:978-4-15-209185-7 C0097

飴と鞭。美味しいものの間に面倒なものを挟むか、面倒なものの間に甘いものを挟むか、どうにでもとれるけれども。

余り面白くもない実用書ばかりでは流石に食欲が減退するのでそれはそれ、飴と鞭で誤摩化すのであ〜る。

期待の「コロヨシ!!」読み始めて「あれ?わたしは鴨川ホルモーをまつがえて借りて来たのか」と表紙を見直し。

また読み出してこんどは宮部みゆきの「ドリームバスター5」だったかしらん?と混乱す。

いやちがうんだ違う1と気がつかぬ間に青春小説がいつのまにか…

ずぶずぶと「三崎亜記」の不穏な世界に首まではまって身動きつかなくなっているのに気付く。

えらいこっちゃ。恐ろしいのはいまだに「西域」という世界が全然見当つかないこと。

三崎亜記の世界は怖くて面白いのだ。鴨川ホルモーみたいに映画になったら…と思わなくもないが、

やはり映像化されたらイメージ壊れるのだろうなあ、と断念す。これでいいのだ。でも「掃除」見てみたい。

オースターの不条理小説。サリンジャーみたくに疎外感とか冷たいものを感じさせないところに好感が持てる。

これを舞台化?えらく脚本が大変と思ったらおおもとが戯曲だったとちらりと書いてある。

ならあり得る。この展開を舞台にするなら余程の脚色がないと無理っぽい。三部作のなかの一冊とあるので、他のも読んでみるかな。

伊藤比呂美の面白さは、何処から何処までが本当なのかわからないところ。

どこかに「詩人は嘘つき」だとかいたのを読んだことがなかったっけか。いいねえ、この啖呵の切り方お見事。

戸田奈津子といえば字幕翻訳家?の第一人者。スターとのおつきあいも長いので、たのしい裏話も聞ける。

字幕ではいつもお世話になっております。けど、表装のドピンクは手に取るにはちょっと勇気が要る。

「矜持」言わずと知れたフランシス。鞭を持ったマリリンばりのブロンド女に脅されるというのはコミカルで笑えました。

楽しく読めたなあ。もうフランシスが読めないと思うとこれからが寂しいです。

インターハイレベルの高校生に遊んで(鍛えて、ではない)貰ったら、今日は筋肉痛。

とても貴重な経験でありました。ありがとうございました。

「頑張って下さ〜い!」と声援を受けながら、おばさんは喘ぎながらヘアピンに突進するのだ…。ぜいぜい…

ちなみに今回の法人税と小切手関係の二冊の実務書非常に解り易かった。

平成23年2月11日

「先生、カエルが脱皮してその皮を食べています!」鳥取環境大学の森の人間動物行動学 小林朋道 築地書館 ISBN:978-4-8067-1400-2 C0040

「ロミー」映画に愛された女 女優ロミー・シュナイダーの生涯 佐々木秀一 国書刊行会 ISBN:978-4-336-05148-6 C0074

「原価計算の基本と仕組みがよ〜くわかる本」 柴山政行 秀和システム ISBN:4-7980-1221-1 C2034

「経営がわかる会計入門」 永野則雄 ちくま新書458 ISBN:4-480-06158-4 C0234

「中小企業の資金調達」 八木宏之編 中央経済社 ISBN:978-4-502-66130-3 C3034

最近はヤギさんレンタルシステムがあるらしく、雑草をヤギさんに食べてもらうために貸し出しているそうです。

牛さんに比べて草の選り好みが少ないとかで重宝されているとか。ご近所でもそういうわけでは無いでしょうが姿をお見かけすることあり。

子供が小さい頃遊んでいたところにヤギさんをみつけ、ちょっと近寄りすぎたのか頭付きを食らって怯えたことがありました。臆病なくらいに慎重な子だったので、悪さをしたわけではなかった筈なのですがなにしろ体格の差で「舐めんなよ」とでも威嚇されたのかもしれない。 ヤギ子さんみたいに血の雨がふらなくてよかったなあ。犬にしろ猫にしろお互い怖いのは一緒な訳でして。迫力で勝負!なのだ

イボガエルはみたことはないのだけれど、昔殿様カエルや雨蛙、つちがえる(?)なんかよくみかけて触っていたのでカエル関係は好きです。イモリもヤモリも可愛いので手に乗せてちょっかい出したがる人です。でも、イモリやカエルが脱皮するとは思ってみなかった。

あいかわらずおもしろい先生のお話。これで生物学の好きなひとが増えるといいんですが。おなじく鳥取環境大学入学志望者も。

「ロミー」映画に愛された女優 ロミー・シュナイダー 佐々木秀一

「サン・スーシの女」を映画館で見たような覚えはあるのだけれど、違うのか知らん。どういう関連でロミー・シュナイダーに興味を持ったのか思い出せず。ついでに読んだ伝記?の内容も忘れているというていたらく。

とはいえその頃より少しは歴史的知識が増えたのか面白く読めた。悲劇の女優とか、派手な男性遍歴とかそういう所からは別の視点で描いている著者の筆致のせいだろうと思う。

できればもう少し彼女の写真があったら嬉しいが、それは別の本をみればよいとして。出演作品の解説が充実しているところが嬉しい。

二段組みで読んでみるとボリュームがけっこうありその分しっかりと楽しめる。

この本を読んで彼女の出演作品をみてみるのも良いだろう。「追想」をテレビでみた記憶がありしっかり印象に残っている。

出番は少ないかもしれないけど存在感があって、美しいだけの女優さんではないのはよくわかった。

それ以降の三冊については特に感想無し。ハウツー本に対してあれこれいえる知識もない。無いから読んでいるわけで。

ちっとも知らない界隈で探し物をしても何を探すべきなのかさえわからないのに苦労する。

といいつつ慣れればそれなりに解るのだろうと希望的観測。大体がUNIXだのLINUXだのViだのCSSだの、さっぱり解らない状態で始めてとりあえず理解出来ないもののどういうシステムソフトなのかおおよその勘が働くようになったのだから似たようなものだ何とかなるだろう(と、思いたい)

それにしても今月は大して本を読んでいない気がする。疲れているのか意欲も減退。