5. 勉 強
5. 勉 強
出家し東京へくると、私は駒沢大学で通い始めた。曹洞宗の僧侶は通常駒沢大学の仏教学部で通うもの
であるが、私の師匠は「正法眼蔵はわしが教えてやるから、お前は経済学を学べ」といい、駒澤大学の第
二経済学部に通うこととなった。また、このときの仲間が後に大変な応援をしてくれた。
駒澤大学を卒業後、今度は社会福祉を専門に学ぼうと、当時原宿にあった社会事業大学に通った。ここ
で副苑長と出会い、その他多くの仲間を持った。この仲間達も施設に対し多大な貢献をしてくれた。その
中には東京都や厚生省の役人も多く、この人脈が後の施設認可を受ける際に役立った。
ところで「正法眼蔵はわしが教える」と言っていた師匠であったが、結局一ページたりとも教えてくれな
かった。しかし師匠の生き様から私は書物で学ぶことの何倍ものことを学んだ。これが本当の生きた勉強
である。良き師について学ぶこと、また学ぼうと思えばどんなことでも勉強となることを師匠から学んだ
のである。
「修身良き師について学びて学ばざるあり
匙の汁に浸って味の無きが如し」