研究紹介

(学生)

右橋 雅子(Masako Migihashi

新領域創成科学研究科 先端生命科学専攻 
統合生命科学分野 松永研究室 修士2年
研究テーマ:植物のシュート再生能力獲得に関与するエピジェネティック制御因子の機能解析

植物は高い再生能力を持つ

この写真を見て何か気づくことはありますか?・・・恐らく風雨等にさらされてしまった断面から、新たな器官が再生しています。
このように、植物は折れても傷ついても「再生」する能力を持っています。

カルスを用いた実験で、植物の再生メカニズムを解明する

私は、植物の根を「カルス」と呼ばれる多能性を持つ細胞の塊に転換し、そこから葉や茎を再生する実験系を用いて研究をしています。根を葉や茎に転換する過程では、根としての性質を失い、葉や茎の性質を獲得するために、ダイナミックな遺伝子発現変動が起きていると考えられます。私は、葉や茎を作るために必要な遺伝子をアクティベートするメカニズムの解明を目的として実験を行っています。

上:野生型 下:ヒストンメチル化酵素の変異体

Scale bars : 5 mm

葉や茎の再生に
ヒストンメチル化酵素が必要である

DNA は「ヒストン」というタンパク質に巻き付いた状態で存在しています。そのヒストンには、様々なマークが付けられていて、遺伝子発現を制御するタンパク質は、それらのマークを目印として近づいてきます。私は、ヒストンに付く様々なマークのうち「メチル化」に着目し、このメチル化を担う酵素が、植物の葉や茎の再生において持つ役割を調べています。

実際、あるメチル化酵素の変異体(変異体ではメチル化酵素が働かない)では、葉や茎が再生されないことが分かりました。

このヒストンメチル化酵素は、葉や茎の創出に必要な遺伝子の領域にメチル化のマークを付けているのかもしれません。