個別指導の実相

近畿厚生局管内の保険医協会は2019年7月8日、近畿厚生局に個別指導に関する11項目の要望書を提出した。要望の背景にある指導現場の「実相」を追った。

厚生局が入るビルの一室で 40代の男性歯科医師は唇を噛み、 耐えていた。

「そんな治療をして恥ずかしくないのか」 「あなたは臨床家として間違っている」――。目の前の指導官から執拗に ・・・

「持参物の準備が間に合いそうにないので、午後からは休診にして、患者さんには予約を変更してもらうしかなかった」

――。こうした話はめずらしくない。個別指導で求められる持参物をめぐり、ほとんどの歯科医が同じ状況に追まれる・・・

個別指導の重圧は指導官の罵声や大量の持参物だけではない。

本来2時間の時間内に指導を終えることが理想だが、厚生局の〝裁量〞で指導を「中断」し、日を改めて再開するケー・・・

個別指導で被指導者が指導のやり取りを録音することと弁護士を帯同することは、厚労省も認めてきた。

ところが、被指導者からの指導時の録音の申し出に対して、「何に使うのですか?」「(指導内容の)守秘義務が守れ・・・

個別指導の結果通知を見つめ、男性は肩を落とした。文書には「再指導」の文字。「きちんと持参物を準備し、指導官の質問にも誠実に答えられたと思います。不備な点も反省し、改めることを約束したのに」。困惑しながらそう語った。大阪・・・