研究紹介

(学生)

渡我部 りさ

工学部  応用化学科

伊藤・横山研究室  学部4年

研究テーマ

ビトリマー ✖️ ポリロタキサン

引用元:MATVIT(https://ct-ipc.com/solution/matvit

ビトリマーとは

樹脂(プラスチック)は、加熱するとやわらかくなる熱可塑性樹脂と、加熱により三次元網目構造をつくり硬化する熱硬化性樹脂の2種類に大別できます。

ビトリマーは、両者の長所を併せ持ったような新しい材料です。つまり、熱硬化性樹脂のように網目構造をとり高い機械特性を持つ上に、網目構造の組み換えが起こることで熱可塑性樹脂のように再成形も可能なのです。

さらに、自己修復性やケミカルリサイクル性を持つことも報告されており、循環型社会に向けた実用化が期待されています。

引用元:伊藤横山研究室(http://www.molle.k.u-tokyo.ac.jp/research/research_2.html

ポリロタキサンとは

ポリロタキサンは、「輪っか」状の分子を「ひも」状の高分子が貫通した構造をしています。

ポリロタキサン同士を「輪っか」の部分で架橋する(=結合させる)と、架橋点が自由に動く環動高分子材料が得られます。

架橋点が固定された従来のゲルでは、力が加わった際に一箇所に力が集中してしまい、そこから破壊が進みます。一方、ポリロタキサンゲルでは、力が加わった際に架橋点がスルスルと動き、力を分散させます。この現象は滑車効果と呼ばれ、これにより元の長さに対して約24倍以上の伸縮性と優れた強靭性が実現されています。

研究内容

上記で述べたようにビトリマーは画期的な材料であるため、さらに靭性を高めることが実用化への課題となります。私たちの研究室では、ビトリマーにポリロタキサンを少量添加することで強靭化に成功しています。

私の研究テーマでは、添加されたポリロタキサンがビトリマーの強靭化にどのように寄与しているか解析を進め、ポリロタキサンの効果を最大限に活かす組成を探索するために日々活動しています。