2010年9月1日
「第12回樋井川流域治水市民会議」議事録
日 時 : 2010年8月29日(日)16:30~
場 所 : 福岡大学 文系センター棟15階第5会議室
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雨水技術セミナー 14:00~16:00
日本の最先端で実践的な活躍をされているお二人を講師としてお招きし、
雨水利用・貯留浸透技術のセミナーが開催されました。
講師:大西 和也(㈱タニタハウジングウエア)
「雨樋と家庭用雨水タンクの基本的な技術、実践から応用まで」
講師:屋井裕幸氏(雨水貯留浸透技術協会)
「雨水貯留浸透技術の現状と今後の動向について」
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議題
1. 前回までのふり返りと意見(ポストイット)の分析
2. 福岡県から床対の報告
3. 避難勧告、避難指示の発令について
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1. 前回までのふり返りと意見(ポストイット)の分析
発表者:九州産業大学山下先生
○ 前回(第11回)までの意見を集約し分析を行った。
○ 意見は以下の4つの要素に分けた。
l 自立的 : ~しよう、やりたい、
l 他律的 : してくれ、やってほしい
l 環境
l 貯水
○ まだ、自立的意見よりも他律的意見の方が多い。
○ 会議を重ねるにつれて、環境意見も増えている。
2. 福岡県から床対の報告
発表者: 福岡県県土整備事務所織田さん
床上浸水対策特別緊急事業(床対)の河道計画について
○ 河道掘削を実施し、越水箇所をなくす。
○ 樋井川床対事業実施による改修効果
l 七隈川合流点 水位 約60㎝低下
l 田島橋上流(越水箇所) 水位 約90㎝低下
l 塩屋橋下流(越水箇所) 水位 約80㎝低下
○ 御笠川における災害対策事業の実施効果
《内容》河道拡幅、河床掘削、橋梁改築、堰改築
《事業前》平成15年7月19日豪雨
l 大宰府 累計雨量:361㎜、時間雨量:99㎜/hr
ピーク時の潮位:干潮
l JR博多駅周辺で甚大な浸水被害、御笠川流域で4200戸以上の浸水
《事業後》平成21年7月24-26日豪雨
l 大宰府 累計雨量:618㎜、時間雨量:83㎜/hr
ピーク時の潮位:満潮
l 内水氾濫はあるものの浸水被害報告なし。
l 山王橋においてピーク時の水位が約1.6m低下。
○ 事業進捗状況
l 測量調査 5月~6月
l 現地調査 7月
l 地質調査 5月~8月
l 川の中の石の分布調査 8月
l 河川利用実態調査 8月、10月
○ 樋井川河川利用実態調査(夏季調査)
l 調査日:8月の休日と平日の2日間。
l 利用者総数(2日間)約8,000人
○ 今後のスケジュール
l 河道計画案を検討中。
l 案ができれば市民会議や地域の方に説明する。(10月頃)
l 河口付近~百道浜橋は常で河床の掘削工法を検討中。
常に水に浸かっている区間なので、浚渫船を用いる。
那珂川でも浚渫船を使った河川での掘削工事が行われた。
l これより上流に関しては10月までに案をつくり、来年度に設計に入る。
【質問】田島、鳥飼ではオーバーフローした原因が違う。
そのため、河床を掘るだけでは不十分ではないか。
氾濫は外水によるものか、内水によるものかという原因解明が必要。
【回答:福岡県】市の下水道と連携して行っているので、これから議論し対策したい。
基本的にはハイウォーターレベルで59mmで流れるように市と県と整合している。
【質問】山王橋(御笠川)で水位が下がったと報告しているが、そこまで潮は上がるのか。
【回答:福岡県】実際は山王橋より上流まで潮は上がる。
山王の地区の方は「平成21年の雨で水位が上がらなかったから安心」と言っていた。
【質問】田島の雨水溝の設計は3月に終わっているはずだが、今どうなっているのか。
【回答:福岡市】現在、発注中で県と協議中。詳細を確かめて正確に答えたい。
【質問】今では、浚渫の前に護岸の根固めが必要であるため浚渫が大変だと思っていた。
だが、今日の話では浚渫は簡単にできるようだが?
また、土のうを積んだパラペットをもっときちんとしたものにした方がよいのではないか。
【回答:福岡県】友泉亭付近の浚渫は行っている。
今年浚渫を行う区間は根固めがいらない区間。それより上流部は根固めが必要。
また、河床を下げることで排水能力を上げ、パラペットに頼らない方向で対策を考えている。
【質問】山王公園(博多区山王)の地下貯留施設の効果は?
【回答:福岡県】下水の排水を調整するためのもの。
下水で流しきれない部分の調整には大きな効果がみられる。
御笠川のように大きな流域では、河川の水位低下にはあまり効かない。
【質問】今回の浚渫の効果は何年?
【回答:福岡県】何年とは言えない。
河床が堆積するところもあれば、えぐられるところもある。
今後は様子を見ながら対策しなければならない。
【質問】流出抑制には調整池、遊水地が最も効果があると思うが、床対には入っていないのか。
【回答:福岡県】床対は去年の規模の雨が降っても安全に流すことができる河川をつくる事業。
ため池、調整池に治水機能を持たせるのは次の段階。
【意見】外環(状線道路)の工事で県はため池をつぶしている。もっと流域治水の根本を考えないと。
【回答:島谷】県の河川課は河道内の対策はできるが、流域すべての対策はまだ難しい。
だから市民会議がある。床対はあくまでも去年の雨に対策する部署。
今は公園、河川、下水道をつなぐ部署が必要で、これがないのが問題。
その手立てを今考えている。これから市民会議で知恵を出し合って考えよう。
【質問】では、県(の事業規模)は河川だけで流域ではないのか。
【回答:福岡県】床対は総合的な内水を含む対策ではない。
しかし、そこにプラスして市の下水対策があり、県と市で合わせて総合的な対策を進める。
3. 避難勧告、避難指示の発令について
発表者: 城南区役所
○ 避難勧告、避難指示の発令までの流れ。
○ 河川には避難判断水位、氾濫危険水位等の水位により判断。
○ 気象庁や消防等の情報を入手。
○ 災害対策基本法に基づいて区長の指示によって発令。
○ 今年7/13~15豪雨の場合
l 7/13 4:45 土砂災害警報
l 7/14 1:50 大雨洪水、土砂災害警報
l 河川監視カメラ(3台)にて様子を見守る。
l 樋井川橋、草香江新橋は大丈夫
l 田島橋のみ氾濫危険水位を超えた。
l 市の災害対策本部の判断とともにこれ以上危険水位は超えないだろうと判断。
l 市の職員とともに樋井川へ行き様子を見守る。
l 7/14 7:00 避難勧告発令
草香江1・2丁目、鳥飼1丁目、田島1・4丁目、別府1丁目
l 7/14 14:30 避難勧告解除
l 田島橋での最高水位は3.26mで、氾濫危険水位(3.30m)に4cm届かずに低下した。
【質問】避難勧告に法的拘束力や規制はあるのか。また、法的根拠は?
【回答:城南区】強制的な避難命令まではマニュアルにない。
避難勧告、避難指示に関して法的強制力はない。
【意見】自助で判断させた方が良いと区役所からも言ってほしい。
【回答:城南区】城南校区には全11校区に自主防災組織がある。今年は自助で車の誘導等行っており、去年の豪雨にもまして今年は意識が高まっていたと思う。