分子生物学、生化学およびX線結晶構造解析の手法をもちいて、RNAの修飾や生合成に関わるタンパク質の機能・構造解析に取り組んでいます。

　特に、病原菌のパーシスター細胞形成に関わるアミノアシルtRNAを標的とするトキシン群に着目し、それぞれの酵素の基質特異的な反応分子機構を解析しています。

　バクテリアのトキシン・アンチトキシンシステムは、細胞増殖の休止および細胞死を制御するシステムで、様々な環境条件下でのバクテリアの生存に寄与していると考えられています。近年発見されたGNATトキシンと呼ばれるトキシン群は、アミノアシルtRNAをアセチル化することにより、細胞のタンパク質合成を阻害し、細胞増殖を抑制します。このグループのトキシンについて、標的アミノアシルtRNAの解析や、生化学・結晶構造解析実験をおこない、その特異性と基質認識の分子メカニズム解明に取り組んでいます。病原菌のパーシスター細胞形成は、病原性細菌の薬剤耐性に関与することから、トキシンの機能や分子基盤を明らかにすることは、感染症における病理的、臨床的な側面においても寄与が期待されます。