第19回(2011/05/24)
2011年5月24日
「第18回樋井川流域治水市民会議」議事録
日 時 :2011年5月24日(金)18:30~
場 所 :福岡大学 文系センター棟15階第5会議室
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議題
1. 平成22年の提言書の振り返り
2. 追加提言書
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1 平成22年の提言書の振り返り
発表者:九州産業大学 山下先生
・流域治水の概念
流域治水は流域全体で取り組む治水のこと。
河道改修と下水道整備だけにとどまらず、流域全体で雨水の貯留・遊水・浸透などの流出抑制を図り、かつソフトな防災対策を含んだ総合的な取り組み。
流域治水では流出抑制に加え、氾濫をある程度許容する一方で、被害を最小限にするあらゆる方策を講じる。
なお、樋井川では、流域治水を環境・景観・教育・福祉へとつなげ、地域づくりに寄与する広い概念として用いる。
・流域治水の目標
時間雨量100mmの雨に対して4割抑制し、氾濫しない地域の実現。
ゲリラ豪雨による短時間の水位上昇の抑制
治水対策に合わせた環境・景観の改善による環境教育、福祉、地域づくりへの発展
・提言の内容
提言1全住民、全関係主体が協働で行う流域治水の推進
提言2治水と環境・福祉・教育を切り離さない考え方の共有
提言32009年7月洪水に対応する緊急対策
提言4流出抑制による流域対策
提言5総合的な対策を行うための仕組みの構築、強化と実行
提言6啓発・教育
提言7研究・技術開発
提言8樋井川流域から他流域へ
【質問】提言趣旨で環境・景観、福祉、教育と言っているのに対し、提言2の見出しで景観を外した理由は?
【回答】外したのではなく、見出しのため簡略化した。環境という言葉に景観の意味も包含させるイメージである。
2 追加提言書
発表者:九州産業大学 山下先生
追加提言は県への提出は考えておらず、具体的事柄に関して補強していく意図。
<キーワード>は「福岡市が流域治水の先進地にならな、やらな、やろうよ!」
・追加提言
① 流域治水を担当する課等の設置
・ネットワークはできたが、流域治水への対応は、河川、下水道等の組織ごとに分かれたままである。一本化はまだできておらず、ネットワークが十分に働いていない。
・流域治水を担当する組織は、発信力があり、コーディネート力があり、予算を有し、雨水の貯留・浸透を普及実践する組織であることが望まれる。
② 雨水貯留浸透普及モデル事業
・雨水貯留浸透の哲学と技術を普及させるためには、一定の効果を実証・実感できることが不可欠。そのためには集中的に雨水貯留浸透を実施するモデル地区の設定が必要である。
③ 雨水教育の実施
・我々が教育を行っていき、市の人たちにサポートしてもらう形をとりたい。
④ 公民館など避難所となる施設での積極的な雨水貯留
・避難所に雨水の貯留施設があれば、極端な水の困窮を防ぐことができる。
⑤ 雨水センター
・雨水貯留浸透の考え方や技術の普及のために、雨水センターをつくりたい。そのための場所が必要。
⑥ ため池の保全と活用
・ため池の活用は、治水上最も有効な手段であるため、積極的に利用することが必要。
⑦ 支流に着目した施策の展開
・本川は十分検討されているが、支川に対する検討は十分とはいえない。支川それぞれに対して治水、環境面の検討を進めていく必要がある。
⑧ 油山の保全
・油山の森林土壌の詳しい調査を実施し、どれくらいの貯水量を保っているのか?を知る必要がある。保全の継続と改良への協力をお願いする。
⑨ ハザードマップ
・複合的氾濫に適切に対応するために、流域全体に浸水実績に基づいた実用的なハザードマップ作成を広げる必要がある。
⑩ 姉妹流域
① ~⑥は前回と同じで、⑦~⑩が新たに付け加えたものである。
【質問】他の地域ではハザードマップではどのようになっているの?
【回答】次回にお答えします。
【質問】鳥飼でも子供たちを交えてマップを作っているのに別府、長尾だけクローズアップされるのはどうか?
【回答】市がつくるのがハザードマップ、地域がつくるのが安全安心マップであり、別府や長尾は地域の人とのワークショップを経て市がハザードマップを発行している(発行することになっている)。鳥飼の安心安全マップも非常にいいと思うし、そういう試みももっと広げていくことが重要。
【質問】姉妹河川と姉妹流域は違うの?
【回答】流域治水として考えているので、流域として考えたい。
【質問】なぜ姉妹なの?兄弟じゃダメなの?
【回答】河川は女性名詞だから。
【質問】姉妹河川の締結において具体的にはどんなの?
【回答】中身ははっきりしていないが、互いに刺激しあう関係でありたい。
【質問】樋井川の代表はだれ?
【回答】市民会議世話人会の代表は島谷先生と角銅さんである。
【質問】現在のハザードマップの基準が100年に一度を対象にしていると言われているが、想定をどのようにしているの?
【回答】行政では県土整備部の解析に基づいて作られている。
【質問】樋井川流域のハザードマップを作る際に前回の浸水実績がなかった場合にはどうするの?
【回答】今後災害が発生した際には記録に残す。ない場合も想定しないといけない。
【質問】従来は長い時間の降雨に対して想定していたが、今後はゲリラ豪雨に対応したハザードマップを想定していく必要があるのでは?
【回答】市民会議では降雨の実績を強調しすぎるのではなく解析結果も重視すべきである。
【意見】避難場所だけではなく、他の公共施設にも雨水貯留を適用していくべきでは。