<樋井川流域市民会議の「市民」とは?>
流域住民はもちろんのこと、樋井川に関心を持ち流域の未来に関わっていこうとする人すべてであり、大学関係者も市民、行政マン(国・県・市を問わず)も市民、土木事業者など企業も市民、議員(国・県・市を問わず)も市民です。
<目的> 樋井川に関心を持つすべての市民が、流域の過去に学び、現在において行動し、未来に対しての希望を持つことができるために、情報を共有して平等な話合いをする場を創出すること。
<目標> 市民会議の意見として福岡市・福岡県知事へ、樋井川流域での総合治水政策を提言する。
<背景>
・ 樋井川は市民から愛されつづけ、これからも愛されるべき川である。
・ 過去から樋井川は水害を起こしては来たが、人々は暮らしとの折り合いを探り続け、川とともに地域での生活を営んできた(参考;田島神楽)。
・ 近年、流域の都市化により流域の水循環が大きく変化して都市水害の危険性が高まるとともに、樋井川及びその周辺の生物の多様性も大きく変化した。
・ 今日、樋井川ではさまざまな市民活動が行われている。
・ 平成21年7月24日、豪雨により樋井川流域に浸水被害が発生した。
・ 河川のみに頼らない流域での総合的な治水対策の必要性が求められている。
・ 総合的な対策のためには様々な立場の協力が必要である。
・ 総合的な対策とは、治水安全度の向上のみならず、緑地空間の確保や湿地の再生、田畑・ため池の保全など、流域の景観や生物多様性にも効果が期待されるものである。
・ 総合的な対策は「多様性」がキーワードとなるため、多様な考え方・意見をもつ市民が社会的利害関係に左右されることなく、平等に話し合うことのできる場が求められている。
<スケジュール>
10/19 第二回樋井川流域治水市民会議
11/9 NPO勉強会 樋井川流域全体で守る構想;グラウンド・公園・緑地・農地・宅地
12/5 樋井川フィールドワークショップ
12/6 シンポジウム「雨から川へ、水のつどい」仮称)樋井川流域水循環構想を語る;樋井川流域のこれまでの40年、これからの40年の議論、
12/19 樋井川フォーラム;仮称)樋井川流域水循環構想に地元市民の声を加える。仮称)樋井川流域水循環構想⇒仮称)樋井川流域総合水循環政策へ
1月 福岡市長へ仮称)樋井川流域総合水循環政策を提言
~ 市民会議・若者会議・子ども会議など、多様かつ多数の合意形成を重ねる
<趣旨> 福岡市都心部の住宅街を流れる小河川樋井川が今年、豪雨により氾濫した。流域のほとんどは住宅地であり、流域の都市化によって氾濫が発生したのである。昨年の神戸の都賀川や沖縄の小河川においても集中豪雨による急激な水位上昇により人が流される災害が発生している。このような災害は都市化による流出形態の変化によるものである。すなわち国土の改変によって水循環系が変わり、洪水が発生しているのである。かつての水田や山林は住宅地へと変わり、都市に降った雨は途中で溜まることも浸透することも無くあっという間に河川へと流出するのである。降雨から河川までの流出時間は10分から20分、もし川で遊んでいたならば雨が降り出したらすぐに逃げないと間に合わないような短時間である。都市化によって洪水到達時間は驚くほど短縮し、ピーク流量は2倍以上になる。
このような都市洪水にどのように対処すればよいのであろうか?一つの考え方は、増大する流量に対応できる治水施設を整備する手法である。河道を掘削する、大規模な地下放水路を構築する、河川沿いに遊水地を造るなどの方法である。いわゆる洪水流量対応型の従来型の手法である。
もう一つの手法は、流域から出てくる雨水の流出量を抑制し、どうしても氾濫が抑制できない場所は氾濫域に戻す手法である。住宅、公共用地、公共施設などに水をため、浸透させ、下水管に流れ込むまでなるべく自然の形態を持つ開水路で流す。貯めた水は、トイレ用水などに有効利用する。河川沿いの氾濫域はなるべく買収し、自然の土地に戻していく。洪水処理と同時に適正な土地利用のあり方を求め、さらに自然環境の回復も求めていく。治水事業に市民が参加し、あわせて地域づくりへも貢献していく。これを達成するためには河川部局だけではできず、市民や企業の協力、さまざまな分野の行政部局の協力が必要である。
私たちは後者の手法こそこれからの時代の国土整備の方向性を示す手法であると考えている。治水対策が単に治水対策に終わらず、治水対策を行うことによって、多くの人々が地域のことを考え、参加し、より持続的な社会を構築していく。あわせて、緑豊かで、生き物にも触れ合うことができ、子供たちが生き生きとした環境を整備していく。
私たちはこれから福岡で多くの人と供に市民主体の流域治水を実現していきたいと考えている。これから新しい時代に入って行く。さまざまな分野で社会資本はどうあるべきなのかを提案し、実践していかなければならない。勇気を持って、これまでの考え方や仕組みを大きく変え、様々な分野の人が手をつなぎ、次世代、次次世代が夢や希望が持てる社会へと変革することが私たち大人の責務である。
発起人代表 角銅久美子(南畑ダム貯水する会) 島谷幸宏(九州大学)
発起人 天本豊子(リバーナース) 山下輝和(南畑ダム貯水する会) 山下三平(九州産業大学)
渡辺亮一(福岡大学)