■欺瞞敵導入
消費税は、福祉の充実と財源の確保という名目で導入された。その後も社会保障の充実を大義名分に税率が引き上げられてきた。しかし、消費税導入以降、社会保障は改悪の一途を辿っている。
消費税導入以前の1988年、被用者本人の医療費の窓口負担は1割だった。それが97年9月に2割、03年4月に3割と引き上げられた。高齢者の窓口は、定額だったのが、今では所得に応じて1~3割の負担となっている(表1)。
国民の願いと裏腹に、実質的に消費税は社会保障に使われていない。消費税による増収分は、社会保障における他の税収と置き換えられ、法人税の減税や大型公共事業、軍備費などに使われてきたのが実態だ。
■医療改悪
2013年以降の安倍政権の6年間で、3.9兆円もの社会保障費が削減された。そして、「財政危機だ」「国難だ」と危機感を煽り、さらなる削減を進めようとしている。
19年度予算に関する財政審建議では、平成の時代を小さな負担で受益拡大を求める「ゆがんだ圧力にあがないきれなかった」時代と総括し、社会保障を敵視。後期高齢者の窓口負担原則2割化などの具体的な削減策を提言している。
保団連が実施した「2015年受診実態調査」では、歯科診療所で51.5%、医科診療所で35.0%、全体で41.0%の医療機関が「経済的な理由による患者の受診中断」が「あった」と回答している。これ以上の負担は、患者をますます医療機関から遠ざけ、医療崩壊に繋がりかねない。
日本は世界有数の少子高齢化社会だが、福祉、医療、年金などの社会支出(16年、公費)はGDP(国内総生産)比22.2%で、欧州諸国と比べ未だ低水準である(表2)。また、大企業や超富裕層を優遇する税制度の歪みを正すことで消費税10%への増税を実施しなくとも財源を生むことはできる。税の集め方と使い方を見直すことこそ必要ではないだろうか。