2010年10月21日
「第14回樋井川流域治水市民会議」議事録
日 時 : 2010年10月19日(火)18:30~
場 所 : 福岡大学 文系センター棟15階第6会議室
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議題
1. 台湾、国際花博
2. 鳥飼小学校、環境学習
3. 模型(樋井川広域、合流点付近)
4. 市民会議の振り返り
5. 提言書提言の現況
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1. 台湾、国際花博
発表者: 南畑ダム貯水する会角銅さん
○ 今年11月から台湾で開催される「国際花博覧会」に参加。
○ 福岡から庭づくりを紹介。地下に雨水タンクを埋め、サンデッキ下や池に循環させるシステム。
展示用は、雨水タンクの貯水容量32トンのうち半分の約16トンを循環させている。庭の散水にも使われる。
○ 企業も支援してくれている。
○ 今までは200リットルの雨水タンクを設置しているが、
20トンの貯留量があれば、トイレにも使用できるし、涼しいなど、利点が多い。
○ 樋井川にもこのようなサンデッキ(地下タンク)を広めたい。
【質問】何か動力は使っているのか。
【回答:角銅】ポンプを使っている。
【質問】日本の庭だったら、サンデッキ以外でどこに入れられるか。
【回答:角銅】駐車場の下とか。ぜひ出来る家庭でやってもらい、ご披露頂きたい。
2. 鳥飼小学校、環境学習
発表者:福岡大学渡辺先生
○ 鳥飼小学校4年生を対象に環境学習を行った。
○ 現地で、生き物や長さなど樋井川の概要を説明。樋井川クイズ。
○ 今回は水害の話はなし。
○ みんなで魚(ボラやブラックバス)を採り、説明。
○ 積極的に手を挙げ質問をしてくれた。
【意見】うちの孫も参加していた。家に帰って、もう一度川に遊びに出ていた。
【回答:渡辺】雨の日などは十分、気をつけて欲しい。
【意見】環境学習は今回だけ?
【回答:渡辺】鳥飼小の先生から、毎年やってほしいと言われた。
3. 模型(樋井川広域、合流点付近)
発表者:九州産業大学山下先生
○ 九産大の学生が模型を制作。
○ 鳥飼地区の合流点の模型は1/400
【質問】鳥飼地区だけか?
【回答:山下三】模型の意図は、合流点付近の浸水箇所が一望できるようにということ。
今後、他の地区も作りたい。
4. 市民会議の振り返り
発表者:九州大学島谷先生
市民会議が始まって1年。どれくらい進展しているのか振り返る。
○ 樋井川
l 福岡都心部を流れる。都市化率70%。
l 流路延長13km、流域面積29k㎡
l 市民の憩いの場
○ 平成21年7月豪雨
l 最大時間雨量91mm、最大2時間雨量152mm
l 都市化 → 貯留・浸透能力の低下 → 洪水流量の増加
○ 大雨での急激な水位上昇
l 神戸市都賀川では、大雨が降り始め10分で1m以上水位が上がった。
l 樋井川では10分間で2m20cm上昇した。
○ 市民共働型の治水
○ 提言書の提言
《提言1》 全市民、全関係主体が共働で行う流域治水の推進
《提言2》 治水と環境・福祉・教育を切り離さない考え方の共有
《提言3》 2009年7月洪水に対応する緊急対策
《提言4》 流出抑制による流域対策
l 学校
ü 子どもたちが身近に感じる。
ü 流出抑制行うことでかえって使いやすくなる。
ü 当仁中跡地のグラウンド貯留が第一歩
ü 福大サッカーグラウンドの浸透・貯留
l ため池
ü 集水面積は流域の10%以上
ü 農業関係者
ü 源蔵池では堤防が劣化しており、堤防直下には住宅と危険が多い。
l 各戸貯留
ü 雨水タンクモニター
ü 雨水タンクのデザインの公募
l 効果の評価
ü 水位計や雨量計で観測
《提言5》 総合的な対策を行うための仕組みの構築・強化と実行
l 融資制度
l 市との協議
l ハザードマップ
《提言6》 啓発・教育
l ホームページ
l 樋井川ニュース
《提言7》 研究・技術開発
l 九産大 1名(卒論)
l 福大 9名(卒論)
l 九大 2名(修論、卒論)
《提言8》 樋井川流域から他流域へ
l 福岡 : 宇美川、大根川
l 東京 : 野川
5. 提言書提言の現況
各提言についての現況や意見をポストイットに書いてもらい、提言ごとにまとめた。
以下、ポストイット意見とそれに対する回答。
《提言1》 全市民、全関係主体が共働で行う流域治水の推進
l 一体感
l もっと参加者を増やしたい。どうすればよいか。
l 全体の流れが確認できた。
l 小市民会議を各校区でできないか。
→【渡辺】長尾、別府でハザードマップ作りが進んでいる。田島、堤ヶ丘で防災教育を行う。
l 提言書を提出したが、県や市側の対応はどうか。
→【山下輝】市民会議で出た疑問に対して、次に答えが出てきている。
→【島谷】個別の対応は良いが、全体を包括する部分が弱い。
《提言2》 治水と環境・福祉・教育を切り離さない考え方の共有
【福大:皆川】先週、雨水タンクモニターへヒアリングを行った。
ü 流出抑制だけでなくヒートアイランドの抑制についてもアンケートを行う。
ü 回答例) 庭の緑が増えた。もっと続けたい。
ü 今後、景観・環境が良くなると思う。
ü 被害地域の回答では、流出ばかりでまだ緑の意識が低い。
《提言3》 2009年7月洪水に対応する緊急対策
l 県の工事で内水被害との関連を検討すべき。
l 工事は治水上良いと思う。
l 時間雨量は91mmでいいのか。103mmではないのか。
→【福岡県】
ü 去年の雨が降っても大丈夫なように底を掘って対策する。
ü 91mmは時間単位(〇時から〇時)で最大の1時間雨量。
103mmは分単位(〇時△分から〇時△分)で最大の1時間雨量。
ü 対策に用いる値は「雨量」ではなく「流量」。
雨量から割り出した「流量」ではなく、流れた流量と溢れた流量を実測した「流量」。
【質問】土のうのパラペットを68㎝積んであるが、
土のうを積むよりコンクリートで50cmのパラペットをつくってほしい。
暫定的なパラペットはいらない。
→【福岡県】今のパラペットは工事が5年かかるからその間の応急処置。
内水との関連もあるので、パラペットよりも川底を掘り下げる方が良い。
5年かけて川から溢れないようにする。下流に迷惑がかからないように考えている。
→【島谷】コンクリートでパラペットをつくったら、お金が足りない。
【意見】市と県の話がマッチングしていない。
→【福岡県】市にも「床対推進室」ができ、スムーズに連絡、情報共有をしていると認識している。
【質問】鳥飼のポンプ場は?
→【福岡市】ポンプ機能は去年完成している。ポンプをつなぐ幹線が年内に完成予定。
今年から幹線を少しずつ繋げていき、来年3月には使用できる。来年の梅雨には間に合う。
《提言4》 流出抑制による流域対策
l ため池
l グラウンド
l 流出抑制40%の出し方は正しいのか。すでに抑制されている部分があるのではないか。
→【島谷】ちゃんとした計算ではない。
詳細な計算は時間がかかるので後回しにし、一つの考え方として出している。
→【山下三】下水道が59mm対応なので、100mmの雨が降った場合、
流出できない約40mmを抑制しようというもの。
l 浸水想定区域内の学校でも行うのか。
→【渡辺】教育と環境を切り離さないという考え方からも、浸水想定区域内でも行うべき。
小学校はとりわけ高い位置にあるため効果的。
→【島谷】当仁中跡地は区域だが、そこから流れ出さないようにすることで対策になる。
《提言5》 総合的な対策を行うための仕組みの構築・強化と実行
l アパート、個別住宅で雨水タンクを設置するにはもっと家主にメリットがないと。
→【島谷】1年間やってここが一番難しい。
例えば貯留量に応じて、市が建物の容積率を緩和するなどメリットを生むような
バックアップづくりをやっていかないと。
→【山下三】下水道料金の事も話し合っている。また、建築学会でも話が上がっている。
《提言6》 啓発・教育
l 市民の意識
l 決まった人だけがニュースやホームページを見ているのではないか。
→【山下三】今後、地域ごとの市民会議を行いたい。
《提言7》 研究・技術開発
l 研究活動の成果が多くて驚いた。
l 雨水タンクの結果を早く出してほしい。
→【山下三】これは、社会技術になる。
l 排水層の水を防火用にできないか。
《提言8》 樋井川流域から他流域へ
l 全国に広がってほしい。
l 先駆けになるから市民会議は重要。
【意見】流域の16%が道路。側溝をもっと大きくしたらかなりの量のになると思う。
鳥飼地区は側溝を大きくする対策がすでにされている。地区を限定せずに全体的に対策を行うべき。
→【島谷】おっしゃる通り。一時的に貯められて素晴らしい対策。
【意見】七隈川について考えられていない。逆流し水害が起こっている。
→【島谷】ぜひ支流別で話し合いを。
【意見】鳥飼はいっぱいやった。次は田島を議題にやってほしい。