金パラ高騰を考える

【第2回 】基準改定 2年に1回

実態の反映も不透明

2019.11.25

厚労省による歯科用貴金属材料の保険告示価格の改定は、診療報酬改定に合わせて実施する「基準材料価格改定」(基準改定)と、診療報酬改定後6カ月に1回の見直しを実施する「随時改定」の2種類がある。それぞれ改定方法が異なるが、市場価格が十分に反映されない仕組みになっている。

調査後に高騰 逆ザヤ生じる

厚労省は基準改定にあたって「特定保険医療材料価格調査」を実施し、改定の基礎資料にしている。歯科用貴金属の場合、各合金の市場価格は改定前年の9月の1カ月間を調査する。その後10〜12月の金属素材価格(金、銀、パラジウム)の値動きを勘案して告示価格を決めている。

そのため価格調査から改定の実施までの間に金パラの高騰が続けば、告示価格への反映は追いつかなくなる。また、改定後に値上がりした場合は必然的に逆ザヤが生じる。

価格を決める資料が非公開

そもそも基準改定の告示価格は適正なのか。同省は改定を議論する中央社会保険医療協議会に告示価格と市場価格の全体の乖離率しか調査結果を報告しておらず、個別材料の市場価格や乖離率は明らかになっていない。

全国保険医団体連合会が調査資料の開示を求めたところ、同省は「被調査者の秘密保護」を理由に非公開とした。その後の交渉で項目の一部が公表されたが、金額や数値は全て黒塗りになっている。基準改定の大本のデータにもかかわらず、不透明な価格決定になっていることに歯科関係者から批判の声が上がっている。

2年に1回の基準改定では金パラの価格変動に臨機応変に対応できない。その問題を解決しようと保団連などの要望で2000年に導入されたのが随時改定だ。次回は随時改定の問題点を解説する。