これは追求する価値のあるツールです。肯定思考の置き換えをより効果的にする秘訣に入る前に、不安を否定的な考え、感情、反応のサイクルとみなす場合、このサイクルを中断できる ポイントの1つが私達の考え方の領域にあることは明らかです。
ただし肯定思考だけがすべてではないことを心に留めておいてください。思考は、私たちの心、体、精神を巡る恐怖のサイクルを断ち切るための1つの入り口にすぎません。私たちのプログラムでは、社交不安を他の角度から攻め入ることもできます。
肯定思考をより効果的にするためのいくつかの秘訣
社交不安アノニマスは、微妙だが重要なポイントをいくつか強調しており、それが変化をもたらす可能性があります。私達はこれらの強化機能を様々な瞑想テクニックから借用しています。驚くべきことに、これらの瞑想の原則は、ほとんど全ての偉大な世界の宗教で同じです。また、これらは精神的なテクニックとしてのみ使用される場合もあります。これらのアプローチを助けるため、以下に幾つか提案をします。
おだやかな粘り強さの原則:
考え方を変えようとするときは、無理に変えようとしないでください。代わりに、否定的な考えを手放しながら、新しい肯定的な考えを生み出すことに、優しく粘り強く注意を向け続けてください。否定的な考えに対して戦ったり、力を加えたりすると、否定的な考えがさらに悪化する傾向があります。精神的な強迫観念は私たちがそれらと闘えば闘うほど、それに対する私たちの抵抗を糧にして悪化します。受容。否定的な考えを(中立的または歓迎的な観点から)受け入れて許容すると、その力を奪う傾向にあります。これは直感に反するように思えるかもしれませんが、事実です。
おだやかな粘り強さの原則は、社交不安アノニマスプログラムのあらゆる回復ツールで使用できます。
対抗ではなく追加
否定思考に真っ向から対抗する代わりに、思考への追加として肯定思考を意識的に生み出すという側面を追加する選択は役立つことがあります。**一部のセラピーでは、否定的な考えについて議論することが求められますーこれは役立つ場合がありますが、おだやかに議論する場合に限ります。全体的な考え方は、最終的に自分自身と戦うのではなく、焦点を否定的な考えから遠ざけ、おだやかに置き換えることです。
S.A.W.A. (Soften Allow Welcome and Accept) (優しく許す、歓迎そして受容):
受け入れが困難になったとき、これはしばしば助けになります。否定的な考えや感情に直面したとき、それに対して緊張するのではなく、自分自身の内側を柔らかくすることができます。そうすれば実際にこれらの「悪い」考えや感情が、私たちの中で好きなように動くことができるようになります。これは最初は恐ろしいように思えるかもしれません。否定的な考えや感情は、それらに対する私たちの抵抗を糧にする傾向にあり、逆説的ですが、それらが私たちの中で好きなように動けること或いは私たちの中に湧き上がるものさえ許容することは、それらの力を弱める傾向にあります。同じ考えや感情を歓迎し、優しく受け入れることで、さらに進めることができます。これは私たちの心をゆるめ、開放し、静めます。これにより、より肯定的回復ツールが、より効果的に機能するようになります。
これが完璧に機能しなくても多くの場合、不安や強迫観念の強さが軽減されます。信仰の次元を加えると、さらに進めることができます〜私たちは、このプロセスで(その気になれば) 祈り、謙虚にそれらを明け渡し、神やハイヤーパワーが侵入してくるのを感じながら身を委ねることを選択できます。そしてそれらの考えや感情の働きは、私たちに対する神の意志の一部であることを知って、許容し歓迎するようになります。さらなる近道で最も強力なアプローチは、自分なりに理解した神やハイヤーパワーあるいは「善」 に対する単純かつ強い信仰を培うことによって、もたらされます。このような力に降参することは、より単純に言えば上記で述べたことと同じ効果が得られます(SPA12ステップのステップ1.2.3を参照) 。
継続的な取り組み:
人生の他のことと同様、継続的な実践に取り組むことが重要です。否定思考を数回(または数日間だけでも)変えようとして、それがうまくいかない、と宣言してしまうと、このツールの強力な癒し効果を逃してしまうかもしれません。自転車の乗り方を覚えるのと同じように、粘り強い継続的努力が鍵です。そして本で学んだだけではそこに到達することはできません。書かれた言葉は私たちを自転車に乗せ、正しい方向を示してくれます。しかし私たちが実際に自転車に乗る方法を学ぶことができるのは粘り強い練習(と多くの試行錯誤)を通してのみです。
つまり一日を通して(そして毎日、長期的に)おだやかな練習をすることが、私たちの生活に大きな変化をもたらすのです。ここでサポートグループの励ましと事例が大きな助けになります。SPA では、このツールの使用を強制することはありません。サポートとはプレッシャーを意味するものではありません。私たちはそれぞれ準備ができている場合にのみ、自分のペースでこの仕事に取り組みます。
自己認識は肯定思考の創造に役立つ。
自分自身について学べば学ぶほど、より効果的に肯定思考を生み出すことができるようになります。私たちは様々な方法で、より深い自己理解に到達することができます〜グループ内の他の人の話を聞くことによって(同じように社交不安を抱えている人の話を聞くと自分自身について多くのことを学びます)。正直でおだやかで継続的な自己点検のプロセスを通じて。そしてSPA 12 ステップ プログラムのステップ 4 と 5 に取り組むことで、これら全ての方法を通じて私たちは自分の強みと、傷ついた部分や未発達な部分の両方について、より多くを学びます。最も仕事が必要な領域を特定すれば、それを最も必要としている自分自身の部分を育て強化するために、思考の創造に集中することができます。
アファメーションという思考の置き換え:
これは信仰と実証済み治療法とが重なる領域です。通常考えらていれる置き換えは、人を現実に引き戻します。アファメーションは新しい現実をより肯定的に生み出すための発言です(人間の様々な潜在的動きで使用されます)。アファメーションは私たちが望む状態や状況がすでに存在している、と述べます。これは潜在意識が、その状態を実現するよう訓練する傾向にあります。もっと簡単に言えば人生のある分野では既ににそうなっている、と宣言することで何かを実現させることができます。それは空想ではなく、実際には新しい肯定的な結果を生み出すための心の訓練なのです。この意味でアファメーションとは、より良い現実を生み出すのに役立つ信仰の宣言と言えます。もちろん決して変えることができないものもあります(大切な人の死など)。 しかし粘り強くおだやかに努力すれば、私たちの生活の多くのことを変えることができます。そしてアファーメーションは思考の置き換えの実践を強化することもできます。
自分の隠れた強さも肯定する。
恐怖の真っ只中にいると多くの場合、私たちは本当の自分を忘れてしまいます。恐怖はしばしば私たちの長所を隠す弱さの幻想を生み出します。こうして私たちの能力や才能さえも私たちから遠ざけらるのです。そして自分自身についての恐れに満ちた誤認が自己実現化し、その過程で私たちのエネルギーは奪われ、信仰は薄れていきます。肯定思考を生み出すことは、私たちの中に隠れている多くの良い性質や可能性を肯定することによって、私たちを自分自身についての真実に立ち返らせるのに役立ちます。
自分の周りの世界に隠された善を肯定する。
多くの場合、社交不安は私たちから世界の豊かな恩恵を隠します。私たちは自分が目にする否定的なものを強調し、肯定的なものを軽視したり無視したりする傾向があります。これは場合によっては (常にではありませんが)出来事の誤った解釈につながるかもしれません。時には否定的な出来事が非常に現実的になることもありますが、否定思考や、内気で不安な生き方のせいで(常にではありませんが)実際に否定的な状況を引き寄せることがあります。 これは私たちが苦しむに値するという意味ではありません。また全ての災難が社交不安から生じているというわけでもありません。社交不安があるかどうかにかかわらず、誰の人生にもトラブルはつきものです。
社交不安アノニマスでは、求められていないアドバイスをしたり、仲間の生活上の困難が現実的か非現実的かを評価したりしないように特別な注意を払っています。私たちには装備がありませんし、そうするのも適切ではありません。私たちはただ愛とサポートを提供し、自分自身の回復に集中しようとします。
感謝という特別な力:
一部の 12 ステップ プログラムでは「感謝の態度をしめそう」というスローガンを使用しています。私たちが感謝する必要のある多くのことを思い出しリストアップすることは自分自身や他者、世界の中に豊かな善が存在していることを主張する1つの方法です。それはまた私たちがより受容的になることを助け、私たちにもたらせる良いものを、よりよく活用できるようにします。
肯定思考は、より強い信仰を育む要素になりえます。その傾向がある人にとって肯定思考は、自分なりに理解した神やハイヤーパワーを信じるようになるための1つのルートになる可能性があります。物事を小さく否定的に捉えることは、神やハイヤーパワーが私たちを愛しているという全体像を見失っているようなものです。神を信じない私たちでも、宇宙の豊かな善や善の可能性(その先はすぐに見えてくるかもしれません)への信仰を育むことはできます。いずれにしても肯定的な考えや視点を生み出すという一貫したおだやかな実践は、最終的に恐怖の蜃気楼の背後にあるものへの信仰や信頼の経験を、より大きく深めることに繋がるでしょう。
蜃気楼を理解する。
蜃気楼は伝統的に砂漠の遠い地平線で見られる幻影だと言われてきました。その誤ったイメージは何か肯定的なものかもしれませんし、否定的なものかもしれません。木々や果物が生い茂る魅力的なオアシスかもしれませんし、実際には存在しない迫りくる敵の軍勢かもしれません。私たちの個人的な蜃気楼がどのような形をとったとしても、私たちは恐怖の幻影の背後にもっと大きな善があるという信仰や信頼の実践を身につけることを学びます。肯定思考をおだやかに生み出すことは蜃気楼の背後にある善を信じる唯一の方法ではありませんが、そこに到達するための 1 つの方法です。
肯定思考と否定思考の違いを見分ける。
肯定思考の実践を誤って適用したり乱用したりする可能性があります。これを行うための 1 つの方法は、本当に有害な習慣や状況の現実を否定することです。私たちが被害を受けているとき、または実際にに悪いことが行われているときに、状況への唯一の対応策として肯定思考に固執することは私たちの助けにはならず、苦しみを長引かせる可能性があります。
実害を否定することと、肯定思考に取り組むことだけが必要な状況との違いを区別するため、私たちは回復のための数多くのSPAツールに頼るかもしれません。つまり祈り、瞑想、内省、他のサポートグループメンバーへの相談、継続的な(おだやかだが正直な)自己点検(self examination)、違いを整理するためのサポートグループへの継続的な参加。
グループ内の誰も提案を分かち合う以上のことは、できません (ただし求められた場合のみ)。私たちは他の人からの視点を求めることはできますが、最終的にはそれぞれが自分の道を見つけなければなりません。社交不安からの回復が進むにつれて私たちは実際の害や欠如と、それに対する幻想との区別がつくようになることに気づきます。とはいえ、この点においてこの世では誰も完璧になることはできませんし、完璧になることを期待する必要もありません。
長所を肯定するだけではない。
しかし同時に人間であって完璧ではない、というあなたの権利も確認します。時には肯定思考の努力が、自分の完璧なイメージを守ろうとするあまり、自分の得意分野を肯定するだけになってしまい、さらなる不安を引き起こすことがあります。完璧主義は不安の問題と密接に関係しており、頑張りすぎてしまう原因となり、それが多くの不安の根本にあります。したがって私たちの長所と、傷つきやすい人間性の両方を優しく肯定することで、私たちはうまくいくバランスを見つけることができるのです。脆弱性を肯定するときは、防御的にそうしないようにするのが最善です。これは自分自身の中に、被害者の姿勢や対人恐怖の姿勢を引き起こす傾向がありますが、おだやかな肯定はプラスの効果をもたらす傾向があります。
悲しみを肯定する。
悲しみや嘆きは、手放すプロセスの自然な一部分です。手放すことは自分自身をコントロールする必要性を放棄するための重要な部分です。私たちの生活環境など。自分自身に悲しみを許し、自分の感情を尊重し、仲間であるグループメンバーの悲しみのプロセスを尊重することは、自分自身の支配的な部分を解放するのに役立ちます。
自己憐憫(self-pity)を肯定しない。
しかし自己憐憫は避けるべきです。悲しみは、むしろ感情と癒しのプロセスに関係しています。自己憐憫は、世界に対して一定の態度をとる被害者意識のことです。哀れみは私たちを罠にはめる傾向がありますが、悲しみは私たちを自由にする傾向があります。被害者の役を演じる場合も同様です。私たちは定期的に被害に遭うかもしれませんが、起こったことを尊重し、それについて真実を話す必要があるかもしれません。しかし被害者の立場を習慣的な反応の状態にしないよう注意する必要があります。
たとえ被害者であっても自分の力を主張するには、この段階を通過しなければなりません。恥や怒りの感情も悲しみの感情と同様に扱うことができます。恐怖は(それに対する私たちの反応を受け入れて静める方法として)受け入れられるかもしれませんが、これらの他の感情とは異なる特性があるため、肯定すべきではありません。
これを含む SPA ツールはグループ内の誰も、必ず使用する必要はありません。また私たちの中には、すでに自分の思考プロセスに巻き込まれてしまっているため、対人恐怖を癒すために SPA プログラムの一部 (肯定思考以外) を利用する必要がある人もいるでしょう。このような人の中には後になって肯定思考が癒しの道において有効で非常に貴重な部分になることに気づく人もいるかもしれません。
それにもかかわらず肯定思考を作り出すことは非常に価値のある癒しのツールです。肯定思考の実践は、社交不安に対して多くの利点をもたらす治癒への非常に強力なアプローチとなり得ます。中核となる信念に影響を与えます。苦しみを伴う不安のサイクルを断ち切り、私たちの真の可能性を明らかにするのに役立ちます。おだやかに賢く使えば、社交不安アノニマスの回復プログラムの豊かでやりがいのある部分になります。