研究紹介

(学生)

松本 遥

物質系専攻 廣井研究室 修士2年

研究テーマ: 立方晶ReSTeの熱電特性と元素置換効果

熱電変換って? 

ある物質の上に温度差がつけられたとき、低温側から高温側に向かって電流が流れます。このように、電子は熱を運ぶので、熱を使って電位差をとりだす発電が可能になります。これを熱電変換といいます。発電に用いる際には、左の図のようにキャリアが電子のn型と、キャリアがホールのp型の物質とを組み合わせて使います。実際に、この現象を利用した熱電変換材料(熱電素子)が、小型冷蔵庫など実用化されています。実用材料が存在する現在でも、熱電変換材料には機能面でまだ課題が残されています。


私の研究 

ReSTeという、元素のRe(レニウム)、S(硫黄)、Te(テルル)からなる物質をもとに、よりよい熱電特性を示すよう元素置換という手法を用いて、試料を合成しています。ReやTeは、第6周期など、元素の周期表の中でも下の方に位置する元素なので、馴染みのない人も多いかもしれません。合成は、これら原料となる元素の粉末を、混合してペレット状に圧粉したものを、酸化されないよう中を真空にした石英管に封じて、電気炉で焼成して行っています。
元素置換では、物質中の電子やホールを増やすキャリアドープを行うために、もとの原料の一部を、周期表で隣り合うような元素などに置き換えて、合成を行っています。
合成した試料は自分の手でその熱電特性の測定まで行います。測定結果を見て、狙ったとおりに特性が改良されていたときの喜びはひとしおです。